70 / 120
第3章 ダンジョン攻略中編
第70話 7階層を目指して
しおりを挟む
ひょんなことから新たなパーティメンバーを迎えた僕たちは、一路7階層へと向かった。
道中、リュウがリリカにプライベートの質問を何度もしていたが、リリアは完全に無視。
7階層についての情報以外は一切明かさなかった。
7階層は全フロアが宝物庫という極めて異常な空間だ。
日本で言うと東京なみの広さを持つ、1つの長方形のフロアで構成されている。
しかも宝箱の数は100や200ではない。
何万、何十万個を超える宝箱や、なだれ落ちるほどの財宝の山で埋め尽くされているのだ。
おそらくこの世界中の宝を全て集めても、この1部屋に埋め尽くされている宝の量には満たないだろう。
それほどまでに7階層は異常な空間なのだ。
7階層の噂は全世界中に広まっており、一攫千金を目指して連日冒険者たちが訪れている。このダンジョンに訪れる、ほとんどの冒険者のゴールはダンジョン攻略ではない。
7階層でレアアイテムを持ち帰ることを目標としているのだ。
ただ7階層にたどり着くのは容易ではない。
多くの冒険者たちが、たどり着く前に命を落としている。
運よくたどり着いたとしても、7階層は想像を絶する修羅場。
たどり着いただけではアイテムを持ち帰れないのだ。
もちろん7階層の宝を狙っているのは冒険者だけではない。
様々な種族やギルド、国家までもが7階層の中で覇権を争っている。
より多くよりレアなアイテムを手に入れようと、軍隊を送り、領地や縄張りを形成し、そのエリア内の財宝を独占しようしているらしい。
財宝と同じように積み重ねられる死体の山。
7階層はまさしく光と闇が混在しているエリアなのだ。
7階層を牛耳っているのは人族だけではない。
強い魔力と知力を持ったエルフ族、力だけならトップクラスの獣人族やドワーフ族、宝箱に群がるものを捕食するモンスター族や、独自の世界を作ろうとする悪魔族など。
様々な種族間の抗争もこのエリアで行われている。
もちろん宝箱にまぎれてミミックもいる。
7階層はミミックの大生息地。
リリアによるとこのダンジョンに生息するミミックの90%以上が、このエリアに集まっているらしい。
確かに獲物をおびき寄せるための仕掛けをしなくても、自分から率先して罠に引っかかりにくるのだ。
ミミックにとって、これほど美味しい地は他にはないだろう。
7階層を攻略するにはいくつかの条件があるらしい。
その一つは、第8階層への階段に続く扉を見つけること。
扉の数は全部で7種類。
それぞれに鍵穴があり、一つ一つ形が違うようだ。
その鍵をこの広大なエリアから見つける必要があるらしい。
ただ、鍵は1つだけでは無いそうだ。
スペアキーも多く存在するらしいので、それほどレア度は高くないとのこと。
別の一つが神の宝玉を見つけること。
うかつにもリリアが話した時、僕は動揺してしまった。
このダンジョンには神の名を冠する宝玉が7つ存在するらしい。
・魔神の宝玉
・獣神の宝玉
・水神の宝玉
・竜神の宝玉
・女神の宝玉
・鬼神の宝玉
・邪神の宝玉
それぞれの宝玉には特殊効果があり、何でも持っているだけでもその恩恵に預かれるというのだ。
この宝玉は鍵とセットになっており、扉を開けるには鍵と一緒に同種の宝玉も扉にかざす必要があるらしい。
例えば8階層へ続く魔神の扉を開けたければ、魔神の宝玉をかざしながら、魔神の鍵を使用するとのことだ。
リリアは仲間たちと魔神の扉から7階層へやってきたと話す。
現在魔神の宝玉は7階層にいる獣人たちに預け、彼女自身は魔神の鍵を持っているようだ。
彼女の願いは7階層で預けてある魔神の宝玉を受け取り、8階層まで戻るまで僕たちに護衛して欲しいということだった。
一番の難所である7階層を無事に攻略出来るのであれば、それは僕たちにとって願ってもないこと。
