わたしにしか懐かない龍神の子供(?)を拾いました~可愛いんで育てたいと思います

あきた

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第十四章

94・手持無沙汰

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 帰って来てくれたら絶対に一緒に遊びたい。

(式までに、とか考えていたけど、無理そうだなあ)

 それでも、キイロの希望通り、おぼろはりんが目覚めた時の為に服を用意してくれた。
 キイロの望みならなんでも叶えたいと、穏やかに言う朧に対して、自分はなにができるんだろう。

「ねえ梅花、わたしって、朧様になにができるのかな?」
「なにそれ?惚気のろけ?」
「そういうわけじゃ……」
「冗談よ。そんなの決まってるじゃないの。まずは、綺麗にして結婚式をあげて、新婚生活を楽しんで」
「そういうのじゃなくて。なにかお役にたちたいのよ」
「でもさ、正直このお屋敷でやることなんかないじゃない?」

 梅花の言葉に、キイロは言葉に詰まる。

「そうなのよね」

 元々がおおきなお屋敷で、薄氷うすらいの屋敷内は常に働いている人たちが居て、しかもその人たちはみんな代々、薄氷の家に勤めてきた人たちなのだ。

「キイロって確かになんでもできるけど、結局ここの人たちはみんな名人、ひょっとしたら達人の域でしょう?することないのよねえ」
「そうなのよ……」

 料理をしようにも、掃除をしようにも、結局この屋敷に勤めている人たちがいるのでキイロのような素人が入っても邪魔になるだけだ。

「けっこう困るわよね、これまでずっと働いて来たのに」
「ゆっくりしたら?」
「それも楽しかったけど、やっぱり駄目ね。働いてないとうずうずしちゃって」
「ひょっとしてキイロ、結婚式の準備から逃げたいだけなんじゃない?」

 痛いところを疲れてしまった。
 そうなのだ。
 最初はわくわくして楽しかったし、贈り物も嬉しかったのだが、あんまりにも量が多すぎてくるとどうしていいか判らなくなってしまった。

「朧様からのものしかいらないっていうのもあるけど、管理しきれないと結局面倒しか残らないのよね」

 おつきあいや、この先キイロを通じて薄氷家と繋がろうとか、そういうものは判断が出来ない。

「だから、朧様のものだけ別にして、あとはもうわからないものは任せる事にしたの」

 それに、こういう場所で贈り物というのは、部下に配るという役もあるらしい。
 梅花は「そうなんだ」と驚いた。

「奥様に全部プレゼント!でもそうじゃないのね」
「そうみたい。そうしておかないと、盗まれたりもあるんだって。薄氷の屋敷では、みんなお給金が高いからそんなことはまずないけどって言ってたけど」
「そうよね、確かに私だけ破格の給料かと思ったらみんな同じって聞いて驚いたし」

 梅花はしばらく薄氷家の侍女として、キイロの傍で働いているが、給料を聞いて驚いたという。

「正直、ずっと雇われていたい。仕事もラクだし、キイロとずっと一緒にいられるし」
「あら、お兄様のデパートで支配人になるんじゃなかったの?」
「こっちも兼任でやったらお給料が二倍入るわ!」

 商人の娘らしくちゃっかりした事を言う梅花に、キイロは笑った。
 そしてふと、手元に小さな子供がいないことに気づく。

 こういう時、笑う時はつねに近くにりんがべったり一緒だった。

(寂しいなあ)

 りんが卵に戻ってしまったのはわかっていても、ふと寂しさに気づいてしまう。

「どうしたの?」
「うん。なんかこう、手元にりんちゃんがいないとね。なんか寂しいなって」

 思えば蘇芳家に居た頃も、近所の子供を預かる事が多かったので余計にりんが居て嬉しかった。
 すると梅花はにんまりと笑った。

「だったら、さっさと朧様と子供を作っちゃえばいいじゃない!」
「こっ、」

 驚いてキイロは目を見開いてしまった。

「なに驚いてるの?結婚するってことは夫婦になるんだから」
「そ、そうかもだけど」

 まだデートもろくにしていないキイロにとって、いきなり子供はハードルが高い。

「なんか、もっとお互いによく知ってから」
「結婚式前になに言ってんの、もう」

 梅花は呆れながらも、まだ現実味のない親友の驚きに一緒に笑った。
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