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第十四章
95・藍銅伯爵との会話
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「はは、そうかね、梅花君がそんなことを」
薄氷家にやってきた藍銅伯爵は笑った。
最近、キイロの式の準備を言い訳によく薄氷家の遊びに来るのだ。
「でもおかげで助かります。梅花のおかげで、なにをどうすればいいのかわかりますし」
肩書だけそこそこの蘇芳家という家柄にいながら、全くと言っていいほど教育を受けられなかったキイロにしてみたら、デパートを切り盛りする梅花の立場はありがたい。
なにを用意したらいいのか、なにを身に着けるべきか。
キイロが恥をかかないよう、かといって嫉妬されないように、一生懸命考えてくれる。
「そのうち、アクセサリーのコーナーをつくって、売りさばくって言ってるんです」
「おやおや」
「薄氷の奥様がつけてるって聞いたら絶対に売れるって。そうなのかしら?」
「うん、そうだろうね。なにせ朧の人気は凄まじいから。君も随分と嫉妬されていると思うよ」
「怖いです」
はっはっは、と藍銅伯爵は笑った。
「とはいえ、朧は軍人なのだから、そうあなたが表に出るという事はないよ。だから私がこうして娘に会いに行くのを、息子たちは渋々、受け入れるしかないわけで」
「お仕事、サボってきたんですか?」
「うん、でも息子たちは私がいないほうがのびのびできると思うよ?」
「またそんな」
藍銅伯爵には息子が数人いるのは聞いている。
「お兄様方にご挨拶はよろしいのでしょうか?」
「君だって忙しいし、連中も気にしないよ。朧とは親しいし、そのうち会う事もあるだろう」
知らない間にキイロという妹が増えていて、困惑しないのかなと思っていたが、気にしなくて良いと朧も藍銅伯爵も言っていた。
「別に再婚したわけでもないし、朧に頼まれただけの話だ。こちらとしては朧に恩を売れる方が絶対にお得だ、と判断した。君のことはむしろうちには良いチャンスだった。ありがたく思っているよ」
「そんな……わたしこそ、お父様がいらしてくれて嬉しいです」
結婚式でもずっと藍銅伯爵がそばに居てくれるというのでキイロは安心だ。
「君のお父様については遠方へ行って貰った。かなり田舎で仕事をしていただくことになる。多分、一生そこでお過ごしになるだろう」
暗に左遷したのだと知った。
「義理のお母様については橡との関係が明らかになって、いまは取り調べを受けている。牢獄に入るまではならなくても、環境としては似たようなものだろう」
「そうですか……」
義母によい思い出はない。
朧の立場を知ったら身内面して関わってきそうだったが、その心配もなさそうだ。
「あと、お兄さんは海外でうまくやっているらしい。真面目に働いているそうだよ」
それもキイロには驚きだった。
「元から彼は義母にはよい感情はなかったようだね。血縁であるから仕方なし、といった感じではあったそうだ。君への謝罪を口に出していたどうだが、今更聞きたくもないだろうと」
「確かに、そうですね」
兄はキイロを助けてはくれなかったし、父と義母と一緒になってあざけっていた。
今更関わるつもりもない。
ただ、少しは不幸であったのだなと同情はする。
「朧と結婚する君になにか関わるつもりもないということだから、そこも安心すればよい。というより、朧がそんなことをさせるはずもないからね」
「なにもかも、朧様のおかげです」
ただ、キイロが初恋の相手だったというだけで、キイロにとっては幸運だっただけだ。
そう言うと、藍銅伯爵が驚いた。
「君のどこが幸運なんだ?認識もない時に栴檀家の事情に巻き込まれて、結局能力も封じられてしまっていたというのに」
「私には必要な能力でもないですし。ちょっと雨風が使えても、誰かを大っぴらに助ける事もできないって聞いてます」
嵐のような力は、りんが居たからこそのものだった。
本来なら、この薄氷の屋敷のように、龍神の傍にいないと能力を使ってしまったら、そのまま命をなくすこともあるという。
