【完結】勇者PTから追放された空手家の俺、可愛い弟子たちと空手無双する。俺が抜けたあとの勇者たちが暴走? じゃあ、最後に俺が息の根をとめる

ともボン

文字の大きさ
16 / 104
第三章 ~Sランクの緊急任務に参加するということ~

道場訓 十六    冒険者ギルドからの追放宣言

しおりを挟む
 冒険者ギルドに入った直後、俺が感じたのはピリピリと肌に伝わってくる緊張感だった。

 テーブルの席は全部が冒険者たちで埋まっているが、酒を飲んだり談笑している雰囲気は微塵みじんも感じられない。

 全員が全員とも何かにおびえているような感じさえある。

 まるでに向かう前の空気に似ているな。

 そう思いながら俺は、依頼書が貼られているはずの掲示板へと向かった。

 しかし、肝心の掲示板には依頼書がまったく貼られていない。

 報酬が破格な高ランクの依頼書はともかくとして、薬草採取や低級の魔物討伐などの低ランクの依頼書が一枚も貼られていないのはおかしかった。

 むしろ商業街の冒険者ギルドならば、そんな依頼のほうが多くあるはずなのに。

「エミリア、君はよくこの冒険者ギルドを使っていたんだろう? ここはいつもこんな感じなのか?」

「いいえ……数日前に来たときはもっと依頼書が貼ってありましたし、さすがに一枚も依頼書が貼ってなかったときはないはずです」

「そうか……とりあえず、カウンターの受付係に聞いてみるか」

 俺とエミリアはカウンターに向かい、受付係の女性に話しかけた。

「すみません、ちょっと聞きたいことがあるのですが」

「はい、構いませんよ。では、先にお名前をうかがってもよろしいでしょうか?」

「俺は冒険者Cランクのケンシン・オオガミです。隣にいるのは――」

 と、エミリアのことも伝えようとしたときだ。

「ケ、ケンシン・オオガミ! あの勇者パーティーから追放されたケンシン・オオガミさんですか!」

 受付係の女性が大声で叫んだせいで、他の冒険者たちの目が一斉に俺たちの元へ向けられた。

「申し訳ありません、ケンシン・オオガミさん! そこでちょっと待っていて下さい! すぐに上の者を呼んできますから!」

 そう言うと受付係の女性は、慌てた様子でカウンターの奥へと消えていく。

 周囲がざわつき始めたとき、俺はポリポリと鼻先を掻きながら嘆息たんそくした。

 う~ん、何かよからぬことの前触れな気がする。

 などと考えながら受付係の女性の帰りを待っていると、やがて受付係の女性はカウンターの奥から一人の男を連れて戻ってきた。

 身長2メートルはある、40十代前半とおぼしき筋骨隆々の黒人の男だ。

「お前が勇者パーティーをクビになったケンシン・オオガミか?」

 黒人の男はさげすむような目で俺を見下ろしながら、開口一番そんなことを言った。

「そうですが……それが何か?」

 俺が逆に訊き返すと、黒人の男はフンと鼻を鳴らした。

「やはりそうか。その外套の下に着ている空手着からてぎが何よりの証拠だからな。だったら副ギルド長としてお前に言いたいことがある」

 黒人の男は俺に対して、一本だけ突き立てた右手の人差し指を突きつける。

 そして――。

「ケンシン・オオガミ、お前の冒険者ライセンスを剥奪はくだつする! そしてここから一刻も早く出て行け!」

 俺はまたしても追放を言い渡された。

 おいおい、またか。

 俺が怒りを通り越して呆れていると、他の冒険者たちの目の色が変わった。

 ケンシン・オオガミの冒険者ライセンスを剥奪はくだつする。

 副ギルド長と名乗る黒人の男の宣言に、ギルド内にいた冒険者たちは一気にざわついたのだ。

 無理もなかった。

 冒険者ライセンスの剥奪はくだつというのは、依頼人を不当に殺したりなど相当の罪を犯さないと適用されることはない。

 そんな冒険者ライセンスを堂々と公衆の面前で剥奪はくだつされるというのだ。

 しかも剥奪はくだつされるのは勇者パーティーを追放されたサポーター。

 ざわつくのも当たり前だった。

 だが、周囲がどういう状況だろうと俺は納得できるはずがない。

 それこそ冒険者ギルドの規約には、勇者パーティーから追放された者の冒険者ライセンスを剥奪はくだつするという記載きさいなど一切なかったはずだ。

 なので俺は当然の如く反論しようとした。

「おい、それは一体どういう――」

 ことだ、と俺が黒人の男に詰め寄ろうとしたときだ。

「ドラゴさん、それは一体どういうことなのですか!」

 当人の俺よりも激高げっこうした人間がいた。

 隣にいたエミリアである。

「お前はCランク冒険者のエミリアだな。どうしてお前がこの無能の追放者と一緒にいるんだ?」

「そんなことよりも答えて下さい! どうしてケンシン師匠の冒険者ライセンスが剥奪はくだつされるんですか!」

 黒人の男――ドラゴは「決まっているだろう」と偉そうにふんぞり返った。

「ここは勇者パーティーの中の紅一点こういってんであり、魔法の申し子であるアリーゼ・クインの生まれ育った街だ! その街の冒険者ギルドの副ギルド長として、俺たちの街から出た英雄の足を引っ張った無能のサポーターに仕事を斡旋あっせんなどできん! それがライセンスを剥奪はくだつする理由だ!」

