わたしにしか懐かない龍神の子供(?)を拾いました~可愛いんで育てたいと思います

あきた

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第七章

43・お出かけの日

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 キイロは頷く。

「こんなに綺麗な着物を頂いて、どんなにお礼を言っても伝わらないかも」
「よくお似合いです。でもきっと私が選んだもののほうがもっとあなたを輝かせますよ。わたしのほうがあなたを見て来たので」

 え?と思っておぼろを見たが、朧はただ静かに微笑んでいるだけで、キイロはなにも言えなかった。



 翌日、キイロと梅花、りんの三人で朧の指定した喫茶へ向かった。

「新しいカフェーよね、わたし行きたかったの!」

 喜ぶ梅花に「そうなの?」とキイロは尋ねた。

「ええ!帝王ホテルにもともといた人がオーナーになって自分のお店を始めたそうよ。いますごい人気で中々入る事も難しいはずなのに」

 そういえば、朧に用意されたホテルも帝王ホテルだったな、とキイロは思いだす。

「朧様は帝王ホテルがお好きなのかしら」
「あらキイロ、朧様は恐れ多くも陛下のおぼえめでたい一族の方よ、帝王ホテルは陛下もお泊りになられる位の場所だもの、そりゃお使いになられるわ」

 だから梅花には、帝王ホテルを選んだ朧の気持ちもわかるし、襲われたことの恐怖も判る。

(朧様は、本当にキイロの事を思って帝王ホテルを選ばれたに違いない。でも、あのホテルに顔がきく敵がいるとしたら、相当高い位置の人ってことね)

 だからきっと、わざわざ自分の屋敷に梅花というキイロの友人も一緒に住まわせているのだ。

「到着しました。どうぞお気をつけて」

 運転手がそう言って、三人は車から降りた。


「わあ!」

 思わずキイロは声をあげた。

 英国風の雰囲気を出しつつ、和風の建材で作られたカフェは不思議な世界の建物のようだ。

「素敵……!」

 思わず店の中を覗き込むと、受付の所でたっていた可愛いエプロン姿の女給が声をかけてきた。

「いらっしゃいませ。ご予約はおすみですか?」
「ええ。薄氷で入っているかと」

 梅花が答えると、女給ははっとした表情になり、ふっと笑顔を見せ、深々と頭を下げた。

「お待ちしておりました。お席へご案内いたします」

 案内されて店内に入ると、そこはまるで異国のような雰囲気でキイロはますます目を見張った。
 珍しい人形や可愛らしい箱、異国情緒あふれるもので飾られ夢中になりそうだ。

「キイロ、あんまりよそ見してたら」

 心配する梅花に、「え?」と振り返ったその時、どんっと誰かにぶつかった。

「ご、ごめんなさい!」

 慌てて顔をあげると、そこにはものすごく体格の良い、コック服を着た男性が立っていた。

(で、でっか……!)

 多分、キイロの人生でこの目の前の人が世界一大きな人だ。
 あまりに大きすぎて驚いていると、その大きな男性は髭モジャの顔で、にっこり笑った。

「大丈夫かい?お嬢さん」
「え、あ、はい」

 転ぶところを支えてくれたらしい。

「すみません、よく見てなくて」
「いいってことよ!この店、可愛いだろう?俺の自慢なんだ!」

 そういってがっはっは、と笑う男性は、粗野な雰囲気なのに品があった。

「さて、朧の嫁さんが来たときいたんで迎えに出たんだが、あんたがそうだね?」

 突然そう言われ、キイロは頷く。

「はい」
「俺はこの店のオーナーの枯野だ。枯野青白。朧とは古くからの仲だ。よろしく」
「よろしくお願いします」

 キイロが頭を下げると、青白は「うん!」と頷いた。
 元気のいい人だなあ、とキイロは青白を見上げた。

「さ、じゃあご案内しよう。といっても狭い店だが」

 青白に連れられ、キイロと梅花、そして梅花と手を繋いだりんがぞろぞろと店内に入って行った。

 店内は青白がいうほど狭くもない。
 ちょっと大きな広間、といった部屋が三つ並んでいて、奥のテーブルの椅子に朧が座っていた。
 朧は遠目から見ても目立ち、異国風の店の雰囲気もあってまるで絵のようだった。
 そして、同じ店にいる女性たちの全てといって良いほど、朧に視線が集まっていた。

 朧は目を伏せていたが、キイロを見つけると席を立ち、笑顔になった。

「こちらです。良い席を友人が用意してくれました」

 そのちょっと子供っぽい笑顔に、朧を見ていた女性陣は驚き、ざっと視線がキイロに集まった。
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