69 / 120
第3章 ダンジョン攻略中編
第69話 リリアからの依頼
しおりを挟む
「私を8階層まで連れて行って」
彼女の言葉は、僕たちの言葉を奪った。
僕とハルクの共通の敵、クロコの元の主人である獣人の戦士の仲間と行動を共にする…!?
おそらく僕とハルクのことは分からないと思うが、そんなリスクばかりの提案に乗るはずが無い。
いったいどういうつもりで言ったのだろう?
「なんかさー、あの人に一人で行かされたけど、私って弱いの。
さっきのオークたちにも苦戦してたでしょ?
それに1人で7階層を超えて8階層に戻れなんて私には無理。
あんたたちも7階層超えて行くんでしょ?
じゃあさ、一緒に連れて行ってよ。」
8階層から来たということは7階層を超えたってことか。
確かに7階層を攻略するヒントになるかもしれない。
この子が嘘をついてなければだけど。
(君は7階層を超えて来たの?1人で一体どうやって?)
僕は彼女の脳に直接話しかけると彼女は一瞬ビックリした表情を見せ、僕をまじまじと見つめた。
「あんた、ようやくしゃべってくれたわね。ふーん、そんな形でしゃべるんだ。」
いたずらっ子のような表情を見せた彼女の顔が、一瞬幼く見えた。
「初めは護衛を連れていたわよ。でも7階層を超えたら別の用事があるからって別れちゃった。7階層を超えるまでの護衛だったから仕方ないのよねー。」
(じゃあ、君は6階層をずっと1人で進んでいたんだ?それって結構すごいことだと思う。)
事実、6階層の敵は一癖も二癖もある奴が多い。
それを1人で進めるなんて、初めて会った時とは比べ物にならない。
「まあねー。私も苦労してきたから、これぐらいはね。
っていうか、なんであんたのようなミミックが仕切ってるのよ。
リーダーは誰よ?
大きいあんたがそうなんじゃないの?」
「オデ?オデはリーダーなんかじゃない。」
急に振られてビックリしたハルクだったが、彼女の問いにはっきりと答えた。
「そうよね。あんたじゃなさそうね。バカそうなんだもの。」
彼女は一体何様のつもりだ。僕は段々腹が立ってきた。
「我はそちらのミミックを主としている。あまり無礼なことを言うとお前でも許さないぞ。」
クロコの低い唸り声に、彼女の表情が青ざめる。
どうやらクロコの強さの事は知っているようだ。
「もー、冗談よ。ちょっとからかっただけ。
で、どうするの?
私を連れて行くの?行かないの?」
(姉さん、俺らと一緒に行こうや。
うちらオスばっかりで、華やかさがないねん。)
彼女の問いに即座に答えたのは、リュウだった。
彼は彼女に敵意がないことを示すためか、彼女の傍に寄り口を限界まで開き、箱の中身を見せた。
「あんただけがこの中で一番まともみたいね。決定でいいの?
私を連れて行くと7階層の攻略法も教えてあげるわよ。」
(ちょっと待って)
僕は全員を集め彼女から距離を取って、その場で彼女を連れて行くかどうかの話し合いを行った。
(連れていけばいいやん。7階層の攻略が楽に出来るかもしれんやろ。
なんだかんだで情報もってると思うわ。)
と、リュウが言うと、
「オデは好かん。あいつを戦うどきに借りをつぐりたぐね。」
とハルクが返す。
「我もあの女は好かんが、役に立つ情報を持っているはず。上手く利用すればいいのでは?」
意外にもクロコは肯定派だった。
最終的には、僕の判断に委ねられることになった。
僕は・・・・。
(連れて行くなら条件をつければいいんじゃない?)
確かに何度か7階層を出入りしている彼女の情報は魅力的だ。
7階層を攻略して次の層に行くという、彼女の目的も僕らの目的と合致する。
彼女自身も強くなっているので、お守りをする必要もないだろう。
彼女を連れて行けば、よりスムースに7階層の攻略が出来るだろう。
しかし、スパイ疑惑のある彼女を単独行動させるのは危険だ。
何らかの方法で彼女が獣人の戦士に情報を送ってしまうと、いつか奴を倒そうという僕とハルクの情報が筒抜けになってしまう。
それだけは絶対に避けたい。
そこで考えたのが、同行の条件だ。
ルールを決めることで、彼女の単独行動はある程度は防げるだろう。
要は彼女に情報を送る暇を与えなければよいのだ。
そこで決めたのが以下のルール
・僕らから10m以上離れない
・単独行動禁止(戦闘中も含む)
・戦闘では後衛に回らず中衛に
・移動魔法使用禁止
・得たアイテムは均等に分ける
僕らから10m以上離れないのは必須だ。不審な行動を起こさないように常に監視下におきたい。
・単独行動は可能な限り防ぎたい。例え戦闘中であっても彼女の行動は確認していたい。
・もともと後衛の彼女だが、彼女が僕らに攻撃してくる可能性も無いとは言い切れない。
中衛に配置することで、クロコが彼女の動きをチェックすることが出来るだろう。
・移動魔法を持っているかどうかは分からないが、逃げられるのを防止するためだ。
・得たアイテムも均等に分けることは、同行者であっても当然の権利だと思う。このルールだけは彼女を拘束するという目的ではない。
僕は彼女に条件を提示し、彼女からの反応を待った。
「おおむね理解は出来たけど、10mは短すぎない。もう少し離れてもいいでしょ?」
(なぜだ?)
