貴方達から離れたら思った以上に幸せです!

「君の妹を正妻にしたい。ナターリアは側室になり、僕を支えてくれ」

 信じられない要求を口にした夫のヴィクターは、私の妹を抱きしめる。
 私の両親も同様に、妹のために受け入れろと口を揃えた。

「お願いお姉様、私だってヴィクター様を愛したいの」
「ナターリア。姉として受け入れてあげなさい」
「そうよ、貴方はお姉ちゃんなのよ」

 妹と両親が、好き勝手に私を責める。
 昔からこうだった……妹を庇護する両親により、私の人生は全て妹のために捧げていた。
 まるで、妹の召使のような半生だった。

 ようやくヴィクターと結婚して、解放されたと思っていたのに。
 彼を愛して、支え続けてきたのに……

「ナターリア。これからは妹と一緒に幸せになろう」

 夫である貴方が私を裏切っておきながら、そんな言葉を吐くのなら。
 もう、いいです。

「それなら、私が出て行きます」


 ……

「「「……え?」」」


 予想をしていなかったのか、皆が固まっている。
 でも、もう私の考えは変わらない。

 撤回はしない、決意は固めた。
 私はここから逃げ出して、自由を得てみせる。
 だから皆さん、もう関わらないでくださいね。



   ◇◇◇◇◇◇


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