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8. 付き合ってからの、初めての朝
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付き合ってから、初めての朝。
カフェリテールの2階の部屋で目が覚めた瞬間、昨日までのことが夢じゃなかったって実感した。
サミュエルさんが「好きだ」って言ってくれたこと。
私が「私も好きです」って返したこと。
そして、「付き合いたい」って言葉を交わしたこと。
ベッドから起き上がって、鏡を見る。
頰が少し赤くて、目がキラキラしてる。
(……これが、恋人になったってこと?)
まだ実感が湧かない。
だって、サミュエルさんは騎士で、私は異世界から来たただのカフェ店員。
特別って言葉が嬉しかったけど、心のどこかで「本当に私でいいの?」ってざわつきが残ってる。
下に降りると、リノさんがすでにキッチンにいて、
「おはよう、藍里ちゃん! 昨日の夜、どうだった?」
ニヤニヤが止まらない顔。
「リノさん……!」
私は慌てて周りを見回すけど、店はまだ開店前。
「二人きりで告白されて、付き合っちゃったんでしょ?
顔見てればわかるわよ~♡」
「う、うん……でも、まだ信じられないっていうか……」
リノさんがコーヒーを淹れながら、
「ゆっくりでいいのよ。
恋って、急に全部が変わるわけじゃないんだから。
今日も新メニュー作って、常連さんを癒してあげて」
開店準備をしながら、胸が温かくなる。
サミュエルさんが今日も来るって思うだけで、接客のモチベーションが上がる。
snow Jewelの在庫を補充して、昨日完成させたフルーツあんみつパウンドをショーケースに並べる。
(これ、今日一番に食べてもらいたいな……)
午後を過ぎて、いつもの時間。
カランカラン。
サミュエルさんが入ってきた。
今日はフードなし、メガネもなし。
騎士団の制服の上に軽いコートを羽織ってる。
「お待たせしました……」
私はトレイを持って、カウンターへ。
「今日はフルーツあんみつパウンドです。」
サミュエルさんが席に座って、
「ありがとう。
昨日は、急に言って悪かったな」
「いえ……私こそ、泣いちゃって……」
サミュエルさんが小さく笑う。
「泣いてる君も、可愛かった」
(……可愛いって!?)
顔が一気に熱くなる。
サミュエルさんが一口食べて、
「やっぱり最高だ。
君の作るものは、俺の心を癒す」
リノさんが奥から「今日は私が接客するから、二人は奥でゆっくりしてて~」って。
(リノさん、察し良すぎ……!)
私たちはカウンターの奥の小さなテーブルへ。
二人きり。
サミュエルさんが紅茶を飲みながら、
「これから、毎日来るのは変わらない。
でも……少し、変わりたいことがある」
「変わりたい……?」
「今までは、常連として来てた。
これからは、恋人として来たい」
(恋人として……)
胸がきゅんってなる。
サミュエルさんが私の手を握って、
「アイリ、俺の彼女だろ?」
「は、はい……!」
声が上ずっちゃった。
サミュエルさんが優しく微笑む。
「なら、名前で呼んでいいか?」
「え……?」
「アイリ」
初めて、ちゃんと名前で呼ばれた。
心臓が鳴りすぎて、言葉が出ない。
サミュエルさんが私の手を強く握る。
「俺はサミュエルでいい。
これからは、そう呼んでくれ」
「サミュエル……さん」
「さん、はいらない」
「さ、サミュエル……」
照れくさくて、俯いちゃう。
サミュエルさんがくすっと笑って、
「可愛いな」
(……もう、死ぬ……)
夕方、店が閉まる頃。
サミュエルさんが立ち上がって、
「今日はこれで帰る。
明日も来るから」
「待ってます……サミュエル」
名前を呼ぶだけで、胸が熱くなる。
サミュエルさんが私の額に軽くキスをして、
「じゃあな、アイリ」
出て行った。
リノさんが奥から飛び出してきて、
「額キス!? 藍里ちゃん、進展早すぎ!」
「リノさん……!」
私は顔を覆って、
「まだ信じられない……本当に、私でいいのかな」
リノさんが優しく抱きついて、
「いいのよ。
サミュエルさんが選んだんだから。
これから、もっと甘い毎日になるわよ♡」
夜、部屋でベッドに座って、額に触れる。
まだ、温かさが残ってる。
(……恋人になったんだ)
でも、心のどこかで小さなざわつきが。
(本当に、私みたいなのが……?
でも、サミュエルが選んでくれた。
信じたい)
カフェリテールの2階の部屋で目が覚めた瞬間、昨日までのことが夢じゃなかったって実感した。
サミュエルさんが「好きだ」って言ってくれたこと。
私が「私も好きです」って返したこと。
そして、「付き合いたい」って言葉を交わしたこと。
ベッドから起き上がって、鏡を見る。
頰が少し赤くて、目がキラキラしてる。
(……これが、恋人になったってこと?)
まだ実感が湧かない。
だって、サミュエルさんは騎士で、私は異世界から来たただのカフェ店員。
特別って言葉が嬉しかったけど、心のどこかで「本当に私でいいの?」ってざわつきが残ってる。
下に降りると、リノさんがすでにキッチンにいて、
「おはよう、藍里ちゃん! 昨日の夜、どうだった?」
ニヤニヤが止まらない顔。
「リノさん……!」
私は慌てて周りを見回すけど、店はまだ開店前。
「二人きりで告白されて、付き合っちゃったんでしょ?
顔見てればわかるわよ~♡」
「う、うん……でも、まだ信じられないっていうか……」
リノさんがコーヒーを淹れながら、
「ゆっくりでいいのよ。
恋って、急に全部が変わるわけじゃないんだから。
今日も新メニュー作って、常連さんを癒してあげて」
開店準備をしながら、胸が温かくなる。
サミュエルさんが今日も来るって思うだけで、接客のモチベーションが上がる。
snow Jewelの在庫を補充して、昨日完成させたフルーツあんみつパウンドをショーケースに並べる。
(これ、今日一番に食べてもらいたいな……)
午後を過ぎて、いつもの時間。
カランカラン。
サミュエルさんが入ってきた。
今日はフードなし、メガネもなし。
騎士団の制服の上に軽いコートを羽織ってる。
「お待たせしました……」
私はトレイを持って、カウンターへ。
「今日はフルーツあんみつパウンドです。」
サミュエルさんが席に座って、
「ありがとう。
昨日は、急に言って悪かったな」
「いえ……私こそ、泣いちゃって……」
サミュエルさんが小さく笑う。
「泣いてる君も、可愛かった」
(……可愛いって!?)
顔が一気に熱くなる。
サミュエルさんが一口食べて、
「やっぱり最高だ。
君の作るものは、俺の心を癒す」
リノさんが奥から「今日は私が接客するから、二人は奥でゆっくりしてて~」って。
(リノさん、察し良すぎ……!)
私たちはカウンターの奥の小さなテーブルへ。
二人きり。
サミュエルさんが紅茶を飲みながら、
「これから、毎日来るのは変わらない。
でも……少し、変わりたいことがある」
「変わりたい……?」
「今までは、常連として来てた。
これからは、恋人として来たい」
(恋人として……)
胸がきゅんってなる。
サミュエルさんが私の手を握って、
「アイリ、俺の彼女だろ?」
「は、はい……!」
声が上ずっちゃった。
サミュエルさんが優しく微笑む。
「なら、名前で呼んでいいか?」
「え……?」
「アイリ」
初めて、ちゃんと名前で呼ばれた。
心臓が鳴りすぎて、言葉が出ない。
サミュエルさんが私の手を強く握る。
「俺はサミュエルでいい。
これからは、そう呼んでくれ」
「サミュエル……さん」
「さん、はいらない」
「さ、サミュエル……」
照れくさくて、俯いちゃう。
サミュエルさんがくすっと笑って、
「可愛いな」
(……もう、死ぬ……)
夕方、店が閉まる頃。
サミュエルさんが立ち上がって、
「今日はこれで帰る。
明日も来るから」
「待ってます……サミュエル」
名前を呼ぶだけで、胸が熱くなる。
サミュエルさんが私の額に軽くキスをして、
「じゃあな、アイリ」
出て行った。
リノさんが奥から飛び出してきて、
「額キス!? 藍里ちゃん、進展早すぎ!」
「リノさん……!」
私は顔を覆って、
「まだ信じられない……本当に、私でいいのかな」
リノさんが優しく抱きついて、
「いいのよ。
サミュエルさんが選んだんだから。
これから、もっと甘い毎日になるわよ♡」
夜、部屋でベッドに座って、額に触れる。
まだ、温かさが残ってる。
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でも、心のどこかで小さなざわつきが。
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でも、サミュエルが選んでくれた。
信じたい)
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