【完結】陰キャなΩは義弟αに嫌われるほど好きになる

grotta

文字の大きさ
26 / 48

26.邪魔者は排除していくスタイル(アンジュ視点)

しおりを挟む
Aoが最近冷たい。理由はわかってる。
この前たまたま休日に出掛けたカフェでAoに偶然会ったのが原因。

(いやこれは嘘、偶然じゃない。本当は菜々に聞いてたんだ)

菜々は、Aoと組んで撮影してるカメラ女子。まあ女子って言ってもアルファで身長も180センチ近くある男前美人。彼女がAoと二人で歩いてると、菜々の方まで男と思われて女の子から声かけられたりしてる。
私は基本的に同性はうざいっていうか嫌い。だけど菜々は性別超越してる感じで嫌じゃない。

私はAoが好きで、彼と組んでる菜々にAo目的で近づいた。彼女は誰にも媚びないし、笑うこともほとんど無い。Aoに対しても、ただの被写体って態度で恋愛感情なんて微塵もないのがわかってから敵対心は無くなった。

その彼女から、今度のAoとの撮影予定が中止になったと聞いた。別の人に撮ってもらうらしい。都合が悪くてリスケすることはあっても、中止で別人に撮らせるなんて珍しいのだそうだ。
私はなんとなく嫌な予感がして、元々どこに行く予定だったかを菜々からさり気なく聞き出した。そして、そのうちの一箇所である西海岸風のカフェでAoを見つけた。

一体誰が菜々の代わりに写真を撮るんだろう、プロのカメラマンかな? なんて思っていたら、彼と一緒に居たのはどんくさくて陰キャなオメガの男だった。

(Aoがオメガ連れてるのも珍しい上に、男だなんてどういうこと?)

Aoは私がいくらアプローチしても全然プライベートでは会ってくれない。以前、家まで誘い込むのに成功したのに、怒って帰ってしまったことさえある。

(私みたいな非の打ち所のない美人が誘ってもダメなのに、なんでこの平凡な何の取り柄も無さそうなオメガがAoの隣にいるの?)

近寄ってみてその理由がわかった。

(は? 待ってよこいつフェロモンちょい出ししてんじゃん)

オメガの性フェロモンを少しずつ出せるなんて聞いたこと無いけど、この匂いは絶対そうだ。同じオメガだからわかる。
それとわからないほど微量のフェロモンで誘惑して、アルファを引き寄せてるってことか。じゃなきゃこの顔面レベルでAoに近づけるはず無い。

私は怒りに任せてそのオメガに釘を刺した。「陰キャオメガは人前に出てくんな。Aoと並んで自分が釣り合ってないのわかんない?」ってね。

だけどあいつに対する態度が悪かったからか、あの日以来Aoが私に一層冷たくなった。

(何よ……私は当たり前のことを言っただけなのに……あんな奴のせいで……!)

そこで私は、Aoに近づく別の作戦を考えた。自分の家に引き込むのは失敗した。
なら、こっちから今度は家に行ってみよう。
モデル事務所の社員を軽く誘惑して、Aoの自宅を聞き出した。
いきなりピンポン押しても、もしかすると会ってもらえないかもしれない。そう思った私は、マンションの前でAoを待ち伏せすることにした。
偶然鉢合わせしたように見せかければ、話くらいはしてくれるだろう。それで、先日のことを謝ってお詫びに食事に誘ってみるのも良いかもしれない。

私はマネージャーの車でマンション前に路駐してもらい、しばらく彼の帰りを待った。

「あっ! 来た」

待って一時間くらいで運良く彼が自宅に帰ってきた。

「え……うそ……なんで」

彼は一人ではなかった。あの日カフェで会ったフェロモン垂れ流しオメガと一緒に歩いて来る。
Aoは重そうな買い物袋を持っていて、オメガの男(たしかヨウヘイとか呼ばれていた)は手ぶらで平然と横を歩いている。

(待ってよ、なんで? どういうこと? 許せないんだけど)

