ぼんやり令息はひねくれ王子の溺愛に気づかない

まんまる

文字の大きさ
23 / 24
番外編

ひねくれ王子はぼんやり令息の溺愛に気づかない (※)

しおりを挟む
~初夜♡の後(翌日朝)~

シェラに無理をさせてしまった。
伯爵家の領地で毎晩シェラに触れていたせいで、初めての感じがしなかったのが、いけなかった。

本当はもっと、シェラを味わい⋯じゃなくて、シェラを優しく抱きたかった。

夜着の上から、じっくり体をまさぐろうと思っていたのに、知らない間に、2人共すっぽんぽんになっていた。
シェラの可愛い薄桃色の胸の尖りは、触れるか触れないか位の力で愛撫したかったのに、いきなり舌で転がしていた。

シェラのぴょこんと勃ち上がった大事なものも、本当は焦らしまくった後、可愛がろうと思っていたのに、いきなり猛々しい自分のものと一緒に、擦り合わせてしまった。

シェラの隠された小さな穴も、本当はじっくりねっとり広げるはずだったのに、俺とした事が、いきなり舌を根元まで差し入れてしまった。

シェラ、驚いただろうな⋯、怖くはなかっただろうか⋯。

はぁ⋯、やってしまった。


かぷっ
はみはみはみ

「シェ⋯?」
 

かじっ
はむはむはむ

「うわっ!シェラ!?」


ガブガブガブガブガブガブ


「まっ、待て待て待て!シェラ!?」


俺が脳内一人反省会をしていたら、胸に閉じ込めているシェラが、俺の(自慢の)胸板にガブガブと噛み付いてきた。

「シェラっ、くすぐっ、たい、だろ、やめっ」

ガブガブガブ

「シェラっ、どうしたんだ!?」

俺がシェラの顔を覗き込むと、シェラは俺の胸に甘噛みしながら、上目遣いで俺を見てきた。


「可愛っ⋯」

「ぷふっ」

「可愛っ!」

「ライアス様、一人で何を考えてたんですか?」
「うっ⋯、ちょっと、反省会を」
「反省会?」
「ああ、シェラに無理をさせてしまったんじゃないかと思って⋯。シェラの可愛さの前では、俺の理性なんて、真夏の氷のように簡単に消えてなくなってしまった」
「真夏の、氷⋯?」
「ふっ、何でもない、気にしなくていい」

俺がきょとんとするシェラを、ぎゅっと胸に閉じ込めると、シェラも俺を抱き締め返してくれた。

「ライアス様、僕、無理なんてしてません」
「シェラ、伴侶も思いやれないこんな俺に、気を遣ってくれるのか?」
「違いますっ!」
「シェラ⋯」
「だって、僕、嬉しかった。ライアス様が必死に僕を求めてくれて、僕、愛されてるんだって、心から思えたんです。領地でも、僕の病気が治るかも分からないのに、ライアス様は、僕のお世話をしてくれた。あの時のライアス様の愛を、僕は一生忘れません」
「シェ⋯」

かぷっ
はみはみはみ

「うわっ!シェラ、また噛み噛みか?」

「だって、ライアス様は、僕が大好きだから、噛みたくなるんですよね?」
「あ、ああ、気持ち悪いだろ⋯?」
「いいえ、僕も、ライアス様を噛みたいです」
「はっ?」
「僕もライアス様を食べてしまいたい程、愛してるって事です」
「シェ⋯うわあっ!?」


ガブガブガブガブガブガブガブ


シェラが小さな唇を俺の胸に押し当て、軽く甘噛みをするのが、愛おしくて、くすぐったくて、胸がキュンと締め付けられた。
俺はまた、馬鹿みたいにシェラを力任せに抱き締めようとして、慌ててやめた。

「ライアス様、抱き締めてくれないんですか?」
「うっ⋯、いつも加減が効かなくて、シェラを潰しそうになるからな」
「ふふっ、いいですよ」
「だ、だが⋯」
「だって、ライアス様が抱き締めてくれないと、僕もライアス様をギュッてできないです」

シェラは俺の背中に手を回し、俺をギュッと抱き締めようとするが、力が弱いからか、くすぐったくてたまらない。
俺もシェラを抱き締めようとした時、シェラの唇が動いた。

「ライアス様、ごめんなさい」
「ど、どうした?シェラ」
「僕が心を壊してた時、ライアス様は僕が抱き締め返さないと分かっていても、あんなに温かく抱き締めてくれてたんですね」
「シェラ⋯」
「ライアス様、これからは、絶対2人で抱き締め合いましょうね」


