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番外編
ドSのイケメンにいじめられる事でしか摂取できない栄養がある(1)
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「私では君を満足させてあげられない」
蒼司が迎えにくるのを待っている間、桂木は僕にそう言った。
たしかに、桂木さんは優しすぎて蒼司のように僕を雑に扱ってくれない。
(そんなふうに考えていた時期が僕にもありました……)
「蓉平」
「あ、何? 蒼司くん」
ソファで考え事をしていた僕に蒼司が話し掛けてきた。
「今夜少し遅くなるから、晩飯先に食べていいよ」
「あ、そうなんだ」
「俺が居なくてもちゃんと食えよ? 作業に集中してたらたまに飯食ってないことあるだろ」
「うん。わかった」
「じゃあ、帰る時連絡する」
蒼司が大学に行くのを玄関まで見送る。
「行ってらっしゃい、勉強頑張ってね」
「なあ」
「え?」
手を振る僕に向かって、彼が無言で自分の頬を指差した。
「あ、はい……」
僕は蒼司の頬にキスをする。いつもされてばかりじゃなくて見送るときくらいキスしろ、と言われたのだ。
今までは見送りに出るだけでも「うっとうしいからやめろ」と怒られていた。
(婚約することになって急に習慣を変えようとしても――こういうのってなんだか慣れないんだよね)
僕の戸惑いをよそに、蒼司は満足げに微笑んだ。
「行ってくる」
閉まるドアを見つめながら僕はため息をつく。
「はぁ~……かっこいい……」
いつ見ても惚れ惚れしてしまうのは相変わらずだ。一定の距離を保って生きていきたかったのに、なぜか父と義母の策略により蒼司と結婚することになってしまった。
(嬉しいよ、そりゃ。嬉しいけど……蒼司くんが最近僕に甘すぎてなんだか調子狂っちゃうな)
そう、彼は近頃以前よりずっと優しくなった。
以前は基本的に僕が話し掛けても何も答えないか、「ああ」とか「ふん」とかそんな気のない返事しかしてくれなかった。それが、最近は話し掛けたらちゃんとこっちを見て返事をしてくれるし、なんなら微笑みかけてもくれる。
最近学部を変更して勉強も忙しいはずなのに僕の体調のことまで心配してくれるし、休日は外に連れ出してくれる。
ああやってキスを求められ、帰宅した時は抱きしめてくれる。
冷たかった彼が、精一杯愛情表現してくれているのだ。
(嬉しい……だけど、ちょっと物足りない気もしたりして)
僕はたまには前みたいにちょっとキツめに睨まれたい――率直に言えば「いじめられたい」という願望を胸の内にくすぶらせていたのだった。
◇◇◇
僕は中西のサロンを訪れてこれまであった出来事を全て話した。
「……ということになりまして……」
「え~! 本当に蒼司くんと結婚するんだ!?」
「はい」
「いやあ、どうなることかと思っちゃったよ。蒼司くんからの電話で蓉平くんがうちに来てないってバラしたのまずかったかな~って」
「いえ、いいんです。僕の言葉が足りなかったんです」
「そっかぁ、でもよかったね。大好きな蒼司くんとちゃんとうまくいって!」
「ええ。そうなんですけど……」
「ん? どうしたの。何か問題でも?」
「それが……」
僕は最近蒼司が優しすぎて怖いという話をした。
そして、何より気になっていることがもう一つ……。
「ええっ!? 待って、まだエッチしてないの?」
「な、中西さん。声大きいですって」
「いいじゃん、誰も居ないんだもん。そんなことより、どういうこと? あれからもう1ヶ月近く経つけど!?」
「そうなんです……」
僕たちは婚約することになった。これは両親も認めている。いつ籍を入れようか、結婚式はどうしようかという話もしているくらいだ。
それなのに……。
「僕はしたいって思ってるんですけど、そういう雰囲気になってもうやむやにされちゃうっていうか……」
「え? え? 意味わかんない。どいういうこと?」
「手とか、口ではしてくれるんですけど……」
中西はうんうん、と頷く。
「入れてくれないんです」
僕は恥ずかしくて顔が熱くなるのを感じながらも打ち明けた。
中西はそれを聞いて唸った。
「うーん、それは……そうかぁ、まあ、わからないでも無い」
「え? わかるんですか?」
「蒼司くんはさ、蓉平くんのことが大事なんだよ」
「そ、そうでしょうか」
「いやー、そうなっちゃったか。、うーん」
「中西さん、僕どうしたらいいでしょう?」
百戦錬磨の中西なら解決策を伝授してくれるんじゃないかと思って恥を偲んで相談したのだ。
「蓉平くん。ここは、年上の君がリードしないと」
「ええ~! そんなの無理ですよ。僕、恋愛したことすらないんですから」
「そうだよなぁ……。まあ、次のヒートもうすぐでしょ? それを気長に待ってなよ。もしかしたら蒼司くんも初めてするのはヒートの時がいいって思ってるのかも」
「え?」
「ほら、蓉平くん初めてでしょ? 怖がらないように、君がヒートで理性飛ばしてる時にした方が安心すると思ってるのかもよ」
「ああ、なるほど……」
