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第七章
44・素敵なデザート
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(うわ、やっぱ朧様ってすごいんだ)
そんな事を考えながら朧はキイロの手を取り、椅子にすすめた。
「ありがとうございます」
「いいえ、こちらこそ。友人のお店に呼んでしまって。気に入っていただけると良いのですが」
朧が言うと、青白が言った。
「気に入ったよな?」
「勿論です。とても素敵なお店で。こんなに素敵な場所に来たことがなくて」
「ホラ、どうだ朧、俺のおかげだろ?」
「まだ判りませんよ。あくまで店の事だけなので」
「なんだと?見とけよ、最高のデザート持ってきてやるからな!」
そういうと青白は厨房へはりきって戻って行った。
「お友達なんですか?」
「ええ。腐れ縁というか、幼馴染ですね。気のいい奴で、信頼しています。あなたでいうと梅花さんの立場かな」
「じゃあ、大親友です」
キイロが言うと梅花も「そうね」と頷く。
(信頼できる方がいるのね、良かった)
キイロが思っていると梅花が尋ねた。
「このお店、朧様のお友達のだったんですね」
「ええ。彼とは幼馴染で、元々自分の店を持ちたいとずっと言っていましたからね。夢が叶って喜んでいますよ」
「とっても素敵なお店です」
「あなたに喜んでいただけるのなら、あいつにお礼を言わなくちゃ」
そして朧は続けた。
「あなたのその着物、昨日見てもよかったけれど、今日は一段と映えますね。とても可愛い」
人前で褒められて、キイロは赤くなる。
朧は機嫌よくずっとニコニコしていて、その様子を周りの女性がじっと観察しているのも見える。
(やっぱり、何度見ても信じられないな)
まさか自分みたいな、貧相な小娘にこんな素敵な人が結婚してくれるなんて。
(実際はまだだけど。多分)
「今日は行けませんけど、今度はお休みを頂いたらあなたの好きなものを買いにいきましょうね。こう見えても甲斐性はそこそこありますよ」
「そんな。こんなに素敵な着物を頂いたのに」
「それは藍銅伯爵からのプレゼントでしょう?わたしはまだあなたに全然なにも与えてない」
「いえ、毎日十分な生活を頂いてます」
キイロは思う。
ごはんも、おふとんも、働くこともせず、りんと一緒に絵本を読んで、プレゼントをあけて、着替えてはしゃいで。
「とっても幸せです」
「足りませんよ」
朧は言う。
「あなたがわたしにあたえてくれた幸福に比べたら到底足りません」
その事を全く覚えていないキイロからしたら、誰かの利益を取っているような気すらする。
(本当に私なんだろうか)
ただ、朧が持っていた写真は間違いなく自分だし、ここまでいろいろできる朧が間違えることもないだろうし。
曖昧なままなのでちょっとは不安があるのだけど。
「さあ、お嬢さん、お坊ちゃんがた、お待ちかねの特別デザートですよ!自慢の品だ!」
そういって青白が次々にテーブルの上にデザートを置いた。
突然、りんの目が輝く。
「うまそうじゃ!」
「そうだぞ、ぜんぶうまいぞ!」
三段重ねのデザート皿には見たことのない綺麗なものが沢山重なっていて、次々に可愛らしいケーキやデザートが並べられた。
「これが当店の、目玉商品だ!」
それはまるで海の浅瀬を思わせるような、薄い水色のソーダ水だ。
グラスの中の氷がゆっくりまわり、氷の上には丸いアイスが乗っかっている。
「なんじゃこれは!」
りんが驚き言うので、「ソーダです」と梅花が答えた。
「のむ!のむ!」
はりきって手を伸ばすので、梅花とキイロはりんの前にソーダを移動させた。
「慌てないで、どうぞ」
「いただく!」
そういってりんはストローをくわえた。
一生懸命ソーダを吸う姿が可愛くて、つい微笑んでいると、朧も微笑んでいた。
「どうぞあなたも」
「ええ、いただきます」
キイロは勧められた銀の器をうけとり、中を見た。
まるで薔薇のようにきれいに飾られたアイスと、きらきら輝く星のような氷と、砕かれたゼリー、フルーツが綺麗に切られて並んでいる。
そんな事を考えながら朧はキイロの手を取り、椅子にすすめた。
「ありがとうございます」
「いいえ、こちらこそ。友人のお店に呼んでしまって。気に入っていただけると良いのですが」
朧が言うと、青白が言った。
「気に入ったよな?」
「勿論です。とても素敵なお店で。こんなに素敵な場所に来たことがなくて」
「ホラ、どうだ朧、俺のおかげだろ?」
「まだ判りませんよ。あくまで店の事だけなので」
「なんだと?見とけよ、最高のデザート持ってきてやるからな!」
そういうと青白は厨房へはりきって戻って行った。
「お友達なんですか?」
「ええ。腐れ縁というか、幼馴染ですね。気のいい奴で、信頼しています。あなたでいうと梅花さんの立場かな」
「じゃあ、大親友です」
キイロが言うと梅花も「そうね」と頷く。
(信頼できる方がいるのね、良かった)
キイロが思っていると梅花が尋ねた。
「このお店、朧様のお友達のだったんですね」
「ええ。彼とは幼馴染で、元々自分の店を持ちたいとずっと言っていましたからね。夢が叶って喜んでいますよ」
「とっても素敵なお店です」
「あなたに喜んでいただけるのなら、あいつにお礼を言わなくちゃ」
そして朧は続けた。
「あなたのその着物、昨日見てもよかったけれど、今日は一段と映えますね。とても可愛い」
人前で褒められて、キイロは赤くなる。
朧は機嫌よくずっとニコニコしていて、その様子を周りの女性がじっと観察しているのも見える。
(やっぱり、何度見ても信じられないな)
まさか自分みたいな、貧相な小娘にこんな素敵な人が結婚してくれるなんて。
(実際はまだだけど。多分)
「今日は行けませんけど、今度はお休みを頂いたらあなたの好きなものを買いにいきましょうね。こう見えても甲斐性はそこそこありますよ」
「そんな。こんなに素敵な着物を頂いたのに」
「それは藍銅伯爵からのプレゼントでしょう?わたしはまだあなたに全然なにも与えてない」
「いえ、毎日十分な生活を頂いてます」
キイロは思う。
ごはんも、おふとんも、働くこともせず、りんと一緒に絵本を読んで、プレゼントをあけて、着替えてはしゃいで。
「とっても幸せです」
「足りませんよ」
朧は言う。
「あなたがわたしにあたえてくれた幸福に比べたら到底足りません」
その事を全く覚えていないキイロからしたら、誰かの利益を取っているような気すらする。
(本当に私なんだろうか)
ただ、朧が持っていた写真は間違いなく自分だし、ここまでいろいろできる朧が間違えることもないだろうし。
曖昧なままなのでちょっとは不安があるのだけど。
「さあ、お嬢さん、お坊ちゃんがた、お待ちかねの特別デザートですよ!自慢の品だ!」
そういって青白が次々にテーブルの上にデザートを置いた。
突然、りんの目が輝く。
「うまそうじゃ!」
「そうだぞ、ぜんぶうまいぞ!」
三段重ねのデザート皿には見たことのない綺麗なものが沢山重なっていて、次々に可愛らしいケーキやデザートが並べられた。
「これが当店の、目玉商品だ!」
それはまるで海の浅瀬を思わせるような、薄い水色のソーダ水だ。
グラスの中の氷がゆっくりまわり、氷の上には丸いアイスが乗っかっている。
「なんじゃこれは!」
りんが驚き言うので、「ソーダです」と梅花が答えた。
「のむ!のむ!」
はりきって手を伸ばすので、梅花とキイロはりんの前にソーダを移動させた。
「慌てないで、どうぞ」
「いただく!」
そういってりんはストローをくわえた。
一生懸命ソーダを吸う姿が可愛くて、つい微笑んでいると、朧も微笑んでいた。
「どうぞあなたも」
「ええ、いただきます」
キイロは勧められた銀の器をうけとり、中を見た。
まるで薔薇のようにきれいに飾られたアイスと、きらきら輝く星のような氷と、砕かれたゼリー、フルーツが綺麗に切られて並んでいる。
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