「潤朱のおかたが、そのせいで大変なことになったとも聞いています」
薄氷家にやってきた藍銅伯爵は笑った。
最近、キイロの式の準備を言い訳によく薄氷家の遊びに来るのだ。
「でもおかげで助かります。梅花のおかげで、なにをどうすればいいのかわかりますし」
肩書だけそこそこの蘇芳家という家柄にいながら、全くと言っていいほど教育を受けられなかったキイロにしてみたら、デパートを切り盛りする梅花の立場はありがたい。
なにを用意したらいいのか、なにを身に着けるべきか。
キイロが恥をかかないよう、かといって嫉妬されないように、一生懸命考えてくれる。
「そのうち、アクセサリーのコーナーをつくって、売りさばくって言ってるんです」
「おやおや」
「薄氷の奥様がつけてるって聞いたら絶対に売れるって。そうなのかしら?」
「うん、そうだろうね。なにせ朧の人気は凄まじいから。君も随分と嫉妬されていると思うよ」
「怖いです」
はっはっは、と藍銅伯爵は笑った。
「とはいえ、朧は軍人なのだから、そうあなたが表に出るという事はないよ。だから私がこうして娘に会いに行くのを、息子たちは渋々、受け入れるしかないわけで」
「お仕事、サボってきたんですか?」
「うん、でも息子たちは私がいないほうがのびのびできると思うよ?」
「またそんな」
藍銅伯爵には息子が数人いるのは聞いている。
「お兄様方にご挨拶はよろしいのでしょうか?」
「君だって忙しいし、連中も気にしないよ。朧とは親しいし、そのうち会う事もあるだろう」
知らない間にキイロという妹が増えていて、困惑しないのかなと思っていたが、気にしなくて良いと朧も藍銅伯爵も言っていた。
「別に再婚したわけでもないし、朧に頼まれただけの話だ。こちらとしては朧に恩を売れる方が絶対にお得だ、と判断した。君のことはむしろうちには良いチャンスだった。ありがたく思っているよ」
「そんな……わたしこそ、お父様がいらしてくれて嬉しいです」
結婚式でもずっと藍銅伯爵がそばに居てくれるというのでキイロは安心だ。
「君のお父様については遠方へ行って貰った。かなり田舎で仕事をしていただくことになる。多分、一生そこでお過ごしになるだろう」
暗に左遷したのだと知った。
「義理のお母様については橡との関係が明らかになって、いまは取り調べを受けている。牢獄に入るまではならなくても、環境としては似たようなものだろう」
「そうですか……」
義母によい思い出はない。
朧の立場を知ったら身内面して関わってきそうだったが、その心配もなさそうだ。
「あと、お兄さんは海外でうまくやっているらしい。真面目に働いているそうだよ」
それもキイロには驚きだった。
「元から彼は義母にはよい感情はなかったようだね。血縁であるから仕方なし、といった感じではあったそうだ。君への謝罪を口に出していたどうだが、今更聞きたくもないだろうと」
「確かに、そうですね」
兄はキイロを助けてはくれなかったし、父と義母と一緒になってあざけっていた。
今更関わるつもりもない。
ただ、少しは不幸であったのだなと同情はする。
「朧と結婚する君になにか関わるつもりもないということだから、そこも安心すればよい。というより、朧がそんなことをさせるはずもないからね」
「なにもかも、朧様のおかげです」
ただ、キイロが初恋の相手だったというだけで、キイロにとっては幸運だっただけだ。
そう言うと、藍銅伯爵が驚いた。
「君のどこが幸運なんだ?認識もない時に栴檀家の事情に巻き込まれて、結局能力も封じられてしまっていたというのに」
「私には必要な能力でもないですし。ちょっと雨風が使えても、誰かを大っぴらに助ける事もできないって聞いてます」
嵐のような力は、りんが居たからこそのものだった。
本来なら、この薄氷の屋敷のように、龍神の傍にいないと能力を使ってしまったら、そのまま命をなくすこともあるという。
「潤朱のおかたが、そのせいで大変なことになったとも聞いています」
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