 俺とエミリアは思わず互いの顔を見合わせた。

「エミリア……今の理由について納得できるか?」

「いいえ、まったく納得できません。どう聞いてもドラゴさんの私的な感情からの職権乱用しょっけんらんよう行為です」

 そうだよな。

 冷静な頭があれば、他の人間もエミリアと同じ考えになるはずだ。

 などと思った俺が甘かった。

「ははははは、こいつはすげえ! 勇者パーティーから追放された無能が、今度は冒険者ライセンスを剥奪はくだつされるってよ!」

「副ギルド長の言う通りだ! 俺たちの街を有名にしてくれた、アリーゼの足を引っ張った野郎の仕事なんて信用できねえ! ライセンス剥奪はくだつ妥当だとうってもんだ!」

「さっさと出て行け、くそ野郎! いつまでもそこにいると目障めざわりなんだよ!」

 次の瞬間、俺への罵倒ばとうの嵐が吹き荒れた。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

さんざん馬鹿にされてきた最弱精霊使いですが、剣一本で魔物を倒し続けたらパートナーが最強の『大精霊』に進化したので逆襲を始めます。

ヒツキノドカ
ファンタジー
 誰もがパートナーの精霊を持つウィスティリア王国。  そこでは精霊によって人生が決まり、また身分の高いものほど強い精霊を宿すといわれている。  しかし第二王子シグは最弱の精霊を宿して生まれたために王家を追放されてしまう。  身分を剥奪されたシグは冒険者になり、剣一本で魔物を倒して生計を立てるようになる。しかしそこでも精霊の弱さから見下された。ひどい時は他の冒険者に襲われこともあった。  そんな生活がしばらく続いたある日――今までの苦労が報われ精霊が進化。  姿は美しい白髪の少女に。  伝説の大精霊となり、『天候にまつわる全属性使用可』という規格外の能力を得たクゥは、「今まで育ててくれた恩返しがしたい!」と懐きまくってくる。  最強の相棒を手に入れたシグは、今まで自分を見下してきた人間たちを見返すことを決意するのだった。 ーーーーーー ーーー 閲覧、お気に入り登録、感想等いつもありがとうございます。とても励みになります! ※2020.6.8お陰様でHOTランキングに載ることができました。ご愛読感謝!

【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』

ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。 全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。 「私と、パーティを組んでくれませんか?」 これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!

能力『ゴミ箱』と言われ追放された僕はゴミ捨て町から自由に暮らすことにしました

御峰。
ファンタジー
十歳の時、貰えるギフトで能力『ゴミ箱』を授かったので、名門ハイリンス家から追放された僕は、ゴミの集まる町、ヴァレンに捨てられる。 でも本当に良かった!毎日勉強ばっかだった家より、このヴァレン町で僕は自由に生きるんだ! これは、ゴミ扱いされる能力を授かった僕が、ゴミ捨て町から幸せを掴む為、成り上がる物語だ――――。

収納魔法を極めた魔術師ですが、勇者パーティを追放されました。ところで俺の追放理由って “どれ” ですか?

木塚麻弥
ファンタジー
収納魔法を活かして勇者パーティーの荷物持ちをしていたケイトはある日、パーティーを追放されてしまった。 追放される理由はよく分からなかった。 彼はパーティーを追放されても文句の言えない理由を無数に抱えていたからだ。 結局どれが本当の追放理由なのかはよく分からなかったが、勇者から追放すると強く言われたのでケイトはそれに従う。 しかし彼は、追放されてもなお仲間たちのことが好きだった。 たった四人で強大な魔王軍に立ち向かおうとするかつての仲間たち。 ケイトは彼らを失いたくなかった。 勇者たちとまた一緒に食事がしたかった。 しばらくひとりで悩んでいたケイトは気づいてしまう。 「追放されたってことは、俺の行動を制限する奴もいないってことだよな?」 これは収納魔法しか使えない魔術師が、仲間のために陰で奮闘する物語。

隠して忘れていたギフト『ステータスカスタム』で能力を魔改造 〜自由自在にカスタマイズしたら有り得ないほど最強になった俺〜

桜井正宗
ファンタジー
 能力(スキル)を隠して、その事を忘れていた帝国出身の錬金術師スローンは、無能扱いで大手ギルド『クレセントムーン』を追放された。追放後、隠していた能力を思い出しスキルを習得すると『ステータスカスタム』が発現する。これは、自身や相手のステータスを魔改造【カスタム】できる最強の能力だった。  スローンは、偶然出会った『大聖女フィラ』と共にステータスをいじりまくって最強のステータスを手に入れる。その後、超高難易度のクエストを難なくクリア、無双しまくっていく。その噂が広がると元ギルドから戻って来いと頭を下げられるが、もう遅い。  真の仲間と共にスローンは、各地で暴れ回る。究極のスローライフを手に入れる為に。

【完結】帝国から追放された最強のチーム、リミッター外して無双する

エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】  スペイゴール大陸最強の帝国、ユハ帝国。  帝国に仕え、最強の戦力を誇っていたチーム、『デイブレイク』は、突然議会から追放を言い渡される。  しかし帝国は気づいていなかった。彼らの力が帝国を拡大し、恐るべき戦力を誇示していたことに。  自由になった『デイブレイク』のメンバー、エルフのクリス、バランス型のアキラ、強大な魔力を宿すジャック、杖さばきの達人ランラン、絶世の美女シエナは、今まで抑えていた実力を完全開放し、ゼロからユハ帝国を超える国を建国していく。   ※この世界では、杖と魔法を使って戦闘を行います。しかし、あの稲妻型の傷を持つメガネの少年のように戦うわけではありません。どうやって戦うのかは、本文を読んでのお楽しみです。杖で戦う戦士のことを、本文では杖士(ブレイカー)と描写しています。 ※舞台の雰囲気は中世ヨーロッパ〜近世ヨーロッパに近いです。 〜『デイブレイク』のメンバー紹介〜 ・クリス(男・エルフ・570歳)   チームのリーダー。もともとはエルフの貴族の家系だったため、上品で高潔。白く透明感のある肌に、整った顔立ちである。エルフ特有のとがった耳も特徴的。メンバーからも信頼されているが…… ・アキラ(男・人間・29歳)  杖術、身体能力、頭脳、魔力など、あらゆる面のバランスが取れたチームの主力。独特なユーモアのセンスがあり、ムードメーカーでもある。唯一の弱点が…… ・ジャック(男・人間・34歳)  怪物級の魔力を持つ杖士。その魔力が強大すぎるがゆえに、普段はその魔力を抑え込んでいるため、感情をあまり出さない。チームで唯一の黒人で、ドレッドヘアが特徴的。戦闘で右腕を失って以来義手を装着しているが…… ・ランラン(女・人間・25歳)  優れた杖の腕前を持ち、チームを支える杖士。陽気でチャレンジャーな一面もあり、可愛さも武器である。性格の共通点から、アキラと親しく、親友である。しかし実は…… ・シエナ(女・人間・28歳)  絶世の美女。とはいっても杖士としての実力も高く、アキラと同じくバランス型である。誰もが羨む美貌をもっているが、本人はあまり自信がないらしく、相手の反応を確認しながら静かに話す。あるメンバーのことが……

レベル1の時から育ててきたパーティメンバーに裏切られて捨てられたが、俺はソロの方が本気出せるので問題はない

あつ犬
ファンタジー
王国最強のパーティメンバーを鍛え上げた、アサシンのアルマ・アルザラットはある日追放され、貯蓄もすべて奪われてしまう。 そんな折り、とある剣士の少女に助けを請われる。「パーティメンバーを助けてくれ」! 彼の人生が、動き出す。

コストカットだ!と追放された王宮道化師は、無数のスキルで冒険者として成り上がる。

あけちともあき
ファンタジー
「宮廷道化師オーギュスト、お前はクビだ」  長い間、マールイ王国に仕え、平和を維持するために尽力してきた道化師オーギュスト。  だが、彼はその活躍を妬んだ大臣ガルフスの陰謀によって職を解かれ、追放されてしまう。  困ったオーギュストは、手っ取り早く金を手に入れて生活を安定させるべく、冒険者になろうとする。  長い道化師生活で身につけた、数々の技術系スキル、知識系スキル、そしてコネクション。  それはどんな難関も突破し、どんな謎も明らかにする。  その活躍は、まさに万能!  死神と呼ばれた凄腕の女戦士を相棒に、オーギュストはあっという間に、冒険者たちの中から頭角を現し、成り上がっていく。  一方、国の要であったオーギュストを失ったマールイ王国。  大臣一派は次々と問題を起こし、あるいは起こる事態に対応ができない。  その方法も、人脈も、全てオーギュストが担当していたのだ。  かくしてマールイ王国は傾き、転げ落ちていく。 目次 連載中 全21話 2021年2月17日 23:39 更新

処理中です...