世界はあるべき姿へ戻される 第二次世界大戦if戦記

颯野秋乃

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ドイツ第三帝国 戦争論理論争3

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「今回は何を話すかといえば、マジノ線の攻略による衝撃の大きさだ。マジノ線は160億フランという破格の資金をかけて建造されている。これはいわばフランス国民の心の支柱ともいえる。そんなマジノ線が粉砕され、突破されたと国民に広く知られたとき、フランス国民はどう思うだろうか?無茶だ、もう戦えないと思うのではないか?私はそう考える」

ヘルマンはボードにドイツとフランスの国境が拡大された地図を張り付ける。

「我々とフランス国境はおよそ450㎞。そのすべてをカバーしてるマジノ線に関する情報はこの短期間で集めることは難しかった。独立した要塞が複数個配置されているのか。それとも連結されており、横のつながりが形成されているのか。人員はどの程度なのか、配備されている装備は?多くのことが分からない。ただ、体の待ち構えている場所で戦い勝利すること。この衝撃は大きなものでしょう」

「そして速やかにナンシーを占拠し、鉄道網を利用してパリを目指す。私の考えではパリが砲弾にさらされるという事実が直近に迫ったとき、フランスは容易に降伏に応じるでしょう。…これが私の考える政治情勢を踏まえた案です。フェーラの後では物足りないかもしれませんが」

そう締めくくるヘルマン。

「マジノ線はブラックボックスか…」

ペーターの呟きにヘルマンは反応する。

「ああ、その通りだ。国教偵察から分かる情報も、上空から見える映像も大差ない。所々で見えるコンクリートの塊。自分は建設に関する知識はからっきしですが、あのぽつぽつ見えるコンクリートの塊が160億フランかかったといわれると、とても信じられませんね。何かあるんじゃないか?そう私は勘ぐってしまうね」

「何かあると思うのであれば、やめるほうがいいのではないですか?」

そういうフェーラにヘルマンは違うと答える。

「相手が待ち構えていることが分かれば手の打ちようはいくらかある。先の大戦以前では、歩兵同士の押し合いが普通で、先の大戦でもその形態が大きく変わることはなかった。ただし、今では口径の大きな砲や戦車が開発されなじめている時代だ。そこに要塞と敵がいることが分かっていれば、それを前提とした戦い方が可能なはずだ」

そう熱弁するヘルマンに、ペーターは自分の意見を言う。

「そのためには現行の兵器では到底物足りない。だからこそ射程・火力に富んだ火砲や戦車が必要で、それをそろえることができれば、それを国境に並べて敵を撃破可能…それは確かに可能かもしれない。ただし一つ視点が欠けているのではないか?こちらが打ち込めるということは、敵もこちらに打ち込める可能性があるということに他ならないということだ」

ペーターの発言はヘルマンの虚を突いたものだった。それ故にヘルマンが反論することはなかった。

「議論は論理的であらねばならないと私は考える。が、もし、ヘルマンの言っていた勘が当たっており、それが戦艦にも詰めるような大口径の固定方であった場合、今私たちのいるこの街ですら十分に射程圏内になるかもしれない。しかし、仮定に仮定を重ねたものだ。そうであることはどうかわからないな…。積極的な調査が必要になるな」

そうして、ヘルマンの発表は終わった。

最後にペーターがボードの前に立った。そして、二人に封筒を渡した。二人が封筒を開けると、中から【マジノ線迂回攻勢案】と書かれた紙束が現れ、その表紙には「軍機に付き取扱注意」の押し印がなされてあった。

「私が考えたベネルクス三国を経由したフランス侵攻案は、すでにロンメル将軍が考案されていた。それがこの作戦概要書だ」

「こんなものどこで貰って来たんだよ…」

驚きを隠せないヘルマン。フェーラはすでに中身を読み始めている。

「二日前に呼び出されて、今していることを話したら、今日これが届けられたんだよ。これが仕上がった理由として先日のハンガリー侵攻で、アルデンヌの森を戦車で走破可能であると、ロンメル将軍は判断されたらしい。それと、私が言いたいことはそこに描かれてあるから、ゆっくりと目を通してくれ」

こうして会議自体は終了し、これからはフェーラとヘルマンの意見をまとめながら戦略概要書【衝撃と畏怖】が完成した。1週間かかったそれをペーターはロンメルに提出し、普段の任務に戻るのであった・




〈以下本文に関係ない〉
ペーター視点は今話をもって一旦終了となります。
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