世界はあるべき姿へ戻される 第二次世界大戦if戦記

颯野秋乃

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ドイツ第三帝国 1939年9月 地獄の始まり

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「閣下。本当によろしいのですね」

疑問形でない、ただなる最終確認。
どれだけの人間が死ぬことになるかもわからない。その割には実に簡素な問いであった。

「ああ。もちろんだとも」
この場にいる人間は、すべてが滞りなく始まることを、知っていた。

そんな時、総統の執務机の電話が鳴り響く。
受話器を耳に当て、向こうで何者かが話す声が、漏れ聞こえる。

「変更など何もない。互いの利益のために動こうじゃないか。条約に何の変更もない」
そして、電話が切れる。

「では、諸君。あとは任せたよ。全て予定通りに、遅滞なく、完璧に」
総統の言葉に、皆が敬礼をして答える。総統はその様子すら確認せず、部下に退室を促し、自身は書類に目を通し始めた。

同日10時。ドイツ第三帝国はポーランド政府に対し、正式な宣戦を布告し、国境での戦闘が開始された。

そして、その一時間後極東の国家、大日本帝国は中華統一戦線との戦争が終結したことを宣言し、全世界に向けて東京条約を発行を明らかにした。その内容は群雄割拠していた軍閥が全て解体され、統一された中華政府の樹立と、沿岸地域の200年にも及ぶ租借であった。

今日という日は、それだけでは終わらなかった。そして正午。ソビエト連邦はトルコ共和国に対して、る。ダーダネルス海峡とボスポラス海峡を要求し、宣戦を布告した。この会談は秘密裏に行われており、世界に大きな衝撃を与えた。

後にこの3時間は、”The moment the demon descended.”(悪魔が降臨した瞬間)といわれることになる。



そんな中、ロンメルはフランス国境部を訪れていた。
ポーランド国境での戦闘には、一切関与していないのだ。自身の手腕を振るうのはもう少し後である。今日は、部下が残していった、作戦の実施が滞りなく行われるかの確認に足を運んだのであった。

「首尾はどうかね、ヘルマン少佐、フェーラ少佐。」

「ええ、問題なく。工程はすべて終えてあります」
二人を代表してヘルマンが答える。その返答に、満足も不満足も示さずに、設置された野砲を眺めるロンメル。その光景は、多くの兵士には近づきがたく、周囲には三人を除き誰も姿を現さなかった。

ヘルマンおよびフェーラも心情は似たようなもので、突如として現れた上官、それもかなり上の地位の人間が現れ、この状況から早く解放されたいと、願っていた。しかし、そうすることができない状況があり、二人は仕方なく、精神をすり減らしながら、対応をしていた。

二人が逃げ出せない原因。それは、ペーターの不在であった。3か月ほど前に指令が下った。そう言い残して、どこかへ行ってしまったのである。問題はすべて解決済みであったため、いままで問題なく事は運んでいた。この人が現れるまでは…。

そんなことを考えていると、そくさくと歩き始めたロンメルから、遅れること数歩。その後ろを追いかけることになる。そして、近くの天幕に入り中にいた兵士の全てを追い出した。着席を促され、二人は腰を下ろす。そして、ロンメルはずっと小脇に挟んできた茶封筒を二人の間に置いた。

「君たちのリーダー、ペーターは今、トルコにいる。」
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