わたしにしか懐かない龍神の子供(?)を拾いました~可愛いんで育てたいと思います

あきた

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第八章

52・思い出した!

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 りんには判るのかな?と思いながら笑っていると、りんは「なんじゃ、そんなことか」と呆れた顔になった。

「そんなん、すぐじゃぞ」

 そういうと、りんはキイロに「かがめ」という。
 キイロは素直に従ってりんの前にしゃがんだ。
 指先で額を押され、キイロはしりもちをつきそうになったその瞬間だった。

 ぐおん、とめまいのようなものに襲われ、頭の中に一気に情報が流れ込んできた。



 泣いている男の子がいた。
 いまのりんよりちょっと大きい。
 十歳くらいの子がうずくまっていて、最初は何だろうと思った。
 小さく肩が震えていて、あ、泣いているんだと判ったキイロは、なんとかしなくちゃ、と思った。
 美しい庭の中だった。
 色とりどりの花が咲き乱れ、蝶が飛んでいた。
 男の子の髪は真っ白で、ふと、近くにあった白い花が目についた。

『これだあ』

 キイロはそう信じて、迷いなく花を摘もうとした。
 所が、幼いキイロはわからなかったがそれは白いバラの花で、棘はキイロの手を傷つけた。

(痛い!)

 そう思ったが、どうしてもこのお花でなければ駄目だ、と思ったキイロは一生懸命花を切った。
 なんとか一輪、花を摘むとかがみこむ男の子の所へ走って行った。

『はい』

 キイロが花を差し出すと、男の子は顔をあげた。
 そしてキイロは驚いた。
 美しい白い髪の少年は、びっくるするほど美しかったからだ。

『泣かないで』

 そういって長い髪の少年にキイロが薔薇を差し出すと男の子は不思議そうな表情で花を受け取った。

『ありが、とう』
『いたいの、だいじょうぶ?』

 男の子ははっとして、でも笑顔で頷いた。
 そして花を見つめ、目を見開いた。
 自分の手を見た後、男の子はキイロのちいさな手のひらを広げた。
 キイロの手には薔薇を摘んだときに傷がついていて、その手には血が滲んでいた。
 男の子は表情をゆがめた。
『君のほうが痛いだろ』

 ううん、とキイロは首を左右に振った。
 それは嘘だったけれど、目の前の男のが泣いていない事の方が嬉しかったからだ。
 にこっと微笑むキイロに、男の子は手のひらを撫で『ありがとう』と微笑んだが、キイロの手に何度か触れて、不思議そうな表情になった。

『きみ、力は使えないの?』
『ちから?』
『そっか、まだ守護がついていないのか』
『しゅご?』

 しゅご、とは何だろうか。
 キイロがそう思っていると、男の子との会話が遠くなっていく。
 ふわふわと、まるで水の中でなにか話しているみたいな。

『―――――きみのおかげだよ』

 男の子は笑って言った。

『ねえ、きみ、名前は?』

 訪ねられ、キイロはその時気づいていた。
 目の前の少年は朧だ。
 そしてこの少女は自分で、自分の名前をキイロは喋ろうとした。

 蘇芳すおうキイロ。

 そう言おうとしたその時だった。
 ばちん!ばちん!と何度も頭の中で火花が弾けるような鮮やかな光が繰り返され、その度になにかが開くような、そんな感覚が繰り返される。

『―――――らん、』

 小さなキイロは自分で喋った。

『せんだん、むうらん』

「せんだん、むうらん」

 キイロがそう呟いた瞬間、頭の中で洪水が巻きあがったかのように、記憶が押し寄せてくる。
 あまりに多い情報に、キイロは思わずえづく。

「いかん」

 そういってりんがもういちど、指先でキイロの額をつついた。
 ゆっくりと、記憶の渦が少しずつおさまっていって、やがて夢のように遠くへ去った。

 へたりとキイロがすわりこむと、りんは楽しそうに尋ねた。

「どうじゃった?」
「いま、のは、りんちゃん、の?」
「そうじゃ。われはなんでもできると言ったじゃろう?」

 ちょっと得意げなりんに、キイロは頷く。

「思いだしました。わたしの名前は」
「うん」

 蘇芳キイロじゃない。
 
 キイロは思いだした。

「わたしの、本当の名前は、木蘭もくらん栴檀せんだん木蘭もくらん
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