リリアを連れて行くことに最後まで同意しなかったハルクを、8階層に行くまでの間だけと説得する。
ハルクも7階層の攻略の難しさを知っているのか、渋々同意するのだった。
リリアの道案内は完璧だった。
極力安全な道を選択しながら、7階層への階段を目指す僕たち。
敵が出るタイミングまで分かるのか、僕が敵を発見するよりも早く、仲間たちに敵が来ることを知らせてくれる。
たとえ暗闇に敵が紛れていようが、地中に隠れていようが彼女には敵の位置がすぐに分かってしまう。
おそらく彼女は強力な索敵能力を有しているのだろう。
事前に戦闘準備が出来るので、戦闘では苦戦することもなかった。
見かけによらず、リリア自身も強い戦闘力を有していた。
炎系の魔法が得意かと思えば、敵によっては氷系の魔法を使用する。
単体攻撃だけでなく、複数の敵を同時に攻撃する範囲攻撃魔法も行えるのだ。
傷ついた箇所を瞬時に治す高度な回復魔法も使用し、味方の移動速度をアップさせる等の補助魔法まで使用できるのだ。
確かにこれだけの力をもってすれば、6階層をソロで探索していたこともうなずける。
彼女は2階層で出会った時と、比べ物にならないほどに強くなっていたのだ。
それからしばらくして、僕らはようやく7階層に向かう階段に到着した。
5階層で僕に破れたゲームプレイヤーのリッチが惨敗した7階層。
事あるごとに話に上がる7階層。
僕たちはこのダンジョンで一番の難所と言われる7階層の目前まで来た。
7階層への階段は今までの階段とは大きく違わない。
歴史を感じさせる傷やひびだらけの石段だ。
階段の下までは暗くて肉眼では見えなくなっている。
「何してんのよ。早く行くよ。」
7階層まで来た感慨と、先の見えない不安を感じる僕をあざ笑うかのようにリリアは率先して階段を降り始めた。
道中、リュウがリリカにプライベートの質問を何度もしていたが、リリアは完全に無視。
7階層についての情報以外は一切明かさなかった。
7階層は全フロアが宝物庫という極めて異常な空間だ。
日本で言うと東京なみの広さを持つ、1つの長方形のフロアで構成されている。
しかも宝箱の数は100や200ではない。
何万、何十万個を超える宝箱や、なだれ落ちるほどの財宝の山で埋め尽くされているのだ。
おそらくこの世界中の宝を全て集めても、この1部屋に埋め尽くされている宝の量には満たないだろう。
それほどまでに7階層は異常な空間なのだ。
7階層の噂は全世界中に広まっており、一攫千金を目指して連日冒険者たちが訪れている。このダンジョンに訪れる、ほとんどの冒険者のゴールはダンジョン攻略ではない。
7階層でレアアイテムを持ち帰ることを目標としているのだ。
ただ7階層にたどり着くのは容易ではない。
多くの冒険者たちが、たどり着く前に命を落としている。
運よくたどり着いたとしても、7階層は想像を絶する修羅場。
たどり着いただけではアイテムを持ち帰れないのだ。
もちろん7階層の宝を狙っているのは冒険者だけではない。
様々な種族やギルド、国家までもが7階層の中で覇権を争っている。
より多くよりレアなアイテムを手に入れようと、軍隊を送り、領地や縄張りを形成し、そのエリア内の財宝を独占しようしているらしい。
財宝と同じように積み重ねられる死体の山。
7階層はまさしく光と闇が混在しているエリアなのだ。
7階層を牛耳っているのは人族だけではない。
強い魔力と知力を持ったエルフ族、力だけならトップクラスの獣人族やドワーフ族、宝箱に群がるものを捕食するモンスター族や、独自の世界を作ろうとする悪魔族など。
様々な種族間の抗争もこのエリアで行われている。
もちろん宝箱にまぎれてミミックもいる。
7階層はミミックの大生息地。
