63 / 64
第四章:純情ヤンキーは恋愛が苦手?
3
しおりを挟む叶わない恋をいつまでも追いかけ続けているなんて、自分でもバカだと思う。それでもずっと好きだった。小さいころからずっと。
でも、もうこの気持ちは手放すべきだ。
「ま、そーゆうことだから、もう過去形でいいんだよ」
一歩前に踏み出した瞬間、奏十に手を掴まれた。一瞬のことで、何が起きたのかわからなかった。
あっという間に奏十に手を引かれ、そのまま抱きしめられた。
「かな、と……?」
「そんなやつやめて、俺を見ろよ」
「……え」
「お前のこと見てるやつは、ちゃんとここにいるから」
言葉の上澄みだけを聞き取っているようで、その中にある奏十の感情が読み取れなかった。ただ、奏十の体温だけが伝わってくる。驚きと緊張で体が動かない。
……今、抱きしめられてる?
「……なーんてな」
奏十は俺を離すと、いたずらをした子供みたいに笑った。
「こんな感じで伝えれば、振り向いてもらえるかもって」
「……お前なぁ、びっくりさせんなよ」
途端に体から力が抜ける。
「悪い、悪い」
「俺を練習台にすんのはいいけど、やるならちゃんと成功させろよ?」
「おう。任せろ。意地でも振り向かせるから」
「いいね。どうせならそれくらい強気でいこうぜ」
奏十の背中をバシッと叩く。そうでもしないと、さっきの感情に引きずられてしまいそうだった。
自分を見てくれる誰かに縋りたい。そんなバカみたいな感情に。
そのまま二人で学校までの道のりを歩いていると、見覚えのある顔を見つけた。
0
あなたにおすすめの小説
この身を滅ぼすほど、狂った執着を君に。─隻眼の幼馴染が、突然別人に成り代わったみたいに、おれを溺愛し始めた─
髙槻 壬黎
BL
【誰よりも優しい君の、その特別になりたかった。あいつにだけ向けるその瞳に、俺は映りたかったんだ───】
村を魔物に襲われ、命からがら逃げ出した少年・フレデリクを救ったのは、美しくも飄々とした貴族の少年──テオドア・ユートリスだった。
それから十二年。いろいろありつつも立派に育ったフレデリクは、訳あって左目を負傷したテオドアと共に、ギルドで依頼をこなす剣士として穏やかな生活を送っていた。
しかしそんな二人の関係は、ある日を境に、突然歪み始めてしまう。
数日間の外出から戻ったテオドアは、以前とどこか様子が違って見えた。
表情も、言葉遣いも、距離感さえも──まるで「別人」のように。
戸惑うフレデリクだったが、そんな彼を見つめるテオドアの瞳には、何故か歪んだ愛情が滲んでいた。
「──好きだ。フレデリクのことが、どうしようもなく、好きなんだ……」
震える声に、熱く抱きしめてくる体。
テオドアにずっと片思いしていたフレデリクは、彼と付き合うことになるが、不気味な違和感は拭いきれないまま。
このテオドアは、本当に自分がよく知る"テオドア"なのだろうか。
フレデリクは彼の変化に違和感を持つ内に、閉ざしていた"あの男"との記憶を、嫌でも思い出すことになっていく──
三角関係×ヤンデレ×ファンタジー
平凡ワンコ系が憧れの幼なじみにめちゃくちゃにされちゃう話(小説版)
優狗レエス
BL
Ultra∞maniacの続きです。短編連作になっています。
本編とちがってキャラクターそれぞれ一人称の小説です。
アイドルくん、俺の前では生活能力ゼロの甘えん坊でした。~俺の住み込みバイト先は後輩の高校生アイドルくんでした。
天音ねる(旧:えんとっぷ)
BL
家計を助けるため、住み込み家政婦バイトを始めた高校生・桜井智也。豪邸の家主は、寝癖頭によれよれTシャツの青年…と思いきや、その正体は学校の後輩でキラキラ王子様アイドル・橘圭吾だった!?
学校では完璧、家では生活能力ゼロ。そんな圭吾のギャップに振り回されながらも、世話を焼く日々にやりがいを感じる智也。
ステージの上では完璧な王子様なのに、家ではカップ麺すら作れない究極のポンコツ男子。
智也の作る温かい手料理に胃袋を掴まれた圭吾は、次第に心を許し、子犬のように懐いてくる。
「先輩、お腹すいた」「どこにも行かないで」
無防備な素顔と時折見せる寂しげな表情に、智也の心は絆されていく。
住む世界が違うはずの二人。秘密の契約から始まる、甘くて美味しい青春ラブストーリー!
幼馴染は僕を選ばない。
佳乃
BL
ずっと続くと思っていた〈腐れ縁〉は〈腐った縁〉だった。
僕は好きだったのに、ずっと一緒にいられると思っていたのに。
僕がいた場所は僕じゃ無い誰かの場所となり、繋がっていると思っていた縁は腐り果てて切れてしまった。
好きだった。
好きだった。
好きだった。
離れることで断ち切った縁。
気付いた時に断ち切られていた縁。
辛いのは、苦しいのは彼なのか、僕なのか…。
ヤンキーΩに愛の巣を用意した結果
SF
BL
アルファの高校生・雪政にはかわいいかわいい幼馴染がいる。オメガにして学校一のヤンキー・春太郎だ。雪政は猛アタックするもそっけなく対応される。
そこで雪政がひらめいたのは
「めちゃくちゃ居心地のいい巣を作れば俺のとこに居てくれるんじゃない?!」
アルファである雪政が巣作りの為に奮闘するが果たして……⁈
ちゃらんぽらん風紀委員長アルファ×パワー系ヤンキーオメガのハッピーなラブコメ!
※猫宮乾様主催 ●●バースアンソロジー寄稿作品です。
うなじの噛み跡
kurage
BL
王宮で才能を恐れられ孤立してきた王子オルガは、その生活に耐えられずに街に降りた。その先で恐喝され、荷物も失い倒れ込んだ彼を救ったのは、青年ルーカスだった。安心する匂いに心が緩む一方、衝動が暴走し、オルガは思わず彼のうなじに噛みついてしまう。ルーカスのうなじに残った4つの穴が二人の運命を大きく変えていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる