お犬様のお世話係りになったはずなんだけど………

ブラックベリィ

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第1章 新しいバイトが………

031★桜は何処から来た?

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 案の定、そこには2頭のボルゾイに戯れる双子の妹達の姿があった。

 優奈が〈レイ〉の毛玉を、真奈が〈サラ〉の毛玉をカットしていたらしい。
 その2人の横にある、毛玉と抜け毛の塊の量に、和輝は2人が、自分の言いつけを守らずに、早くから2頭に戯れていたコトを物語っていた。

 「優奈、真奈…危ないから
 俺が居ない時に入るなって
 言っておいただろう

 ったく、その毛玉をさっさと
 片付けて、台所に来い
 ああ…ミルクババロアは
 飾り終わっているのか?

 他に何を用意したんだ?
 優奈? 真奈?」

 あまりにもだらけた姿で、優奈と真奈に毛梳きをされている2頭の姿に、流石の桜も脱力して、和輝に縋っていた。

 〈レイ〉…〈サラ〉…
 赤の他人にデロンと腹見せして
 本当に…まさに、ダメ犬姿

 それも、気持ち良さそうに
 腹の毛を梳かれている
 怠惰な姿なんて……… 

 白夜兄ぃ様達に見せて
 やりたいぞ……まったく

 だが、こんな2頭の姿を見たら
 爺やは大喜びしそうだな

 そんな情けない2頭の姿を見詰めていた桜は、この2週間というもの〈レイ〉と〈サラ〉にずっと振り回されていた為、すぐさま打算的なコトも考え始める。

 やっぱり、何が何でも
 和輝にペットシッターを
 してもらいたい

 そうすれば、この双子の妹達も
 2頭の面倒をみれるんだから
 すごい保険になるモン

 私達の中に、和輝達を取り込んで
 しまえば………たしかに
 異質さがバレる危険もあるが
 もしもの時に対処しやすくなる

 幸いなコトに、和輝は私の
 特異体質をおかしなモノとは
 考えていない

 その和輝が、妹達に私達の体質を
 自分なりの解釈で説明してくれる
 なら、私達を害する危険性も
 無くなるし、大丈夫だろう

 腕の中の桜が、そんなコトを考えているとは微塵も気付いていない和輝は、双子の妹達に、再度促しの言葉を口にする。

 「ほら、さっさと片付ける
  おやつを食べおわったら
  また触って良いから」

 和輝からの言葉に、てっきり怒られると思っていた優奈と真奈は、嬉しそうな顔をする。
 そして、お互いに顔を見合わせて、にっこりと笑う。

 良かったぁ…お兄ぃちゃんの
 機嫌がよくて…ね、真奈ちゃん

 ほぉ~んと、和兄ぃが、あの子に
 かかりきって助かったねぇ、優奈
 
 一卵性双生児ならではの、視線での無言の会話をした2人は、和輝がお小言を始める前にと、毛梳き用のクシや鋏みなど、犬のお手入れ道具を片付け始める。

 一方、優奈や真奈の毛梳きに、流石に少し飽きてきていた2頭は、和輝と桜の姿を見付けて、嬉しそうに立ち上がり、ブルルンと身体を振るう。
 やっと2人から解放されるとばかりに、ひとつクゥ~っと身体を思いっきり伸ばす。

 そして、桜を腕に抱いたまま、戸口にたたずむ和輝の前に、2頭のボルゾイはユラユラと尻尾を振りながら歩いて来る。
 まるで、子供のお守りをしてたの…俺…私…良い子だったでしょう…とでも言うように。

 「ヨシヨシ、良い子だな
  〈レイ〉〈サラ〉ご苦労様」

 手の中から逃げられてしまった2人は、2頭の身震いで再び飛び散ってしまった毛玉と抜け毛の塊を、もう1度ささっと回収する。
 その様子を確認しながら、和輝は〈レイ〉と〈サラ〉の頭を交互に撫でてやる。
 桜も和輝と同じように、2頭の頭や首筋を撫でる。

 「すごいっ……スベスベだぁ~
  毛触りが全然違う………」

 感嘆の声を上げる桜に、和輝は肩を竦める。

 「そういえば、桜…聞き忘れたけど
  お前の住所って何処だ?
  どの辺から来たんだ?」

 和輝からの質問に、桜は素直に答える。 

 「私か、私の住んでいる住所は………」








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