わたしにしか懐かない龍神の子供(?)を拾いました~可愛いんで育てたいと思います

あきた

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第十二章

84・橡の策略

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おぼろ様?あの二人は」
「能力の使い過ぎです。元々、強い能力は持っていても守護のない状態では自殺行為だ」

 朧はそういって、二人に近づく。
 確認すると、ほっとして言った。

「大丈夫。生きてはいます」
「そう、なんですね」
「それよりあなただ。体は?これほどの龍はどうして」
「どうして、と言われても……」

 必死に朧を助けたいと願っただけで、キイロはなにもしていない。

「せめてお水くらいなんとか、って思ったんですけど」

 なんとか朧の手助けでもできないかとやってみたが、まさかの霧と龍に、キイロも訳が分からない。
 霧の龍はゆったりと舞台を包み、やがてぐんと首を伸ばすと、ふわっと霧散した。

「素晴らしい、というより凄まじい……」

 朧は驚き、もとあった霧の龍の様子を探す。

「あなたは、本当に栴檀せんだんの娘なのですね。しかしそれにしてもあまりにも……そうか、りんさまの守護のおかげか!」
「そうじゃぞ」

 のっそりとあらわれたのはりんと梅花だ。

「梅花!りんちゃん!大丈夫だった?」
「平気よ。りんちゃんがあっという間にカーテンみたいなのを作って全然問題なかったの」
「われはすごいんじゃぞ」

 えっへんと胸をはるりんに、キイロは言った。

「ありがとうりんちゃん。梅花を助けてくれて」
「当然じゃ。世話になっておるからの!」
「りんちゃん可愛い!もう大好き」

 言って梅花が頭を撫でると、りんは「われはおーりゅーじゃぞ!」と言いつつも素直に撫でられていた。
 皆が思わずふっと笑ってしまった。

「朧様!ご無事ですか!」
 そういって入って来たのは舛花ますはなだった。

「舛花、こっちは問題ない」
「ああ、良かった。いまデッキのほうがとんでもないことに」
「とんでもない?なにがどうなった?」
「橡です。橡とその支持者がこの船を奪いました」
「何だと?そんな馬鹿な事が」
「船に乗っている全員が人質だと豪語しております」
「軍は」
「電話なども全て不通です。ですが、いそぎ部下から船から数人脱出させて軍部へ向かわせています」
「という事は、応援は来るのか」

 朧はほっとして、「だったら」と顔をあげた。

「我々が連中の人質になってしまっては、軍の足手まといになってしまう。幸い、潤朱の敗北はまだ知られていないだろう」

 朧はすぐに指示を出し、舞台の扉を閉めさせた。

「人払いは済んでいますし、まさか潤朱が二人揃ってもう動けないとは思っていないでしょう」
「朧様、どうします?」
「脱出します」
「でもどうやって?」
「船の構造は頭に入っています。この舞台からは非常時に抜ける場所がいくつかあります。そこから安全なルートを選んで脱出しましょう」
「はい」

 キイロと梅花、りんも頷く。

「外では舛花がうまくやってくれます。こちらの事も理解していますから任せましょう」
 朧について行けばなんとかなる、とキイロも梅花も頷く。
「りんちゃん、こっち」
「うむ」

 そういってりんはしっかりキイロと手を繋ぐ。
 ぱたぱたと走り出し、舞台を後にした。


 軍が連絡を受け、次々に船の前に到着した。
「おいはなだじゃないか!」

青白せいはく、お前もこの船にいたのか」
「いま追い出されたところだ。とうとうつるばみがやらかしたな」
「そうらしいな。朧は?」
「中に居るが、無事かどうかは判らない」
「いや無事だろ。あいつが船の中程度でやられるタマじゃない」
「でも、なんでお前がここに?」
「一応な。朧の事は心配していないが」
「嫁さんか?」
「……いや、嫁さんの能力の結果、かな」

 縹はキイロの能力を目の当たりにしている。
 コントロールできていないキイロの力はまるで嵐のようだった。
 おとなしい性格で、元々優しいのだが、その分、愛するものに対しての感情は強い。

(この能力って、感情に左右されるからなあ)

 万が一でも朧になにかあったなら、あの船位ぶっ壊せるんじゃないかと縹は心配になっていた。
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