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第1章 言えなかった言葉
1-3 雪野冬真
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夕方の波音堂に、一人の少年がそっと入ってきた。
高校生らしい、夏希と同じ年頃の男子。短く刈り上げた黒い髪と、きちんと整った顔立ち。一見すると爽やかで明るそうな印象だが、その瞳の奥には深い影を感じる。肩を小さく丸めて、まるで見えない重い荷物を背負っているかのような、どこか疲れた歩き方だった。
店内をゆっくりと見回した彼の瞳が夏希を捉えた瞬間、ぱっと驚いたような表情を浮かべた。
「あ、榊原?」
「雪野くん?」
夏希が勢いよく立ち上がった。制服のスカートがふわっと揺れる。
「どうしてここに?まさか、知ってたの?」
雪野と呼ばれた少年は、困ったような、それでいて少しほっとしたような複雑な表情を浮かべた。安心と戸惑いが混じった、なんとも言えない顔。
「実は……」
彼は言いかけて、ふいに視線をそらすと僕の方を向いた。正確には、僕がいる方角を何となく見たという感じだった。まるで気になる何かがそこにあるような、そんな表情で。
「なんか、変な感じがする」
雪野は首をかしげながら、僕がいる空間をじっと見つめた。でも、その視線は僕を完全には捉えていない。ぼんやりと、何かが気になるという程度らしい。
「変な感じって?」
夏希が心配そうに聞く。
「分からないけど……誰かこっちをじっと見てたような気がするんだ」
雪野は眉間にしわを寄せて、困ったような顔をした。
「でも誰もいないよね? 気のせいかな」
夏希が僕の方をそっとちらりと見た。雪野には僕の存在がぼんやりとしか感じられていないようだ。
「きっと気のせいよ」
夏希がやわらかく言うと、雪野は少し安心したような顔をした。
「そうかもな。最近、あんまり眠れなくて、疲れてるのかも」
でも彼の視線は、時々心配そうに僕がいる方向を気にするように向いていた。まるで、そこに大切な何かがあるような感じで。
琴音さんが奥から静かに現れて、雪野に丁寧にお辞儀をした。
「雪野冬馬さんですね。お待ちしておりました」
雪野は明らかに驚いた。目を丸くして、琴音さんを見つめる。
「え、僕の名前をご存知なんですか?」
「はい。ご予約をいただいておりましたから」
琴音さんは穏やかに微笑む。まるで雪野の緊張をほぐそうとするみたいに、優しい表情で。
「こちらにどうぞ」
雪野は夏希を見た。少し戸惑ったような、でも嬉しそうな表情も混じっている。
「君がここにいるなんて思わなかった。偶然なの?」
「私、ここによく来るの。琴音さんのお手伝いをしてるから」
夏希が説明する。その声には、雪野を安心させようとする優しさが込められていた。
「そうなんだ」
雪野は少し考え込んでから、何かを決意したような表情を見せた。心の中で迷いを振り切ったような、そんな顔。
「なら、聞いてもらってもいいかな。俺の話」
琴音さんが雪野を席に案内する。僕と夏希も、その向かいにそっと座った。明星もカタンコトンという可愛らしい機械音と共に現れて、少し離れた場所にちょこんと腰を下ろした。
「本日はいらっしゃいませ」
明星が雪野をじっと見つめながら、わざと現代風の丁寧な口調で言った。
雪野は明星の姿に素直に驚いた。
「すごい……こんなリアルなロボットがあるんだ」
「わちきは……」
明星が言いかけて、琴音さんがちょっと咳払いする。
「ええ、最新の配膳ロボットです」
明星は慌てて口調を変えた。機械的な声色を真似しながら。
「からくり人形をモチーフにしたデザインでございます」
「本当によくできてるなあ」
雪野は明星の手首に見える真鍮の関節を興味深そうに見て、心から感心したような顔をした。
「関節の作りまで本物のからくりそっくりだ。技術の進歩ってすごいな」
夏希と僕は顔を見合わせた。冬馬には明星が普通のロボットにしか見えていないらしい。
「それでは、お茶をお持ちいたします」
明星は立ち上がると、カタンコトンと軽やかな音を立てながら奥へと向かっていった。
琴音さんが温かいお茶を運んできてくれた。雪野はそれを受け取りながら、何度も深く深呼吸をした。緊張しているのが手に取るように分かる。湯呑みを持つ手も、微かに震えていた。
「どのようなご相談でしょうか」
琴音さんが優しく、急かさないように尋ねた。
雪野は湯呑みを両手で大切に包み込むように持って、しばらく黙り込んだ。その表情には、話すべきかどうか迷っているような色が浮かんでいる。言葉にするのが辛いことなんだろう。
僕は夏希を見た。夏希は小さく頷いて、雪野にそっと声をかける。
「時間をかけても大丈夫だよ。全然急がなくていいから」
