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第十三章
85・栴檀家の正体
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「それほどまでに強いのか?」
青白の問いに「そりゃそうだろ」と答える。
「なにせ実際は栴檀家のものというじゃないか」
「滅びたはずじゃ」
「なかったってことだよ。朧は初恋でしかないらしいが、それにしたって偶然が過ぎる」
「そりゃあ……龍も従うってわけか」
ははあ、と青白も頷く。
「栴檀家といや、規模は小さくとも古からの一族だ。元々は龍が嫌う能力を持っていたが、龍を飼いならす方法をある一族に教わってからというもの、龍を従えて共に生きて来た。権力者にいいように使われ、龍を守るために自らを隠していたために、今度は滅んでしまったと聞いていたが」
「そのかすかな残り、というのが偶然にも朧の初恋の女の子だったというわけだ」
「―――――そりゃ、怖い。いや、怖いぞ?」
「だから言っているだろう。朧の身は心配じゃない。むしろ、彼女が自分の力の限界を知らないほうが怖いと」
「朧が尻に敷かれそうつって、笑ってる場合じゃなかったな」
「全くだ。橡はその情報を知って使おうとしているのか、または知らずにやらかしているのか」
「なあ、この船、無事に済むと思うか?」
心配そうに青白が尋ねた。
「……浮いてる状態で残れば御の字ってところじゃねえかな。橡の一族に弁償させるか」
「また冗談を」
青白は縹を見返したが、「本気か」と尋ね、縹は黙って頷いた。
「俺、この船で休暇取って旅行したかったんだけど!」
「すぐには無理だろうな」
「そんなあ」
折角の豪華客船、どうか無事であってくれと青白は願うしかなかった。
舞台から逃れた朧たちは、抜け道を通り敵にも遭遇せず、脱出できるデッキ迄もう少し、というところだった。
ところがデッキには何十人もの人質として船の客が残っていて、朧は舌打ちした。
「橡め。卑怯な真似を」
「朧様、脱出は」
「あなたがただけでも先に逃げる方法を考えなければ」
「いえ、私はついてまいります」
キイロは決意していた。
さっき、炎に巻かれた朧を見た時、絶対傍にいようと誓った。
「お邪魔になっても、わたしはおそばに居ます」
きっぱりと告げるキイロに、朧は小さく笑った。
「まったく、どうしようもないですね」
「わたし、絶対」
「わかりました。正直、あなたが居ると私も助かります。あなたの能力はすさまじいものがあります」
朧は思う。
多分それは、りんの守護があるからこそだ。
「りんさま、どうか彼女をお願いします」
「言われんでもわかっておる。好きにせい」
すると梅花が口をはさんだ。
「りんちゃん、なんかざっぱーんってあいつらやっつけられないの?」
「できるぞ」
りんがそう返して、皆は顔を見合わせた。
「この船が壊れてええなら」
やっぱりそのくらいの力はあるのか、と皆は思った。
「大事な船じゃろう。じゃったらわしがどうこうするより、人のことは人でなんとかせい」
「おっしゃる通りです」
しかし、一度大人になってから子供のふりをしているりんは、以前よりよっぽど状況の判断が出来ている。
「どうにか、無傷で逃げる事はできないでしょうか」
そしてふと港を見ると、軍の車が次々に到着していた。
「朧様、軍の方が」
「これで少しは上手くいくでしょう」
黒い立派な車や、馬に乗った軍の人々が集まりはじめ、人を配置し始めた。
(あとは橡がどう出るか)
おとなしく話に従ってくれればよいが、と思っている朧だったが、話はそう甘くはなかった。
人質の中から、どこかの男が引っ張り出され、橡は男のこめかみに銃を突き付けて怒鳴った。
「いいか!わたしに従わないとこの男の命はないと思え!」
そこで朧は、はっと顔をあげた。
「なんてことを」
「御存じの方ですか?」
「恐れ多くも、宮家の方に銃をつきつけるなど。あれはもう、どうしようもない」
そこまでするとは、と朧は青ざめてすらいた。
キイロは、なんとかしなくちゃ、と気持ちばかり焦り、しかしいい考えは浮かばない。
(どうすれば良いの?)