私は咄嗟に二人の姿をスマホで撮影した。
愕然としている私のことなど知らずに、彼らは楽しげに笑みを交わしながら一緒にマンションのエントランス内へ消えていった。

(何……Aoのあんな笑ってる顔、撮影中だって見たこと無いのに……)

それから私は、自分のことを崇拝しているファンで下僕のアヤカをAoのマンションに張り込ませた。それで、あのオメガがあのとき偶然Aoのマンションを訪れたのではないことを知った。

「一緒に住んでるってこと……?」

アヤカが撮ってきた写真を見ると、彼らは二人で連れ立って出掛け、同時に帰るということを週に何度も繰り返していた。私は怒りでどうにかなりそうだった。

(絶対に許せない。私の忠告を無視してAoに近づくなんて――!)

その後Aoにヨウヘイの事を聞いても、彼は「お前に話す必要ない」って言って何も教えてくれなかった。

(なんで隠すわけ? 知られたくないような関係なの?)

私の忠告を無視するとどうなるか、今度こそあのオメガにわからせてやる。


しおりを挟む
感想 70

あなたにおすすめの小説

【完結】※セーブポイントに入って一汁三菜の夕飯を頂いた勇者くんは体力が全回復します。

きのこいもむし
BL
ある日突然セーブポイントになってしまった自宅のクローゼットからダンジョン攻略中の勇者くんが出てきたので、一汁三菜の夕飯を作って一緒に食べようねみたいなお料理BLです。 自炊に目覚めた独身フリーターのアラサー男子(27)が、セーブポイントの中に入ると体力が全回復するタイプの勇者くん(19)を餌付けしてそれを肴に旨い酒を飲むだけの逆異世界転移もの。 食いしん坊わんこのローグライク系勇者×料理好きのセーブポイント系平凡受けの超ほんわかした感じの話です。

寡黙なオオカミαにストーカー気質のネコΩが嫁いだ話

かとらり。
BL
 誰もがケモミミとバース性を持つ世界。  澪は猫種のΩだった。  引っ込み思案の澪は半ばストーカーのように密かに追いかけている憧れの人がいる。  狼種のαの慶斗だ。  そんな慶斗にいきなり嫁ぐことが決定した澪。話しかけるのも無理なのに結婚なんてできるの?  しかも慶斗は事情があるらしくー…

【完結済】キズモノオメガの幸せの見つけ方~番のいる俺がアイツを愛することなんて許されない~

つきよの
BL
●ハッピーエンド● 「勇利先輩……?」  俺、勇利渉は、真冬に照明と暖房も消されたオフィスで、コートを着たままノートパソコンに向かっていた。  だが、突然背後から名前を呼ばれて後ろを振り向くと、声の主である人物の存在に思わず驚き、心臓が跳ね上がった。 (どうして……)  声が出ないほど驚いたのは、今日はまだ、そこにいるはずのない人物が立っていたからだった。 「東谷……」  俺の目に映し出されたのは、俺が初めて新人研修を担当した後輩、東谷晧だった。  背が高く、ネイビーより少し明るい色の細身スーツ。  落ち着いたブラウンカラーの髪色は、目鼻立ちの整った顔を引き立たせる。  誰もが目を惹くルックスは、最後に会った三年前となんら変わっていなかった。  そう、最後に過ごしたあの夜から、空白の三年間なんてなかったかのように。 番になればラット化を抑えられる そんな一方的な理由で番にさせられたオメガ しかし、アルファだと偽って生きていくには 関係を続けることが必要で…… そんな中、心から愛する人と出会うも 自分には噛み痕が…… 愛したいのに愛することは許されない 社会人オメガバース あの日から三年ぶりに会うアイツは… 敬語後輩α × 首元に噛み痕が残るΩ