リリアによるとこのダンジョンに生息するミミックの90%以上が、このエリアに集まっているらしい。
確かに獲物をおびき寄せるための仕掛けをしなくても、自分から率先して罠に引っかかりにくるのだ。
ミミックにとって、これほど美味しい地は他にはないだろう。
7階層を攻略するにはいくつかの条件があるらしい。
その一つは、第8階層への階段に続く扉を見つけること。
扉の数は全部で7種類。
それぞれに鍵穴があり、一つ一つ形が違うようだ。
その鍵をこの広大なエリアから見つける必要があるらしい。
ただ、鍵は1つだけでは無いそうだ。
スペアキーも多く存在するらしいので、それほどレア度は高くないとのこと。
別の一つが神の宝玉を見つけること。
うかつにもリリアが話した時、僕は動揺してしまった。
このダンジョンには神の名を冠する宝玉が7つ存在するらしい。
・魔神の宝玉
・獣神の宝玉
・水神の宝玉
・竜神の宝玉
・女神の宝玉
・鬼神の宝玉
・邪神の宝玉
それぞれの宝玉には特殊効果があり、何でも持っているだけでもその恩恵に預かれるというのだ。
この宝玉は鍵とセットになっており、扉を開けるには鍵と一緒に同種の宝玉も扉にかざす必要があるらしい。
例えば8階層へ続く魔神の扉を開けたければ、魔神の宝玉をかざしながら、魔神の鍵を使用するとのことだ。
リリアは仲間たちと魔神の扉から7階層へやってきたと話す。
現在魔神の宝玉は7階層にいる獣人たちに預け、彼女自身は魔神の鍵を持っているようだ。
彼女の願いは7階層で預けてある魔神の宝玉を受け取り、8階層まで戻るまで僕たちに護衛して欲しいということだった。
一番の難所である7階層を無事に攻略出来るのであれば、それは僕たちにとって願ってもないこと。
リリアを連れて行くことに最後まで同意しなかったハルクを、8階層に行くまでの間だけと説得する。
ハルクも7階層の攻略の難しさを知っているのか、渋々同意するのだった。
リリアの道案内は完璧だった。
極力安全な道を選択しながら、7階層への階段を目指す僕たち。
敵が出るタイミングまで分かるのか、僕が敵を発見するよりも早く、仲間たちに敵が来ることを知らせてくれる。
たとえ暗闇に敵が紛れていようが、地中に隠れていようが彼女には敵の位置がすぐに分かってしまう。
おそらく彼女は強力な索敵能力を有しているのだろう。
事前に戦闘準備が出来るので、戦闘では苦戦することもなかった。
見かけによらず、リリア自身も強い戦闘力を有していた。
炎系の魔法が得意かと思えば、敵によっては氷系の魔法を使用する。
単体攻撃だけでなく、複数の敵を同時に攻撃する範囲攻撃魔法も行えるのだ。
傷ついた箇所を瞬時に治す高度な回復魔法も使用し、味方の移動速度をアップさせる等の補助魔法まで使用できるのだ。
確かにこれだけの力をもってすれば、6階層をソロで探索していたこともうなずける。
彼女は2階層で出会った時と、比べ物にならないほどに強くなっていたのだ。
それからしばらくして、僕らはようやく7階層に向かう階段に到着した。
5階層で僕に破れたゲームプレイヤーのリッチが惨敗した7階層。
事あるごとに話に上がる7階層。
僕たちはこのダンジョンで一番の難所と言われる7階層の目前まで来た。
7階層への階段は今までの階段とは大きく違わない。
歴史を感じさせる傷やひびだらけの石段だ。
階段の下までは暗くて肉眼では見えなくなっている。
「何してんのよ。早く行くよ。」
7階層まで来た感慨と、先の見えない不安を感じる僕をあざ笑うかのようにリリアは率先して階段を降り始めた。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
49
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる