世界はあるべき姿へ戻される 第二次世界大戦if戦記

颯野秋乃

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動線攻勢

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冬。雪が降ることもあるが、今年はその可能性を疑いたくなるほど暖かい。

とは言っても、こんな真夜中だとコートはしっかりと着込みたくはなるが。

静かな2ヶ月を経て、開戦前にあったZ計画を本格改修したN計画があらかた完了し、ドイツ参謀本部には新たなカードが2枚増えた。

早速そのカードを切ることを総統を含め承認した。ペーターは部隊をパリ郊外に集合させる。およそ1万人がなんの情報も与えられることなく、急造の駅の外に並ばされる。

そんな彼らの前に設置された質素な木箱の上にペーターは自ら登る。上官の登壇に少しやかましかったが、それなりにマシになる。

「今より30分後ここに列車が来る。我々はそれに乗り込み、南西に移動する。目的地はボルドーだ」

ペーターの発言に、おぉーと驚き8割困惑2割の声が兵士から漏れる。しかしペーターはそれを意にも介さず、話を続ける。

「この攻勢はスペイン軍と共同となる。ボルドー攻略後は殲滅をスペイン軍に任せ我々は海岸線を列車とともに北上する。ナント、バンヌ、ブレストをめがけて攻勢を行う」

「今は12月4日。我々はこの攻勢を今年中に終了させることを求められている」

「兵士諸君。この状況はなにか似ていると思わないかね。私は思うのだよ。先の大戦の無能な思い込みだ。クリスマス迄には終わるといったあの忌まわしき思い込みだ」

ペーターの言葉にハッとするもの、呆れるもの、俯くものその反応は多様だ。

「今回も同じ結果になるのではないかと、思うものが現れても仕方の無いかもしれない。ただ、我々は妄想から逃れている。準備し、想定し、不測の事態に対する余裕を持った」

「ここからは負けられない戦いであると同時に、負けない戦いである」

ペーターの後ろにある路線がシュンシュンと音を鳴らし始める。

「我々には確信がある。しかし諸君にはその確信がないことだろう。それは知らないからである」

ペーターがそう言って黙り込むと、最良のタイミングで汽笛が鳴り響く。ライトを線路に照らした列車が近づいてくる。

列車が近づいてくるにつれて、兵士たちの顔に興奮が浮かんでくる。

その列車には38cm砲などが備え付けられたさながら戦艦のような列車である。その列車がペーターの後ろで停車する。ペーターはマイクを手渡される。

「諸君らとともに今回の攻勢を行ってくれる、動線装甲艦ビスマルクである!」

その紹介に、兵士たちの興奮は最高潮に達する。

「今年中にヨーロッパ大陸から連合国を全て叩き出してやる!」

「「おおおおぉぉおおおおお!!」」




――――――――――――――――――――――――
アメリカ合衆国

スペインに対して禁輸措置を実施。

デンマーク、スウェーデン、ノルウェー、フィンランドに対して、戦略資源・物資を枢軸側に横流ししていないことを証明されない限り、輸出上限を設ける警告処置を実施。

大日本帝国に対してこれ以上の枢軸への兵器売却を行うようであれば全ての輸出品目について禁輸措置を行うと警告。

ポルトガルに防衛武器提供を開始。

大統領の民主主義の兵器廠発言が話題となる。
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