【R18】君に届くまで〜カタギの俺には資格がないの?〜

keco

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〚49〛Heart on the Window

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 *.゜。:+*.゜。:+*.゜。:+*.゜


 → 最上階に着いた仁


 エレベーターのドアが開くと
 その階に ひとつしかない玄関へ
 まっすぐ向かう


「緊張する…」


 汗ばんだ手に握られた
 カードキーをかざし


 ── ガチャッ…


 ドアノブに手をかけ
 扉を開けた


 。゜⋆。゜⋆。゜⋆。゜⋆。゜⋆。゜⋆



 足元に暖色のライトが灯る
 靴を脱ぎ 歩を進める


 リビングに向かう渡り廊下

 音のない静かな室内…


「えっ…」



 家具も何も無い 空室だった…


 バスルームや 収納スペース
 トイレ、キッチン、
 ふたつの部屋…


 全ての空間を 探るように
 そして…すがるように見て回った


 生活感が感じられなくて 落胆して
 膝から崩れ落ちた


 どうしてこんなに
 悲しい気持ちになるんだ?


「どうして…っ…」



 出窓の隅に
 何かが置いてあった


 引き寄せられるように
 その置かれていたモノに手を伸ばす


 "スノードーム"


 見つめ合う男女のシルエット…
 裏にあるスイッチを入れたら
 淡いブルーのライトが灯る


「綺麗だ…」


 雪の代わりに 次々と舞い上がる
 小さなハートを見ていると
 優しくて大好きな声が 脳内で再生された




 ━━━『いつも美味しいご飯
      作ってくれてありがとう』━━



「あ…」



 ━━『笑わせてくれてありがとう』━━


 ━━『仁は 私の おと…こだっ…』━━



「ヌ…ナ……っ…」



 ━━『ここで寝てたら
       風邪ひくだろがぃ!』━━


 ━━『愛でる準備、出来てるよ』━━




 あんなに…愛しいと思えた人を…

 どうして忘れてたんだろう…





 スノードームが置かれていた場所に
 メモ紙が残されていた



 ⟡.·*.··············································⟡.·*.

   今も尚 目映いこの窓辺で
   私の心を眺められるように
   窓にハートを残すよ
   君を待ちわびた時間の終わりに

 ⟡.·*.··············································⟡.·*.




「ヌナぁぁ…ぅっっ、ごめん…っ」



 ━━『仁…ココは私が勤めてる病院…
        大丈夫だから…ね』━━



 入院中も看護師の姿で そばに居て
 たくさん励ましてくれたのに
 思い出さなかったなんて

 俺に 哲の彼女だと
 勘違いされて…嫌だったよね…


「ごめんね…ッヌナ、全部…思い出したよ…
 ううっ、ぬなぁ…」


 何度呼んだって…何も無い部屋に
 虚しい俺の泣き声だけが
 エコーのように響いて…


 床に座り込んだままうずくまった




 ── ガチャッ…

 玄関の開く音に振り返る


「…っ!ヌナぁっ!!?」

「…思い出したのか?」


 部屋に入ってきたのは ゆうさん


「ごめんなさい…優さんっ
 大切なヌナのこと…っ…
 忘れてっ…ごめんなさいっ!!」


 俺のそばに来て
 しゃがんだ優さんに抱きついて
 子どものように…
 しゃくりあげて泣いた

 恥ずかしかったけど

 優さんは 俺が落ち着くまで
 ずっと背中を摩ってくれた


 。゜⋆。゜⋆。゜⋆。゜⋆。゜⋆。゜⋆


 上手く呼吸ができるくらい
 落ち着いてくると

 優さんは 体を離して 口を開いた


「大変だったな、仁…
 思い出せて良かった…」

「…はい」

「仁に 謝らないといけない」

「……?」

「仁を車で轢いたのは ウチの元組員だ」

「…お、…俺に何か恨みでも…?」

「いや、違う…
 仁の元カノが
 元組員が興した闇金で金借りてたんだ…
 保険金目的で…ってやつだ」


 麗香を殺す…つもりだったのか!?…

 恐怖で体が震える…


「…申し訳ない」

「元組員なんですよね?
 優さんには もう関係ない人です!
 俺は生きてます!謝らないでくださいっ!
 謝らないといけないのは 俺なんです…」

 
「仁に会えて良かったよ…」

 優さんは 微笑んで言った
 でも…続けて

「見ての通り…
 姉貴はもう ここには居ない」


 一呼吸置いて


「仁との同居を解消した後
 ここを出て行った」


「ど、どこにいるんですか?
 会って…謝りたいんです!!
 ヌナに 会わせて…っ…」



 。゜⋆。゜⋆。゜⋆。゜⋆*・゚・*:.。.*.。.:


 スノードームは
 持って帰っていいと言われ 引き取った


 哲に連絡をすると
 ジミンと一緒に迎えに来てくれた


「どうだった?
 お姉さんに会えたか?…」

「……ヌナは…もうっ、 」

「仁氏…もしかして!!」

「思い出したよ…全部、思い出したのに
 あの部屋を出て行ったって…」

  「「えっ…」」

「俺が 忘れちゃったから…俺が…っ…」



 哲がおもむろにスマホを取り出し
 見せてくれた


「お姉さんが"見合い"に行って
 仁が捨てられるって騒いだ時のLIME…」


 そこには


   "お姉さん!
  仁が泣いてますよ…
  幸せにしてやってくださいね!
  俺の大事な友達なんで!"


 哲のメッセージの後に


 ──"誰が仁を泣かせた?
  こっちに連れて来い!ボコってやる!!"


 ヌナらしい返信…


 そして、もうひとつのメッセージ


 ──"逆に教えて欲しい…
  仁の居ない【幸せ】って どこにある?"


 …やっと止まった涙が
 またハラハラと落ちていく


「…仁氏、ヌナにすごく愛されてるじゃん」

「こんな うらやましいメッセージ
 俺に送ってきてたのに…」




 どこにいるの、ヌナ…


 会いたいよ…
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