にこぱっ


「シェ、シェラーーー!!!」

「ぶっ!く、る、しぃ、やっ、ぱり、無理ぃ」

「ああっ!シェラ、すまない!」

「もう、ライアス様、やりすぎですっ!」

しゅん
「ごめん⋯」

「ぷふっ」

「ふっ」



天使のように笑うシェラを優しく抱き締めると、シェラもそっと抱き締め返してくれた。

シェラの赤く色付く耳に唇を寄せ、もう一度いいか、と許しを乞えば、胸の中のシェラがこくんと小さくうなずいた。



今度こそ、優しくするよ。

俺の愛しい愛しい天使。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

婚約破棄されてヤケになって戦に乱入したら、英雄にされた上に美人で可愛い嫁ができました。

零壱
BL
自己肯定感ゼロ×圧倒的王太子───美形スパダリ同士の成長と恋のファンタジーBL。 鎖国国家クルシュの第三王子アースィムは、結婚式目前にして長年の婚約を一方的に破棄される。 ヤケになり、賑やかな幼馴染み達を引き連れ無関係の戦場に乗り込んだ結果───何故か英雄に祭り上げられ、なぜか嫁(男)まで手に入れてしまう。 「自分なんかがこんなどちゃくそ美人(男)を……」と悩むアースィム(攻)と、 「この私に不満があるのか」と詰め寄る王太子セオドア(受)。 互いを想い合う二人が紡ぐ、恋と成長の物語。 他にも幼馴染み達の一抹の寂寥を切り取った短篇や、 両想いなのに攻めの鈍感さで拗れる二人の恋を含む全四篇。 フッと笑えて、ギュッと胸が詰まる。 丁寧に読みたい、大人のためのファンタジーBL。 他サイトでも公開しております。

学内一のイケメンアルファとグループワークで一緒になったら溺愛されて嫁認定されました

こたま
BL
大学生の大野夏樹(なつき)は無自覚可愛い系オメガである。最近流行りのアクティブラーニング型講義でランダムに組まされたグループワーク。学内一のイケメンで優良物件と有名なアルファの金沢颯介(そうすけ)と一緒のグループになったら…。アルファ×オメガの溺愛BLです。

待て、妊活より婚活が先だ!

檸なっつ
BL
俺の自慢のバディのシオンは実は伯爵家嫡男だったらしい。 両親を亡くしている孤独なシオンに日頃から婚活を勧めていた俺だが、いよいよシオンは伯爵家を継ぐために結婚しないといけなくなった。よし、お前のためなら俺はなんだって協力するよ! ……って、え?? どこでどうなったのかシオンは婚活をすっ飛ばして妊活をし始める。……なんで相手が俺なんだよ! **ムーンライトノベルにも掲載しております**

転生したらスパダリに囲われていました……え、違う?

米山のら
BL
王子悠里。苗字のせいで“王子さま”と呼ばれ、距離を置かれてきた、ぼっち新社会人。 ストーカーに追われ、車に轢かれ――気づけば豪奢なベッドで目を覚ましていた。 隣にいたのは、氷の騎士団長であり第二王子でもある、美しきスパダリ。 「愛してるよ、私のユリタン」 そう言って差し出されたのは、彼色の婚約指輪。 “最難関ルート”と恐れられる、甘さと狂気の狭間に立つ騎士団長。 成功すれば溺愛一直線、けれど一歩誤れば廃人コース。 怖いほどの執着と、甘すぎる愛の狭間で――悠里の新しい人生は、いったいどこへ向かうのか? ……え、違う?

庶子のオメガ令息、嫁ぎ先で溺愛されています。悪い噂はあてになりません。

こたま
BL
男爵家の庶子として産まれたサシャ。母と二人粗末な離れで暮らしていた。男爵が賭けと散財で作った借金がかさみ、帳消しにするために娘かオメガのサシャを嫁に出すことになった。相手は北の辺境伯子息。顔に痣があり鉄仮面の戦争狂と噂の人物であったが。嫁いだ先には噂と全く異なる美丈夫で優しく勇敢なアルファ令息がいた。溺愛され、周囲にも大事にされて幸せを掴むハッピーエンドオメガバースBLです。間違いのご指摘を頂き修正しました。ありがとうございました。

不遇の第七王子は愛され不慣れで困惑気味です

新川はじめ
BL
 国王とシスターの間に生まれたフィル・ディーンテ。五歳で母を亡くし第七王子として王宮へ迎え入れられたのだが、そこは針の筵だった。唯一優しくしてくれたのは王太子である兄セガールとその友人オーティスで、二人の存在が幼いフィルにとって心の支えだった。  フィルが十八歳になった頃、王宮内で生霊事件が発生。セガールの寝所に夜な夜な現れる生霊を退治するため、彼と容姿のよく似たフィルが囮になることに。指揮を取るのは大魔法師になったオーティスで「生霊が現れたら直ちに捉えます」と言ってたはずなのに何やら様子がおかしい。  生霊はベッドに潜り込んでお触りを始めるし。想い人のオーティスはなぜか黙ってガン見してるし。どうしちゃったの、話が違うじゃん!頼むからしっかりしてくれよぉー!

【完結】冷酷騎士団長を助けたら口移しでしか薬を飲まなくなりました

ざっしゅ
BL
異世界に転移してから一年、透(トオル)は、ゲームの知識を活かし、薬師としてのんびり暮らしていた。ある日、突然現れた洞窟を覗いてみると、そこにいたのは冷酷と噂される騎士団長・グレイド。毒に侵された彼を透は助けたが、その毒は、キスをしたり体を重ねないと完全に解毒できないらしい。 タイトルに※印がついている話はR描写が含まれています。

翔ちゃん、僕のお嫁さんになって下さい!!

Q矢(Q.➽)
BL
βだけど、運命の人。 ‪α‬とΩじゃなきゃ、運命にはなれませんか。 「翔ちゃん、法律変わったんだって。 結婚してよ。」 「…いやその前に告白すらされてねーんだけど…。」 当番組では、ハイスペ一途‪α‬が幼馴染のイケメンβを口説き落とす迄を追いました。 (※ドキュメンタリー風)

処理中です...