わたしにしか懐かない龍神の子供(?)を拾いました~可愛いんで育てたいと思います

あきた

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第十一章

76・敵情視察の準備

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「執着に近いのかもしれません。ずっとあなたを探していたので意地になっているのかも、そう思っていました。でもあなたを見つけて、わかったんです。僕はずっとあなたに恋をしていたし、これからもそうです。だからあなたを傷つけるものは許さないし、僕の邪魔をするものも許しません」

 軍人だからだろうか。
 冷静で、自分の考えもちゃんとわかった上で、キイロに考えを伝えてくれる。

「私にはよくわかりません」
 若い女性なら、おぼろを見ればみんな恋に落ちるだろう。
 そのくらい素敵で立派だということは判る。
 でもキイロは毎日のごはんとお布団しか目の前にない。
 自分が朧にふさわしいとは考えないし、だったら思のほうがよっぽどふさわしいだろう。

「判らなくても、僕は毎日あなたといるだけで幸せなのですから」

 そう微笑まれると、キイロはよく判らなくて「はい」と頷くしかない。
 朧は「まあいいでしょう」と笑った。

「あなたが思のことを教えてくれて助かりました。こっちも出来る手は打ちましょう」
「はい」
「梅花さんのお兄さんとも連絡を取りますから、あなたはどうか心配しないで」
「……」

 朧がそう言うなら、とキイロは頷くしかない。

(でも、なんだか不安だなあ)

 なぜか妙な皆騒ぎが、キイロの中にあるのだった。


 船が出港する日が近づき、朧も毎日は家に帰らないようになった。

(本当に大丈夫なのかな)

 あれから、これといって騒ぎがないのが逆に不気味だ。

「朧様は」
「明日から港の警備にあたられるそうですよ。軍の関係者も多くいるからって」
「そう」

 キイロの義兄、朽葉もその船に乗って海外へ渡す手はずになっている。
 義兄の言う事がどこまで本当かはわからないが、あれから大人しくしているらしいし、本人は海外に行ける事がむしろ嬉しいようだと朧に聞いていたので、母親とはうまくいっていなかったのは本当なのかも、とキイロは思った。

「ねえキイロ、一緒に船を見に行かない?」
「見に?」
「出航の前日に船の内覧会があるんですって!兄に招待状を作って貰えるの」
「そんなのがあるのね」
「割と豪華な船っていう話で興味あったの。敵情視察もできるしどうかしら?」
「敵って。船は敵じゃないでしょ」
「でもきっと敵もいるわよ。ね、行きましょ?」

 そう梅花がいうと、にょきっと大男が顔をのぞかせた。

「われもいく」

 キイロの肩に顎をのせてそう言うのはりんだ。

「りんちゃん、あなた大きいから無理よ」
「そうそう、朧様にそっくりだし。混乱するわ」
「じゃあ小さくなる」
 そういうと、りんはあっというまに小さくなった。
「え?」
「どうじゃ、ちいさいぞ。このくらいでいいか?」

 りんは外見が5歳児くらいになった。

「可愛い!りんちゃん可愛いわ!」

 梅花がそういうとりんはえっへんといばった。

「そうじゃろ、そうじゃろ」
「うん、りんちゃん可愛い」
「うむ!われはかわいいのじゃ!」
「ねえ梅花、このくらいならりんちゃんも一緒で構わないんじゃないかしら?」
「そうね、逆に怪しまれないかもしれないわ。兄に、私達みんな兄弟ってことにして、内覧会のチケットを用意して貰いましょう!」

 面白そうな発想に、キイロは頷いた。

「なんだかワクワクしてきたわ。船って乗るのはじめて!」
「われも!われもじゃ!」
「りんちゃんもないのか。じゃあ絶対に一緒に乗ろう!」
「うむ!楽しみじゃ!」
「だったら絶対にお洒落、いや、変装のほうが楽しそうね……そうだ!」


 そういって梅花は手を打った。
「ねえキイロ、わたし、面白い事思いついちゃった。あなたも協力してくれるわよね?」
「え、ええ。梅花の言う事なら」
 ムフフ、と梅花は笑った。
「わたし、兄の商売手伝ってて、いろんな人と仲良くなったの。協力して貰おうと思って」

 そういえば梅花は学校のお祭りでも実行委員だったな、とキイロは思いだした。

「朧様にも内緒で、わたしたちで敵情視察するの。ちょっと楽しそうじゃない?」

 楽しそうではあるけど、でもどうやって?とキイロは首を傾げた。
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