変異型Ωは鉄壁の貞操

田中 乃那加
BL
 変異型――それは初めての性行為相手によってバースが決まってしまう突然変異種のこと。  男子大学生の金城 奏汰(かなしろ かなた)は変異型。  もしαに抱かれたら【Ω】に、βやΩを抱けば【β】に定着する。  奏汰はαが大嫌い、そして絶対にΩにはなりたくない。夢はもちろん、βの可愛いカノジョをつくり幸せな家庭を築くこと。  だから護身術を身につけ、さらに防犯グッズを持ち歩いていた。  ある日の歓楽街にて、β女性にからんでいたタチの悪い酔っ払いを次から次へとやっつける。  それを見た高校生、名張 龍也(なばり たつや)に一目惚れされることに。    当然突っぱねる奏汰と引かない龍也。  抱かれたくない男は貞操を守りきり、βのカノジョが出来るのか!?                

【完結】Ωになりたくない僕には運命なんて必要ない!

なつか
BL
≪登場人物≫ 七海 千歳(ななみ ちとせ):高校三年生。二次性、未確定。新聞部所属。 佐久間 累(さくま るい):高校一年生。二次性、α。バスケットボール部所属。 田辺 湊(たなべ みなと):千歳の同級生。二次性、α。新聞部所属。 ≪あらすじ≫ α、β、Ωという二次性が存在する世界。通常10歳で確定する二次性が、千歳は高校三年生になった今でも未確定のまま。 そのことを隠してβとして高校生活を送っていた千歳の前に現れたαの累。彼は千歳の運命の番だった。 運命の番である累がそばにいると、千歳はΩになってしまうかもしれない。だから、近づかないようにしようと思ってるのに、そんな千歳にかまうことなく累はぐいぐいと迫ってくる。しかも、βだと思っていた友人の湊も実はαだったことが判明。 二人にのαに挟まれ、果たして千歳はβとして生きていくことができるのか。

胎児の頃から執着されていたらしい

夜鳥すぱり
BL
好きでも嫌いでもない幼馴染みの鉄堅(てっけん)は、葉月(はづき)と結婚してツガイになりたいらしい。しかし、どうしても鉄堅のねばつくような想いを受け入れられない葉月は、しつこく求愛してくる鉄堅から逃げる事にした。オメガバース執着です。 ◆完結済みです。いつもながら読んで下さった皆様に感謝です。 ◆表紙絵を、花々緒さんが描いて下さいました(*^^*)。葉月を常に守りたい一途な鉄堅と、ひたすら逃げたい意地っぱりな葉月。

ずっと二人で。ー俺と大好きな幼なじみとの20年間の恋の物語ー

紗々
BL
俺は小さな頃からずっとずっと、そうちゃんのことが大好きだった───。 立本樹と滝宮颯太は、物心ついた頃からの幼なじみ。いつも一緒で、だけど離れて、傷付けあって、すれ違って、また近づいて。泣いたり笑ったりしながら、お互いをずっと想い合い大人になっていく二人の物語です。 ※攻めと女性との絡みが何度かあります。 ※展開かなり遅いと思います。

【完結】おじさんはΩである

藤吉とわ
BL
隠れ執着嫉妬激強年下α×αと誤診を受けていたおじさんΩ 門村雄大(かどむらゆうだい)34歳。とある朝母親から「小学生の頃バース検査をした病院があんたと連絡を取りたがっている」という電話を貰う。 何の用件か分からぬまま、折り返しの連絡をしてみると「至急お知らせしたいことがある。自宅に伺いたい」と言われ、招いたところ三人の男がやってきて部屋の中で突然土下座をされた。よくよく話を聞けば23年前のバース検査で告知ミスをしていたと告げられる。 今更Ωと言われても――と戸惑うものの、αだと思い込んでいた期間も自分のバース性にしっくり来ていなかった雄大は悩みながらも正しいバース性を受け入れていく。 治療のため、まずはΩ性の発情期であるヒートを起こさなければならず、謝罪に来た三人の男の内の一人・研修医でαの戸賀井 圭(とがいけい)と同居を開始することにーー。

処理中です...