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最終章 ~華やかで煌びやかな地下の世界・元勇者の消滅編~
道場訓 八十九 女空手家の脱出劇
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一方、その頃――。
拙者ことキキョウ・フウゲツは、息を切らせながら疾走していた。
「はあ……はあ……一体、ここはどこなんだ?」
とりあえず、頭と身体を落ち着かせるために拙者は立ち止まる。
しかし、一目につく通路で堂々と休むわけにはいかない。
なので拙者は近くの部屋へと向かうと、そっと扉を開けて中の気配を探った。
ほっと息を撫で下ろす。
どうやら、この部屋は無人のようだ。
そう判断した直後、拙者は急いで部屋の中へと飛び込んだ。
「ふう……これで少しは落ち着けるな」
拙者は独りごちると、倉庫のような部屋の隅で何度も深呼吸を繰り返した。
さて、これからどうしたものか。
拙者は息を整えると、数時間前のことを思い出す。
武士団ギルドで役人に捕まったとき、拙者はこれが運命だと察した。
ケンシン・オオガミという偉大な師匠ができて喜んだ一方、拙者は頭の片隅で1人のサムライだった者としてケジメをどうつけたらいいのかも悩んでいた。
もちろん、非合法な魔薬を使っていたことだ。
だからこそ、拙者は大人しく役人に捕まった。
こうして自分が捕まったのも運命だと受け入れ、きちんと罪を償ってから再びケンシン師匠や他の姉妹弟子たちと会おうと思ったのである。
普通ならば役人に捕まるような罪を犯した者など、弟子入りどころか入門すらできない。
だが、ケンシン師匠はこんな私でも受け入れてくれた。
何年かかるか分からないが、罪を償って綺麗な身になってから再びケンシン師匠の弟子になろう。
そう思って役人の指示に従って馬車に乗ったのだが、気づくとこんな奇妙な場所へと連れて来られていた。
どう見てもヤマトタウンの奉行所ではない。
ここはもっと歪で、もっと血生臭い危険な場所だ。
拙者の武人としての本能がそう告げている。
ここにいつまでもいるのは危険だ、と。
しかし、外へと通じる場所がどこかまったく分からない。
とはいえ、闇雲に走り回っていても警備の人間たちに見つかるだけだ。
それでも、と拙者は身を隠していた部屋から通路へと出た。
どのみち、一か所に留まっていても危険なのだ。
だったら拙者の取る行動は1つ。
情報収集しかない。
誰か適当な人間を捕まえて、ここがどこで、どうやったら出られるかを問い質すのだ。
などと思った直後である。
ザワッ、と全身の産毛が総毛立った。
「おやおや、見たことのある格好をした人ですね」
私は慌てて振り返った。
数メートルほど離れた場所に、〝般若の面〟を被った1人の男が立っていた。
拙者ことキキョウ・フウゲツは、息を切らせながら疾走していた。
「はあ……はあ……一体、ここはどこなんだ?」
とりあえず、頭と身体を落ち着かせるために拙者は立ち止まる。
しかし、一目につく通路で堂々と休むわけにはいかない。
なので拙者は近くの部屋へと向かうと、そっと扉を開けて中の気配を探った。
ほっと息を撫で下ろす。
どうやら、この部屋は無人のようだ。
そう判断した直後、拙者は急いで部屋の中へと飛び込んだ。
「ふう……これで少しは落ち着けるな」
拙者は独りごちると、倉庫のような部屋の隅で何度も深呼吸を繰り返した。
さて、これからどうしたものか。
拙者は息を整えると、数時間前のことを思い出す。
武士団ギルドで役人に捕まったとき、拙者はこれが運命だと察した。
ケンシン・オオガミという偉大な師匠ができて喜んだ一方、拙者は頭の片隅で1人のサムライだった者としてケジメをどうつけたらいいのかも悩んでいた。
もちろん、非合法な魔薬を使っていたことだ。
だからこそ、拙者は大人しく役人に捕まった。
こうして自分が捕まったのも運命だと受け入れ、きちんと罪を償ってから再びケンシン師匠や他の姉妹弟子たちと会おうと思ったのである。
普通ならば役人に捕まるような罪を犯した者など、弟子入りどころか入門すらできない。
だが、ケンシン師匠はこんな私でも受け入れてくれた。
何年かかるか分からないが、罪を償って綺麗な身になってから再びケンシン師匠の弟子になろう。
そう思って役人の指示に従って馬車に乗ったのだが、気づくとこんな奇妙な場所へと連れて来られていた。
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ここにいつまでもいるのは危険だ、と。
しかし、外へと通じる場所がどこかまったく分からない。
とはいえ、闇雲に走り回っていても警備の人間たちに見つかるだけだ。
それでも、と拙者は身を隠していた部屋から通路へと出た。
どのみち、一か所に留まっていても危険なのだ。
だったら拙者の取る行動は1つ。
情報収集しかない。
誰か適当な人間を捕まえて、ここがどこで、どうやったら出られるかを問い質すのだ。
などと思った直後である。
ザワッ、と全身の産毛が総毛立った。
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