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1936年ヒトラー総統
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シュリンプがヒトラーに兵器売却を提案してから半年がたった日。報告書が纏められてヒトラーの元に届けられた。そしてその説明を行うのは売却を提案したシュリンプであった。
「まず初めに、我らから兵器の購入をすると決めたのはイタリア、ルーマニア、ハンガリー、ブルガリア、トルコの6カ国です。ユーゴスラビアは対独主張者と親独主張者の対立が激しく、結論が出るのはまだまだ先になりそうです。」
シュリンプの報告にヒトラーは予想通りだと思った。チェコスロバキアとポーランド、ベネルクス諸国、諸列強は乗らないだろうと。
「そしてイタリアは10台の1号戦車とハインゲルHe51を20機の購入を申し出してきてくれました。申してきた両方とも我が軍の旧式装備であり、技術の流出という面から見ても問題ないと考える次第です。」
「外貨としてはどれほどになるのだ?」
あまり考えることが好きではないヒトラーはシュリンプに対してわかりやすい結果を求めた。シュリンプは幾つかの丸められた紙束を取り出す。
「結果だけを申しますと、長らく続いた貿易赤字の改善が行え、数年間は貿易黒字になり国内経済が安定することは間違いないでしょう。その黒字分を、経済分野や軍事研究や軍拡に投入することで精強なドイツ帝国になることは確実です。」
「それはなかなかに上々である。我々が力を入れるべき分野は陸軍と空軍である。そして、精強な経済である。」
「分かっております。総統閣下。」
「我々は今からでは全く海軍の増強が間に合わないと考えるが、それはどうなりそうだがそれはどうだ?」
思いつきを口にするヒトラー。ドイツ第三帝国はフランス・イギリスとは比にならないほど脆弱な海軍であった。ドイツ第三帝国の陸海空軍のうちで一番先の大戦の影響を受けているのは海軍であるのは間違いなかった。先の大戦までは英仏と比肩するほど強大な海軍力を有していたが、今ではその面影すらない。かろうじで、主力艦を果たせる2隻の戦艦と重巡洋艦2隻がある位だ。あと軽巡洋艦数隻に駆逐艦と潜水艦十数隻ほどしかない。これだけでは戦争時に輸送艦の護衛すらままならない、と聞いた記憶がヒトラーに蘇った。
「現在その問題には陸軍での対処は不可能との回答がでています。よって、空軍による対処を検討しています。現行のユンカース Ju87による対艦攻撃訓練によってある程度の対艦攻撃は認められていますが、対艦攻撃専用機の開発を望む声が上がっているのも事実です。しかしそれについては空軍担当のヘルマン・ゲーリングについて聞かれることをおすすめします。」
「わかった。今日中にこの部屋に来るように伝えてくれ。」
「承りました。」
「ほかに何か報告はあるか?」
「周辺諸国に関連してはこちらで取り纏めておきます。しかし、総統のお耳に入れておきたいことが一つ。」
「何だ?」
「大日本帝国から陸海空軍の技術協力の依頼が届いております。」
「また極東からか・・・。」
「まず初めに、我らから兵器の購入をすると決めたのはイタリア、ルーマニア、ハンガリー、ブルガリア、トルコの6カ国です。ユーゴスラビアは対独主張者と親独主張者の対立が激しく、結論が出るのはまだまだ先になりそうです。」
シュリンプの報告にヒトラーは予想通りだと思った。チェコスロバキアとポーランド、ベネルクス諸国、諸列強は乗らないだろうと。
「そしてイタリアは10台の1号戦車とハインゲルHe51を20機の購入を申し出してきてくれました。申してきた両方とも我が軍の旧式装備であり、技術の流出という面から見ても問題ないと考える次第です。」
「外貨としてはどれほどになるのだ?」
あまり考えることが好きではないヒトラーはシュリンプに対してわかりやすい結果を求めた。シュリンプは幾つかの丸められた紙束を取り出す。
「結果だけを申しますと、長らく続いた貿易赤字の改善が行え、数年間は貿易黒字になり国内経済が安定することは間違いないでしょう。その黒字分を、経済分野や軍事研究や軍拡に投入することで精強なドイツ帝国になることは確実です。」
「それはなかなかに上々である。我々が力を入れるべき分野は陸軍と空軍である。そして、精強な経済である。」
「分かっております。総統閣下。」
「我々は今からでは全く海軍の増強が間に合わないと考えるが、それはどうなりそうだがそれはどうだ?」
思いつきを口にするヒトラー。ドイツ第三帝国はフランス・イギリスとは比にならないほど脆弱な海軍であった。ドイツ第三帝国の陸海空軍のうちで一番先の大戦の影響を受けているのは海軍であるのは間違いなかった。先の大戦までは英仏と比肩するほど強大な海軍力を有していたが、今ではその面影すらない。かろうじで、主力艦を果たせる2隻の戦艦と重巡洋艦2隻がある位だ。あと軽巡洋艦数隻に駆逐艦と潜水艦十数隻ほどしかない。これだけでは戦争時に輸送艦の護衛すらままならない、と聞いた記憶がヒトラーに蘇った。
「現在その問題には陸軍での対処は不可能との回答がでています。よって、空軍による対処を検討しています。現行のユンカース Ju87による対艦攻撃訓練によってある程度の対艦攻撃は認められていますが、対艦攻撃専用機の開発を望む声が上がっているのも事実です。しかしそれについては空軍担当のヘルマン・ゲーリングについて聞かれることをおすすめします。」
「わかった。今日中にこの部屋に来るように伝えてくれ。」
「承りました。」
「ほかに何か報告はあるか?」
「周辺諸国に関連してはこちらで取り纏めておきます。しかし、総統のお耳に入れておきたいことが一つ。」
「何だ?」
「大日本帝国から陸海空軍の技術協力の依頼が届いております。」
「また極東からか・・・。」
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