「だって色々女の子にはあるのよ。あんたらに言ってもわからないだろうけど。」
(トイレか)と聞こうと思ったが、なんとなく聞くのをやめた。
「じゃあ、よろしくね。私はリリアよ。あんたたちは何て呼べばいいの?」
先行きは不安だが、彼女も僕らのパーティに加わることになったのだ。
彼女の言葉は、僕たちの言葉を奪った。
僕とハルクの共通の敵、クロコの元の主人である獣人の戦士の仲間と行動を共にする…!?
おそらく僕とハルクのことは分からないと思うが、そんなリスクばかりの提案に乗るはずが無い。
いったいどういうつもりで言ったのだろう?
「なんかさー、あの人に一人で行かされたけど、私って弱いの。
さっきのオークたちにも苦戦してたでしょ?
それに1人で7階層を超えて8階層に戻れなんて私には無理。
あんたたちも7階層超えて行くんでしょ?
じゃあさ、一緒に連れて行ってよ。」
8階層から来たということは7階層を超えたってことか。
確かに7階層を攻略するヒントになるかもしれない。
この子が嘘をついてなければだけど。
(君は7階層を超えて来たの?1人で一体どうやって?)
僕は彼女の脳に直接話しかけると彼女は一瞬ビックリした表情を見せ、僕をまじまじと見つめた。
「あんた、ようやくしゃべってくれたわね。ふーん、そんな形でしゃべるんだ。」
いたずらっ子のような表情を見せた彼女の顔が、一瞬幼く見えた。
「初めは護衛を連れていたわよ。でも7階層を超えたら別の用事があるからって別れちゃった。7階層を超えるまでの護衛だったから仕方ないのよねー。」
(じゃあ、君は6階層をずっと1人で進んでいたんだ?それって結構すごいことだと思う。)
事実、6階層の敵は一癖も二癖もある奴が多い。
それを1人で進めるなんて、初めて会った時とは比べ物にならない。
「まあねー。私も苦労してきたから、これぐらいはね。
っていうか、なんであんたのようなミミックが仕切ってるのよ。
リーダーは誰よ?
大きいあんたがそうなんじゃないの?」
「オデ?オデはリーダーなんかじゃない。」
急に振られてビックリしたハルクだったが、彼女の問いにはっきりと答えた。
「そうよね。あんたじゃなさそうね。バカそうなんだもの。」
彼女は一体何様のつもりだ。僕は段々腹が立ってきた。
「我はそちらのミミックを主としている。あまり無礼なことを言うとお前でも許さないぞ。」
クロコの低い唸り声に、彼女の表情が青ざめる。
どうやらクロコの強さの事は知っているようだ。
「もー、冗談よ。ちょっとからかっただけ。
で、どうするの?
私を連れて行くの?行かないの?」
(姉さん、俺らと一緒に行こうや。
うちらオスばっかりで、華やかさがないねん。)
彼女の問いに即座に答えたのは、リュウだった。
彼は彼女に敵意がないことを示すためか、彼女の傍に寄り口を限界まで開き、箱の中身を見せた。
「あんただけがこの中で一番まともみたいね。決定でいいの?
私を連れて行くと7階層の攻略法も教えてあげるわよ。」
(ちょっと待って)
僕は全員を集め彼女から距離を取って、その場で彼女を連れて行くかどうかの話し合いを行った。
(連れていけばいいやん。7階層の攻略が楽に出来るかもしれんやろ。
なんだかんだで情報もってると思うわ。)
と、リュウが言うと、
「オデは好かん。あいつを戦うどきに借りをつぐりたぐね。」
とハルクが返す。
「我もあの女は好かんが、役に立つ情報を持っているはず。上手く利用すればいいのでは?」
意外にもクロコは肯定派だった。
最終的には、僕の判断に委ねられることになった。
僕は・・・・。
(連れて行くなら条件をつければいいんじゃない?)
