わたしにしか懐かない龍神の子供(?)を拾いました~可愛いんで育てたいと思います

あきた

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第十二章

78・豪華客船の探検

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 客船の中は広く、人も多く、しかも賑やかだった。

「これじゃあ確かにバレようもないけど、探しようもないわね」

 溜息をつくキイロに「まあいいじゃない」と梅花は笑う。

「そんな事もあろうかと、兄に怪しげな場所を教えて貰っていたの」
「怪しげ?」
「だって結婚式なんてするなら、そこそこ場所が必要でしょ?自分の部屋なんてわけないし」
「なるほど」
「あの気の強そうなお嬢さんが大人しく部屋でひっそり、とかやるわけないじゃない?」
「まあ、確かに」
「絶対になにかたくらみがあるなら、阻止しなくちゃ!」

 勇ましいことを言いながら、梅花は楽しそうだ。

「遊ぶつもりじゃないの?」
「ばれたか。実はとっても探検したい」
「そうよね」

 なにせ船内は豪華で華やかで、デパートや劇場がそのまま入ったのか?というほど美しい。
 実際にデパートのように商品を買えるコーナーも、小さいながら劇場もあるというのだから。

「さすが、海の上のデパート、劇場と言われるだけあるでしょ?だったら見たいわよね」

 笑う花に、キイロも頷く。

「ねえりんちゃん、一緒に探検行きましょ」
「当然じゃ。人の作ったものに興味がある」

 そういってきょろきょろ見渡す。

「帽子が落ちないようにね。目立っちゃうから」
「うむ!」

 外見は十歳くらいの男の子になっているりんは、ちょっとやんちゃで品の良いお坊ちゃん風で、キイロとは姉弟に見える。

「ねえ、りんちゃんは大人に戻れないの?」
「戻れるけど、まだずっとはつかれるんですって」

 薄氷の屋敷内なら疲れないが、何の能力もない人の中では大人の姿になること自体、少々気を使うらしい。
 キイロは梅花に言った。

「大人になればそのぶん能力も強くなるらしくて。そうなったら」
「そうなったら?」
「屋敷くらいすぐ壊しちゃうって」
「それは困るわね」
「でしょう?だから子供のまま。暫くは、だけどね」
「お前だって、だから強くなったんじゃ」

 ちょっと不服そうにりんが言った。

「わたしが?」
「そうじゃ。元々お前の能力だってけっこうなもんじゃが、すっからかんじゃった。あの屋敷で、どんどん、力が溜まる。我もそうじゃ」
「あら。だったらお風呂の水くらい溜められるかしら」
「キイロったら」

 あはは、と三人で笑って船内をあちこち捜し歩いた。
 人々はみなお洒落で豊かそうで、幸せそうだ。

「なんだかお正月みたいね。みんなにこにこしてて」
「ええ。だってこんなに素晴らしい船だもの、嬉しくもなっちゃう」

 別にここで過ごすわけではないキイロも、あまりに豪華で賑やかだと、つられて浮かれてしまう。

「ねえ、フロアで演奏が行われるんですって。あとから見に行ってみましょうか」
「いいわね、楽しそう!」

 船内ではイベントもあるらしく、案内が出ていた。

「でもまずは劇場の視察ね。さて、どこのあたりにあるのかしら」

 案内板があるならそのほうが早い、とキイロと梅花は確認した。

 階層が違ったので階段を使って劇場のある場所へ移動して行くと、なにやら賑やかな雰囲気だった。
 男性陣が荷物を次々運び入れていて、忙しそうだ。

「劇が行われる、って予定はあったかしら?」
「さあ?さっきの案内にはなにもなかったけど」

 不思議がる二人に、りんがたたっと駆け寄った。

「なにをしているのだ?」

 突然尋ねたりんに、荷物を運んでいた男性が足を止めた。

「坊主、危ないぞ」
「なにをしているのじゃ?」

 ははは、と男性は笑った。

「荷物を運んでいるんだよ。ここは舞台でな、そのための荷物さ!」

 キイロと梅花が駆け寄った。

「すみません、お仕事中に!」
「ああ、お姉さんかい、いいよいいよ。船の中の劇場なんて珍しいからねえ」

 そういって男性はポケットから飴の袋を取り出し、りんに渡した。

「ほら、坊ちゃん、お姉さんたちに迷惑かけるんじゃないぞ」

 りんは一瞬なにか言いかけたが、「うむ」と飴を受け取った。

「あの、じゃあここでなにか劇があるんでしょうか?」

 キイロが尋ねると、男性は「さあねえ?」と首を傾げた。

「なんか、出航前にはお披露目が予定されているらしいのは聞いたけどな」

 キイロと梅花は顔を見合わせた。
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