雪野は顔を上げて、夏希を見た。そして少しだけ、ほっとしたような微笑みを見せた。
「ありがとう、榊原。優しいね」
彼はお茶を一口飲んでから続けた。
「でも、もう一年も迷い続けてるんだ。今日こそ、ちゃんと決めなければいけない」
彼の周囲に漂う記憶の波動を、僕だけがはっきりと感じ取っていた。桜という文字がふわっと浮かんできた。桜。そして、胸を締め付けるような強い後悔の感情。愛情と悲しみが混じり合った、複雑で深い想い。
「——一年前、」
雪野はゆっくりと口を開いた。誰に向かって話しているのか、彼自身もよく分からないような、まるで独り言のような口調だった。
「幼なじみを亡くしました」
夏希の表情がさっと曇った。僕は静かに雪野の言葉に耳を傾けた。彼には僕の姿が見えていないけれど、僕の存在を心の奥で感じ取っているのかもしれない。だから、こうして大切な話をすることができるのだろう。
その瞬間、店内の空気がぴんと変わった。みんなが息を詰めて、雪野の次の言葉をそっと待った。波の音だけが、静かに響いている。
「桜井春香。同じクラスの女の子でした」
名前を口にする時、雪野の声がわずかに震えた。そして彼の記憶から、一人の少女の姿がふわりと浮かび上がってきた。肩までの艶やかな茶色い髪、大きくて温かな瞳、いつも笑顔でいる明るくて可愛らしい女の子。
「事故だったんです」
雪野は苦しそうに続けた。
「学校から帰る途中、自転車で商店街を通っていて」
夏希が小さく息を呑んだ。彼女も、この話を全然知らなかったようだった。
「信号のない交差点で、トラックと衝突して」
雪野の手が小刻みに震えている。
「運転手さんも全然悪くないんです。春香が安全確認をしないで飛び出してしまっただけだから」
僕は雪野の記憶をもっと深く感じ取った。事故現場に駆けつけた時の鮮明な記憶。救急車のサイレン。血痕。そして、もう二度と動くことのない春香の姿。
「即死でした」
その言葉は、静かな波音堂に重く響いた。
「雪野くん……」
夏希が心配そうに彼を見つめた。その瞳には、同じような辛さを知っている人特有の優しさがあった。
雪野は震える手で湯呑みをテーブルに置いた。カタカタと小さな音が鳴った。
「ずっと後悔していることがあって」
僕は彼の記憶の奥深くにある感情をはっきりと感じ取った。強い後悔。深い愛情。そして、一年間抱え続けてきた深い悲しみ。
「春香に、言えなかったことがあるんです」
その時、僕の心の中で何かが動いた。これが、僕が手伝うべき最初のお願いなんだ。雪野冬馬の、言えなかった言葉。
高校生らしい、夏希と同じ年頃の男子。短く刈り上げた黒い髪と、きちんと整った顔立ち。一見すると爽やかで明るそうな印象だが、その瞳の奥には深い影を感じる。肩を小さく丸めて、まるで見えない重い荷物を背負っているかのような、どこか疲れた歩き方だった。
店内をゆっくりと見回した彼の瞳が夏希を捉えた瞬間、ぱっと驚いたような表情を浮かべた。
「あ、榊原?」
「雪野くん?」
夏希が勢いよく立ち上がった。制服のスカートがふわっと揺れる。
「どうしてここに?まさか、知ってたの?」
雪野と呼ばれた少年は、困ったような、それでいて少しほっとしたような複雑な表情を浮かべた。安心と戸惑いが混じった、なんとも言えない顔。
「実は……」
彼は言いかけて、ふいに視線をそらすと僕の方を向いた。正確には、僕がいる方角を何となく見たという感じだった。まるで気になる何かがそこにあるような、そんな表情で。
「なんか、変な感じがする」
雪野は首をかしげながら、僕がいる空間をじっと見つめた。でも、その視線は僕を完全には捉えていない。ぼんやりと、何かが気になるという程度らしい。
「変な感じって?」
夏希が心配そうに聞く。
「分からないけど……誰かこっちをじっと見てたような気がするんだ」
雪野は眉間にしわを寄せて、困ったような顔をした。
「でも誰もいないよね? 気のせいかな」
夏希が僕の方をそっとちらりと見た。雪野には僕の存在がぼんやりとしか感じられていないようだ。
「きっと気のせいよ」
夏希がやわらかく言うと、雪野は少し安心したような顔をした。
「そうかもな。最近、あんまり眠れなくて、疲れてるのかも」
でも彼の視線は、時々心配そうに僕がいる方向を気にするように向いていた。まるで、そこに大切な何かがあるような感じで。
琴音さんが奥から静かに現れて、雪野に丁寧にお辞儀をした。
「雪野冬馬さんですね。お待ちしておりました」
雪野は明らかに驚いた。目を丸くして、琴音さんを見つめる。
「え、僕の名前をご存知なんですか?」
「はい。ご予約をいただいておりましたから」
琴音さんは穏やかに微笑む。まるで雪野の緊張をほぐそうとするみたいに、優しい表情で。
「こちらにどうぞ」
雪野は夏希を見た。少し戸惑ったような、でも嬉しそうな表情も混じっている。
「君がここにいるなんて思わなかった。偶然なの?」
「私、ここによく来るの。琴音さんのお手伝いをしてるから」
夏希が説明する。その声には、雪野を安心させようとする優しさが込められていた。
「そうなんだ」
雪野は少し考え込んでから、何かを決意したような表情を見せた。心の中で迷いを振り切ったような、そんな顔。
「なら、聞いてもらってもいいかな。俺の話」
琴音さんが雪野を席に案内する。僕と夏希も、その向かいにそっと座った。明星もカタンコトンという可愛らしい機械音と共に現れて、少し離れた場所にちょこんと腰を下ろした。
「本日はいらっしゃいませ」
明星が雪野をじっと見つめながら、わざと現代風の丁寧な口調で言った。
雪野は明星の姿に素直に驚いた。
「すごい……こんなリアルなロボットがあるんだ」
「わちきは……」
明星が言いかけて、琴音さんがちょっと咳払いする。
「ええ、最新の配膳ロボットです」
明星は慌てて口調を変えた。機械的な声色を真似しながら。
「からくり人形をモチーフにしたデザインでございます」
「本当によくできてるなあ」
雪野は明星の手首に見える真鍮の関節を興味深そうに見て、心から感心したような顔をした。
「関節の作りまで本物のからくりそっくりだ。技術の進歩ってすごいな」
夏希と僕は顔を見合わせた。冬馬には明星が普通のロボットにしか見えていないらしい。
「それでは、お茶をお持ちいたします」
明星は立ち上がると、カタンコトンと軽やかな音を立てながら奥へと向かっていった。
琴音さんが温かいお茶を運んできてくれた。雪野はそれを受け取りながら、何度も深く深呼吸をした。緊張しているのが手に取るように分かる。湯呑みを持つ手も、微かに震えていた。
「どのようなご相談でしょうか」
琴音さんが優しく、急かさないように尋ねた。
雪野は湯呑みを両手で大切に包み込むように持って、しばらく黙り込んだ。その表情には、話すべきかどうか迷っているような色が浮かんでいる。言葉にするのが辛いことなんだろう。
僕は夏希を見た。夏希は小さく頷いて、雪野にそっと声をかける。
「時間をかけても大丈夫だよ。全然急がなくていいから」
雪野は顔を上げて、夏希を見た。そして少しだけ、ほっとしたような微笑みを見せた。
「ありがとう、榊原。優しいね」
彼はお茶を一口飲んでから続けた。
「でも、もう一年も迷い続けてるんだ。今日こそ、ちゃんと決めなければいけない」
彼の周囲に漂う記憶の波動を、僕だけがはっきりと感じ取っていた。桜という文字がふわっと浮かんできた。桜。そして、胸を締め付けるような強い後悔の感情。愛情と悲しみが混じり合った、複雑で深い想い。
「——一年前、」
雪野はゆっくりと口を開いた。誰に向かって話しているのか、彼自身もよく分からないような、まるで独り言のような口調だった。
「幼なじみを亡くしました」
夏希の表情がさっと曇った。僕は静かに雪野の言葉に耳を傾けた。彼には僕の姿が見えていないけれど、僕の存在を心の奥で感じ取っているのかもしれない。だから、こうして大切な話をすることができるのだろう。
その瞬間、店内の空気がぴんと変わった。みんなが息を詰めて、雪野の次の言葉をそっと待った。波の音だけが、静かに響いている。
「桜井春香。同じクラスの女の子でした」
名前を口にする時、雪野の声がわずかに震えた。そして彼の記憶から、一人の少女の姿がふわりと浮かび上がってきた。肩までの艶やかな茶色い髪、大きくて温かな瞳、いつも笑顔でいる明るくて可愛らしい女の子。
「事故だったんです」
雪野は苦しそうに続けた。
「学校から帰る途中、自転車で商店街を通っていて」
夏希が小さく息を呑んだ。彼女も、この話を全然知らなかったようだった。
「信号のない交差点で、トラックと衝突して」
雪野の手が小刻みに震えている。
「運転手さんも全然悪くないんです。春香が安全確認をしないで飛び出してしまっただけだから」
僕は雪野の記憶をもっと深く感じ取った。事故現場に駆けつけた時の鮮明な記憶。救急車のサイレン。血痕。そして、もう二度と動くことのない春香の姿。
「即死でした」
その言葉は、静かな波音堂に重く響いた。
「雪野くん……」
夏希が心配そうに彼を見つめた。その瞳には、同じような辛さを知っている人特有の優しさがあった。
雪野は震える手で湯呑みをテーブルに置いた。カタカタと小さな音が鳴った。
「ずっと後悔していることがあって」
僕は彼の記憶の奥深くにある感情をはっきりと感じ取った。強い後悔。深い愛情。そして、一年間抱え続けてきた深い悲しみ。
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