(たしかにそうかも! 蒼司くんの大きさのが入るのってちょっと怖いし)
「ありがとうございます! 心配しないで次のヒートを待ちます」
蒼司が迎えにくるのを待っている間、桂木は僕にそう言った。
たしかに、桂木さんは優しすぎて蒼司のように僕を雑に扱ってくれない。
(そんなふうに考えていた時期が僕にもありました……)
「蓉平」
「あ、何? 蒼司くん」
ソファで考え事をしていた僕に蒼司が話し掛けてきた。
「今夜少し遅くなるから、晩飯先に食べていいよ」
「あ、そうなんだ」
「俺が居なくてもちゃんと食えよ? 作業に集中してたらたまに飯食ってないことあるだろ」
「うん。わかった」
「じゃあ、帰る時連絡する」
蒼司が大学に行くのを玄関まで見送る。
「行ってらっしゃい、勉強頑張ってね」
「なあ」
「え?」
手を振る僕に向かって、彼が無言で自分の頬を指差した。
「あ、はい……」
僕は蒼司の頬にキスをする。いつもされてばかりじゃなくて見送るときくらいキスしろ、と言われたのだ。
今までは見送りに出るだけでも「うっとうしいからやめろ」と怒られていた。
(婚約することになって急に習慣を変えようとしても――こういうのってなんだか慣れないんだよね)
僕の戸惑いをよそに、蒼司は満足げに微笑んだ。
「行ってくる」
閉まるドアを見つめながら僕はため息をつく。
「はぁ~……かっこいい……」
いつ見ても惚れ惚れしてしまうのは相変わらずだ。一定の距離を保って生きていきたかったのに、なぜか父と義母の策略により蒼司と結婚することになってしまった。
(嬉しいよ、そりゃ。嬉しいけど……蒼司くんが最近僕に甘すぎてなんだか調子狂っちゃうな)
そう、彼は近頃以前よりずっと優しくなった。
以前は基本的に僕が話し掛けても何も答えないか、「ああ」とか「ふん」とかそんな気のない返事しかしてくれなかった。それが、最近は話し掛けたらちゃんとこっちを見て返事をしてくれるし、なんなら微笑みかけてもくれる。
最近学部を変更して勉強も忙しいはずなのに僕の体調のことまで心配してくれるし、休日は外に連れ出してくれる。
ああやってキスを求められ、帰宅した時は抱きしめてくれる。
冷たかった彼が、精一杯愛情表現してくれているのだ。
(嬉しい……だけど、ちょっと物足りない気もしたりして)
僕はたまには前みたいにちょっとキツめに睨まれたい――率直に言えば「いじめられたい」という願望を胸の内にくすぶらせていたのだった。
◇◇◇
僕は中西のサロンを訪れてこれまであった出来事を全て話した。
「……ということになりまして……」
「え~! 本当に蒼司くんと結婚するんだ!?」
「はい」
「いやあ、どうなることかと思っちゃったよ。蒼司くんからの電話で蓉平くんがうちに来てないってバラしたのまずかったかな~って」
「いえ、いいんです。僕の言葉が足りなかったんです」
「そっかぁ、でもよかったね。大好きな蒼司くんとちゃんとうまくいって!」
「ええ。そうなんですけど……」
「ん? どうしたの。何か問題でも?」
「それが……」
僕は最近蒼司が優しすぎて怖いという話をした。
そして、何より気になっていることがもう一つ……。
「ええっ!? 待って、まだエッチしてないの?」
「な、中西さん。声大きいですって」
「いいじゃん、誰も居ないんだもん。そんなことより、どういうこと? あれからもう1ヶ月近く経つけど!?」
「そうなんです……」
僕たちは婚約することになった。これは両親も認めている。いつ籍を入れようか、結婚式はどうしようかという話もしているくらいだ。
それなのに……。
「僕はしたいって思ってるんですけど、そういう雰囲気になってもうやむやにされちゃうっていうか……」
「え? え? 意味わかんない。どいういうこと?」
「手とか、口ではしてくれるんですけど……」
中西はうんうん、と頷く。
「入れてくれないんです」
僕は恥ずかしくて顔が熱くなるのを感じながらも打ち明けた。
中西はそれを聞いて唸った。
「うーん、それは……そうかぁ、まあ、わからないでも無い」
「え? わかるんですか?」
「蒼司くんはさ、蓉平くんのことが大事なんだよ」
「そ、そうでしょうか」
「いやー、そうなっちゃったか。、うーん」
「中西さん、僕どうしたらいいでしょう?」
百戦錬磨の中西なら解決策を伝授してくれるんじゃないかと思って恥を偲んで相談したのだ。
「蓉平くん。ここは、年上の君がリードしないと」
「ええ~! そんなの無理ですよ。僕、恋愛したことすらないんですから」
「そうだよなぁ……。まあ、次のヒートもうすぐでしょ? それを気長に待ってなよ。もしかしたら蒼司くんも初めてするのはヒートの時がいいって思ってるのかも」
「え?」
「ほら、蓉平くん初めてでしょ? 怖がらないように、君がヒートで理性飛ばしてる時にした方が安心すると思ってるのかもよ」
「ああ、なるほど……」
(たしかにそうかも! 蒼司くんの大きさのが入るのってちょっと怖いし)
「ありがとうございます! 心配しないで次のヒートを待ちます」
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