確かに何度か7階層を出入りしている彼女の情報は魅力的だ。
7階層を攻略して次の層に行くという、彼女の目的も僕らの目的と合致する。
彼女自身も強くなっているので、お守りをする必要もないだろう。
彼女を連れて行けば、よりスムースに7階層の攻略が出来るだろう。
しかし、スパイ疑惑のある彼女を単独行動させるのは危険だ。
何らかの方法で彼女が獣人の戦士に情報を送ってしまうと、いつか奴を倒そうという僕とハルクの情報が筒抜けになってしまう。
それだけは絶対に避けたい。
そこで考えたのが、同行の条件だ。
ルールを決めることで、彼女の単独行動はある程度は防げるだろう。
要は彼女に情報を送る暇を与えなければよいのだ。
そこで決めたのが以下のルール
・僕らから10m以上離れない
・単独行動禁止(戦闘中も含む)
・戦闘では後衛に回らず中衛に
・移動魔法使用禁止
・得たアイテムは均等に分ける
僕らから10m以上離れないのは必須だ。不審な行動を起こさないように常に監視下におきたい。
・単独行動は可能な限り防ぎたい。例え戦闘中であっても彼女の行動は確認していたい。
・もともと後衛の彼女だが、彼女が僕らに攻撃してくる可能性も無いとは言い切れない。
中衛に配置することで、クロコが彼女の動きをチェックすることが出来るだろう。
・移動魔法を持っているかどうかは分からないが、逃げられるのを防止するためだ。
・得たアイテムも均等に分けることは、同行者であっても当然の権利だと思う。このルールだけは彼女を拘束するという目的ではない。
僕は彼女に条件を提示し、彼女からの反応を待った。
「おおむね理解は出来たけど、10mは短すぎない。もう少し離れてもいいでしょ?」
(なぜだ?)
「だって色々女の子にはあるのよ。あんたらに言ってもわからないだろうけど。」
(トイレか)と聞こうと思ったが、なんとなく聞くのをやめた。
「じゃあ、よろしくね。私はリリアよ。あんたたちは何て呼べばいいの?」
先行きは不安だが、彼女も僕らのパーティに加わることになったのだ。
0
あなたにおすすめの小説
最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~
ある中管理職
ファンタジー
勤続10年目10度目のレベルアップ。
人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。
すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。
なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。
チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。
探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。
万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。
ダンジョンで有名モデルを助けたら公式配信に映っていたようでバズってしまいました。
夜兎ましろ
ファンタジー
高校を卒業したばかりの少年――夜見ユウは今まで鍛えてきた自分がダンジョンでも通用するのかを知るために、はじめてのダンジョンへと向かう。もし、上手くいけば冒険者にもなれるかもしれないと考えたからだ。
ダンジョンに足を踏み入れたユウはとある女性が魔物に襲われそうになっているところに遭遇し、魔法などを使って女性を助けたのだが、偶然にもその瞬間がダンジョンの公式配信に映ってしまっており、ユウはバズってしまうことになる。
バズってしまったならしょうがないと思い、ユウは配信活動をはじめることにするのだが、何故か助けた女性と共に配信を始めることになるのだった。
【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。
木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。
しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。
そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。
【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】
【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜
KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。
~あらすじ~
世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。
そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。
しかし、その恩恵は平等ではなかった。
富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。
そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。
彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。
あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。
妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。
希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。
英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。
これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。
彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。
テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。
SF味が増してくるのは結構先の予定です。
スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。
良かったら読んでください!
帰って来た勇者、現代の世界を引っ掻きまわす
黄昏人
ファンタジー
ハヤトは15歳、中学3年生の時に異世界に召喚され、7年の苦労の後、22歳にて魔族と魔王を滅ぼして日本に帰還した。帰還の際には、莫大な財宝を持たされ、さらに身につけた魔法を始めとする能力も保持できたが、マナの濃度の低い地球における能力は限定的なものであった。しかし、それでも圧倒的な体力と戦闘能力、限定的とは言え魔法能力は現代日本を、いや世界を大きく動かすのであった。
4年前に書いたものをリライトして載せてみます。
【完結】神スキル拡大解釈で底辺パーティから成り上がります!
まにゅまにゅ
ファンタジー
平均レベルの低い底辺パーティ『龍炎光牙《りゅうえんこうが》』はオーク一匹倒すのにも命懸けで注目もされていないどこにでもでもいる冒険者たちのチームだった。
そんなある日ようやく資金も貯まり、神殿でお金を払って恩恵《ギフト》を授かるとその恩恵《ギフト》スキルは『拡大解釈』というもの。
その効果は魔法やスキルの内容を拡大解釈し、別の効果を引き起こせる、という神スキルだった。その拡大解釈により色んなものを回復《ヒール》で治したり強化《ブースト》で獲得経験値を増やしたりととんでもない効果を発揮する!
底辺パーティ『龍炎光牙』の大躍進が始まる!
第16回ファンタジー大賞奨励賞受賞作です。
俺は善人にはなれない
気衒い
ファンタジー
とある過去を持つ青年が異世界へ。しかし、神様が転生させてくれた訳でも誰かが王城に召喚した訳でもない。気が付いたら、森の中にいたという状況だった。その後、青年は優秀なステータスと珍しい固有スキルを武器に異世界を渡り歩いていく。そして、道中で沢山の者と出会い、様々な経験をした青年の周りにはいつしか多くの仲間達が集っていた。これはそんな青年が異世界で誰も成し得なかった偉業を達成する物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる