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しおりを挟む「……どうしてあんなことを言ったの? おかげで今日は散々だったよ」
「最高の一日だったじゃないか」
「嵐みたいな一日だったよ……」
夕焼けが空を染める時間。
学校の屋上は静寂に包まれ、冷たい風が吹き抜けていた。
僕は無意識に制服の袖を握りしめながら、目の前にいる玲央を見つめていた。
誰もいない屋上で、僕たちは二人きりだ。
玲央が告白してから、何時間が経ったのだろう。
まるで嵐のような一日だった。
あの告白が響き渡った瞬間、体育館は完全にパニックになった。僕の周りにいた生徒たちは一斉に僕を取り囲み、何が起こっているのか尋ねてきた。
「どういう関係なの?」とか、「いつから付き合ってたの?」なんて、誰もが口々に質問を投げかけてきたけど、僕にはどう答えればいいのか全くわからなかった。
ただ、玲央の言葉が頭の中で何度も繰り返されていて、それ以外のことがほとんど理解できなかったんだ。
教師たちも駆け寄ってきて、生徒たちを何とか落ち着かせようと必死だったけど、その努力はほとんど無意味に思えた。
玲央が僕に告白したという事実はあまりにも衝撃的で、生徒たちは興奮状態に陥っていた。結局、先生たちはなんとか場を収めるのに苦労していて、僕自身もその混乱の中、どうにか一日をやり過ごした。
なんとかクラスに戻り、引き続きクラス中から質問攻めにあうも担任の先生から「今日は月井に質問することを一切禁じる。席につけぇ!」と大号令をしてくれたおかげで事なきを得た。
先生からは後で「よくわからんが、明日の朝、落ち着いて先生に教えてほしい。正直我々もパニックだ」と言われたので「大丈夫です。僕もです」と答えておいた。
先生からは「三年生になったばかりなのに大変だな」と苦笑された。
自分の席に戻り、皆が興味津々な目で見てくる視線に耐えながら、どうしていいかわからないままボーッとしていると、スマホが震えた。
恐る恐る画面を見ると、「学校が終わったら屋上まで来て。玲央」と短いメッセージが届いていた。
胸の奥で何かが跳ね上がるような感覚を覚えた。
いつのまに電話番号を調べたのだろう、なんてのはもう気にしない。
玲央に呼ばていれる――そう考えるだけで、足が重くなった。でも、彼を無視するわけにはいかない。
僕はなるべく人目を避けながら、屋上へ向かった。
廊下で誰かに見つかったら、きっとまた質問攻めにされるだろうし、あのパニックの続きを見たくはなかった。
そして、今。
僕と玲央は、二人だけで屋上にいた。
二人だけだった。
まるで僕らだけが存在することを許されたような……そんな空間だった。
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