43 / 69
ドイツ第三帝国 1939年3月 ダンツィヒ割譲及びポーランド回廊の通行に関する最後通牒
しおりを挟む「先の大戦の結果は非常に非合理なものとなった。そこに住む住人の意見など取り入れずに、敵国認定した国家に対して、如何に弱体化させるか、誇りを傷つけさせるかに執着した。つまり、今この世界はあるべき姿ではない。あるべき姿でない世界に直面した我々が行うべき手段は一体何であろうか?過去の恥辱にまみれ、下を向き、謝罪を重ね、誇りを取り戻すことさえ許されず、悲嘆にくれながら生きていくことなのか?」
「断じて否である。我々はそのことを行動によって示してきた。オーストリアを統合し、スロバキアを編入した。これは先の大戦の勝者ですら、この世界があるべき姿ではない。そう認めたことに他ならない。彼らは自身の間違いについて認めたのである。ならば我々が何を恐れる必要があるというのか?われらの掲げる理想郷は目前である」
「私はこの場にて宣言する。われらの誇りをすべて回収すると。そして、その対象はユーゴスラビア連邦が不当に占拠するスロベニア、デンマークのユトランド半島南部、そして、ダンツィヒである。スロベニアに関しては、今なお十分に交渉の余地が残っている。しかし、ダンツィヒに関しては、我々の我慢の限界はすぐそこにまで迫っている。1935年に拒否されたこの要求を我々は再三にわたり、平和的解決を行おうとしてきた。しかし、頑なに拒否を続けたのはポーランド政府である!」
「一体ポーランド政府がダンツィヒを領有し続ける明確な根拠は一体どこにあるというのか?先の大戦以前はダンツィヒは我々の領土であり、オストプロイセンとの交通の便が良かった。それが、われらの敗戦を機に独立したポーランドを海に出られるようにと、配慮した英仏の思惑によってあの地域は、現在の歪さとなっている。これは到底看過できる状況ではない!」
「よってわれらナチスは、先ほどポーランド政府に対してダンツィヒ割譲及びポーランド回廊の通行に関する最後通牒を送付した。この返答期限は半年後である。返答によっては血と鉄による履行が待っていることを忘れるでない」
「これは脅しではない。ましてやジョークでもない。事実だ。我々は全ての誇りを奪還する」
この空気、”正常であれば”奇妙に見えるのであろうか?異常に見えるのであろうか?私には到底そう見ることはできない。失墜した誇りを取り戻すことは駄目なことなのであろうか?非難されるべきことであろうか?国家の威信のために犠牲になる人間がいることはおかしなことであろうか?自国が今まさに偉大になろうとしていることを、悲観する必要が一体どこにあるというのか?そう、我々の歩む道に間違いがあるはずがない。当り前だ。我々は正しいことをしているのだから。我々が間違えることなんてあるわけがない。
なぜなら、我々はこの世界で一番優れた民族であるのだから・・・
0
あなたにおすすめの小説
札束艦隊
蒼 飛雲
歴史・時代
生まれついての勝負師。
あるいは、根っからのギャンブラー。
札田場敏太(さつたば・びんた)はそんな自身の本能に引きずられるようにして魑魅魍魎が跋扈する、世界のマーケットにその身を投じる。
時は流れ、世界はその混沌の度を増していく。
そのような中、敏太は将来の日米関係に危惧を抱くようになる。
亡国を回避すべく、彼は金の力で帝国海軍の強化に乗り出す。
戦艦の高速化、ついでに出来の悪い四姉妹は四一センチ砲搭載戦艦に改装。
マル三計画で「翔鶴」型空母三番艦それに四番艦の追加建造。
マル四計画では戦時急造型空母を三隻新造。
高オクタン価ガソリン製造プラントもまるごと買い取り。
科学技術の低さもそれに工業力の貧弱さも、金さえあればどうにか出来る!
超克の艦隊
蒼 飛雲
歴史・時代
「合衆国海軍ハ 六〇〇〇〇トン級戦艦ノ建造ヲ計画セリ」
米国駐在武官からもたらされた一報は帝国海軍に激震をもたらす。
新型戦艦の質的アドバンテージを失ったと判断した帝国海軍上層部はその設計を大幅に変更することを決意。
六四〇〇〇トンで建造されるはずだった「大和」は、しかしさらなる巨艦として誕生する。
だがしかし、米海軍の六〇〇〇〇トン級戦艦は誤報だったことが後に判明。
情報におけるミスが組織に致命的な結果をもたらすことを悟った帝国海軍はこれまでの態度を一変、貪欲に情報を収集・分析するようになる。
そして、その情報重視への転換は、帝国海軍の戦備ならびに戦術に大いなる変化をもたらす。
日露戦争の真実
蔵屋
歴史・時代
私の先祖は日露戦争の奉天の戦いで若くして戦死しました。
日本政府の定めた徴兵制で戦地に行ったのでした。
日露戦争が始まったのは明治37年(1904)2月6日でした。
帝政ロシアは清国の領土だった中国東北部を事実上占領下に置き、さらに朝鮮半島、日本海に勢力を伸ばそうとしていました。
日本はこれに対抗し開戦に至ったのです。
ほぼ同時に、日本連合艦隊はロシア軍の拠点港である旅順に向かい、ロシア軍の旅順艦隊の殲滅を目指すことになりました。
ロシア軍はヨーロッパに配備していたバルチック艦隊を日本に派遣するべく準備を開始したのです。
深い入り江に守られた旅順沿岸に設置された強力な砲台のため日本の連合艦隊は、陸軍に陸上からの旅順艦隊攻撃を要請したのでした。
この物語の始まりです。
『神知りて 人の幸せ 祈るのみ
神の伝えし 愛善の道』
この短歌は私が今年元旦に詠んだ歌である。
作家 蔵屋日唱
徳川慶勝、黒船を討つ
克全
歴史・時代
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
尾張徳川家(尾張藩)の第14代・第17代当主の徳川慶勝が、美濃高須藩主・松平義建の次男・秀之助ではなく、夭折した長男・源之助が継いでおり、彼が攘夷派の名君となっていた場合の仮想戦記を書いてみました。夭折した兄弟が活躍します。尾張徳川家15代藩主・徳川茂徳、会津藩主・松平容保、桑名藩主・松平定敬、特に会津藩主・松平容保と会津藩士にリベンジしてもらいます。
もしかしたら、消去するかもしれません。
信忠 ~“奇妙”と呼ばれた男~
佐倉伸哉
歴史・時代
その男は、幼名を“奇妙丸”という。人の名前につけるような単語ではないが、名付けた父親が父親だけに仕方がないと思われた。
父親の名前は、織田信長。その男の名は――織田信忠。
稀代の英邁を父に持ち、その父から『天下の儀も御与奪なさるべき旨』と認められた。しかし、彼は父と同じ日に命を落としてしまう。
明智勢が本能寺に殺到し、信忠は京から脱出する事も可能だった。それなのに、どうして彼はそれを選ばなかったのか? その決断の裏には、彼の辿って来た道が関係していた――。
◇この作品は『小説家になろう(https://ncode.syosetu.com/n9394ie/)』でも同時掲載しています◇
戦神の星・武神の翼 ~ もしも日本に2000馬力エンジンが最初からあったなら
もろこし
歴史・時代
架空戦記ファンが一生に一度は思うこと。
『もし日本に最初から2000馬力エンジンがあったなら……』
よろしい。ならば作りましょう!
史実では中途半端な馬力だった『火星エンジン』を太平洋戦争前に2000馬力エンジンとして登場させます。そのために達成すべき課題を一つ一つ潰していく開発ストーリーをお送りします。
そして火星エンジンと言えば、皆さんもうお分かりですね。はい『一式陸攻』の運命も大きく変わります。
しかも史実より遙かに強力になって、さらに1年早く登場します。それは戦争そのものにも大きな影響を与えていきます。
え?火星エンジンなら『雷電』だろうって?そんなヒコーキ知りませんw
お楽しみください。
征空決戦艦隊 ~多載空母打撃群 出撃!~
蒼 飛雲
歴史・時代
ワシントン軍縮条約、さらにそれに続くロンドン軍縮条約によって帝国海軍は米英に対して砲戦力ならびに水雷戦力において、決定的とも言える劣勢に立たされてしまう。
その差を補うため、帝国海軍は航空戦力にその活路を見出す。
そして、昭和一六年一二月八日。
日本は米英蘭に対して宣戦を布告。
未曾有の国難を救うべく、帝国海軍の艨艟たちは抜錨。
多数の艦上機を搭載した新鋭空母群もまた、強大な敵に立ち向かっていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる