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16.中西のアドバイス
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僕はいつものヘアサロンでオーナーの中西に蒼司とのことを相談していた。
「――……ということがあって、どうしたら良いか悩んでて……」
これを聞いた中西は神妙な顔で頷く。
「はぁ~、なるほどね、わかる。それがたまんないんだよね?」
「わかってくれます? めちゃくちゃ困ってるんですけど、喜んじゃってる自分もいて……」
「わかる、わかるよ。でもそれ、ダメなやつじゃん!」
人生経験も恋愛経験も豊富な中西にきっぱりダメだと言われてしまった。
「ですよね……」
「ダメだよ、ダメダメ! 泥沼じゃん。義弟だよ? 手を出したら、ご両親の結婚ぶち壊しの可能性大じゃない」
「そうなんです……でも、もう僕我慢できないかもってとこまで来てて……」
中西は僕を見てため息をついた。
「そうだよねえ。蓉平くん、今までもう10年以上親戚以外のアルファを遠ざけてきたんだもんね」
「はい……」
「そこに、推しのイケメンと同居は刺激が強すぎだよね」
「そうなんです……まともに恋愛したこともないから、ただ近寄られるだけでドキドキしちゃってほんとバカですよね?」
こんなオッサンになってまでこんなことを相談している自分が恥ずかしかった。
「いやー、でもほんっとわかるよ! 俺も若い頃はそういう恋に溺れたことあったなぁ。すっごい年下の御曹司に実らぬ恋をしたよ~」
「そうなんですか?」
「うんうん。反対されるほど本人同士は燃え上がっちゃうんだよねぇ」
僕と蒼司の場合、燃え上がってる――というか萌え上がっているのは僕だけだ。このままだとファンとして好きという気持がガチ恋のラインを超えてしまいそうで怖い。
「一回りも年下の義弟相手に何を考えてるんだって話ですよね……」
「でもさ、その蒼司くんだっけ? その子も大概だよね」
「え?」
中西が眉をひそめながら言う。
「だって~、それってわざと蓉平くんのこと落としにかかってない?」
「いやいやいや! それはないですって。蒼司くんは本当にそんなんじゃなくて」
「えー、そうかなぁ。男は――とくにアルファはみんな狼だよ?」
「ないない。ないです。でも、逆にそれで困ってるんです。僕ってほらこの体質なんで」
うんうん、と中西は頷く。
「僕のフェロモンに見向きもせず、冷たくあしらってくれるのがツボで……変態って言われてもつい喜んじゃうんですよね」
「蓉平くんそれはもうさ~、君がドMすぎるのよ」
「えっ……」
「もうさ、この際だし腹くくって襲っちゃえば?」
「はぁ!? だ、だめですよ。そんな――」
「俺なら同居三日で手を出してるね」
「な、中西さん……」
困り果てる僕などお構いなしに、彼はペラペラと持論を述べる。
「だって、親同士は結婚したとしても所詮子ども同士は他人じゃん?」
「それは、そうですけど……」
「俺から見てその態度は明らかに脈ありだもん。次のヒートもうすぐでしょ? 楽しみだねえ」
別に解決策を求めて相談したわけじゃないけれど、中西にとんでもない方向で背中を押されてしまった。
(いやいや、絶対無理だから。最初はダメだの泥沼だの言ってたくせに中西さんってば……。義弟とそんな関係になるなんて、ありえないし)
蒼司の母親が「お兄ちゃんを欲しがってた」と言ってたし、そういう意味で彼も僕に甘えてくれているんだと思う。両親の手前、兄弟として仲良くするよう努力してくれているのだ。
だから、僕さえ変な気を起こさなければとても良い兄弟になれるはずだった。
――とはいえ僕はオメガで、定期的に訪れる発情期は避けようが無い。
(今ですら変な気分にならないようにすごく我慢してるのに……。ヒート期間中だけ、実家のシェルターにこもろうかな?)
「――……ということがあって、どうしたら良いか悩んでて……」
これを聞いた中西は神妙な顔で頷く。
「はぁ~、なるほどね、わかる。それがたまんないんだよね?」
「わかってくれます? めちゃくちゃ困ってるんですけど、喜んじゃってる自分もいて……」
「わかる、わかるよ。でもそれ、ダメなやつじゃん!」
人生経験も恋愛経験も豊富な中西にきっぱりダメだと言われてしまった。
「ですよね……」
「ダメだよ、ダメダメ! 泥沼じゃん。義弟だよ? 手を出したら、ご両親の結婚ぶち壊しの可能性大じゃない」
「そうなんです……でも、もう僕我慢できないかもってとこまで来てて……」
中西は僕を見てため息をついた。
「そうだよねえ。蓉平くん、今までもう10年以上親戚以外のアルファを遠ざけてきたんだもんね」
「はい……」
「そこに、推しのイケメンと同居は刺激が強すぎだよね」
「そうなんです……まともに恋愛したこともないから、ただ近寄られるだけでドキドキしちゃってほんとバカですよね?」
こんなオッサンになってまでこんなことを相談している自分が恥ずかしかった。
「いやー、でもほんっとわかるよ! 俺も若い頃はそういう恋に溺れたことあったなぁ。すっごい年下の御曹司に実らぬ恋をしたよ~」
「そうなんですか?」
「うんうん。反対されるほど本人同士は燃え上がっちゃうんだよねぇ」
僕と蒼司の場合、燃え上がってる――というか萌え上がっているのは僕だけだ。このままだとファンとして好きという気持がガチ恋のラインを超えてしまいそうで怖い。
「一回りも年下の義弟相手に何を考えてるんだって話ですよね……」
「でもさ、その蒼司くんだっけ? その子も大概だよね」
「え?」
中西が眉をひそめながら言う。
「だって~、それってわざと蓉平くんのこと落としにかかってない?」
「いやいやいや! それはないですって。蒼司くんは本当にそんなんじゃなくて」
「えー、そうかなぁ。男は――とくにアルファはみんな狼だよ?」
「ないない。ないです。でも、逆にそれで困ってるんです。僕ってほらこの体質なんで」
うんうん、と中西は頷く。
「僕のフェロモンに見向きもせず、冷たくあしらってくれるのがツボで……変態って言われてもつい喜んじゃうんですよね」
「蓉平くんそれはもうさ~、君がドMすぎるのよ」
「えっ……」
「もうさ、この際だし腹くくって襲っちゃえば?」
「はぁ!? だ、だめですよ。そんな――」
「俺なら同居三日で手を出してるね」
「な、中西さん……」
困り果てる僕などお構いなしに、彼はペラペラと持論を述べる。
「だって、親同士は結婚したとしても所詮子ども同士は他人じゃん?」
「それは、そうですけど……」
「俺から見てその態度は明らかに脈ありだもん。次のヒートもうすぐでしょ? 楽しみだねえ」
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(いやいや、絶対無理だから。最初はダメだの泥沼だの言ってたくせに中西さんってば……。義弟とそんな関係になるなんて、ありえないし)
蒼司の母親が「お兄ちゃんを欲しがってた」と言ってたし、そういう意味で彼も僕に甘えてくれているんだと思う。両親の手前、兄弟として仲良くするよう努力してくれているのだ。
だから、僕さえ変な気を起こさなければとても良い兄弟になれるはずだった。
――とはいえ僕はオメガで、定期的に訪れる発情期は避けようが無い。
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