青白の問いに「そりゃそうだろ」と答える。
「なにせ実際は栴檀家のものというじゃないか」
「滅びたはずじゃ」
「なかったってことだよ。朧は初恋でしかないらしいが、それにしたって偶然が過ぎる」
「そりゃあ……龍も従うってわけか」
ははあ、と青白も頷く。
「栴檀家といや、規模は小さくとも古からの一族だ。元々は龍が嫌う能力を持っていたが、龍を飼いならす方法をある一族に教わってからというもの、龍を従えて共に生きて来た。権力者にいいように使われ、龍を守るために自らを隠していたために、今度は滅んでしまったと聞いていたが」
「そのかすかな残り、というのが偶然にも朧の初恋の女の子だったというわけだ」
「―――――そりゃ、怖い。いや、怖いぞ?」
「だから言っているだろう。朧の身は心配じゃない。むしろ、彼女が自分の力の限界を知らないほうが怖いと」
「朧が尻に敷かれそうつって、笑ってる場合じゃなかったな」
「全くだ。橡はその情報を知って使おうとしているのか、または知らずにやらかしているのか」
「なあ、この船、無事に済むと思うか?」
心配そうに青白が尋ねた。
「……浮いてる状態で残れば御の字ってところじゃねえかな。橡の一族に弁償させるか」
「また冗談を」
青白は縹を見返したが、「本気か」と尋ね、縹は黙って頷いた。
「俺、この船で休暇取って旅行したかったんだけど!」
「すぐには無理だろうな」
「そんなあ」
折角の豪華客船、どうか無事であってくれと青白は願うしかなかった。
舞台から逃れた朧たちは、抜け道を通り敵にも遭遇せず、脱出できるデッキ迄もう少し、というところだった。
ところがデッキには何十人もの人質として船の客が残っていて、朧は舌打ちした。
「橡め。卑怯な真似を」
「朧様、脱出は」
「あなたがただけでも先に逃げる方法を考えなければ」
「いえ、私はついてまいります」
キイロは決意していた。
さっき、炎に巻かれた朧を見た時、絶対傍にいようと誓った。
「お邪魔になっても、わたしはおそばに居ます」
きっぱりと告げるキイロに、朧は小さく笑った。
「まったく、どうしようもないですね」
「わたし、絶対」
「わかりました。正直、あなたが居ると私も助かります。あなたの能力はすさまじいものがあります」
朧は思う。
多分それは、りんの守護があるからこそだ。
「りんさま、どうか彼女をお願いします」
「言われんでもわかっておる。好きにせい」
すると梅花が口をはさんだ。
「りんちゃん、なんかざっぱーんってあいつらやっつけられないの?」
「できるぞ」
りんがそう返して、皆は顔を見合わせた。
「この船が壊れてええなら」
やっぱりそのくらいの力はあるのか、と皆は思った。
「大事な船じゃろう。じゃったらわしがどうこうするより、人のことは人でなんとかせい」
「おっしゃる通りです」
しかし、一度大人になってから子供のふりをしているりんは、以前よりよっぽど状況の判断が出来ている。
「どうにか、無傷で逃げる事はできないでしょうか」
そしてふと港を見ると、軍の車が次々に到着していた。
「朧様、軍の方が」
「これで少しは上手くいくでしょう」
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(あとは橡がどう出るか)
おとなしく話に従ってくれればよいが、と思っている朧だったが、話はそう甘くはなかった。
人質の中から、どこかの男が引っ張り出され、橡は男のこめかみに銃を突き付けて怒鳴った。
「いいか!わたしに従わないとこの男の命はないと思え!」
そこで朧は、はっと顔をあげた。
「なんてことを」
「御存じの方ですか?」
「恐れ多くも、宮家の方に銃をつきつけるなど。あれはもう、どうしようもない」
そこまでするとは、と朧は青ざめてすらいた。
キイロは、なんとかしなくちゃ、と気持ちばかり焦り、しかしいい考えは浮かばない。
(どうすれば良いの?)
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