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第一章 森の生活と孤児院改革:ギルド登録と初めてのビジネス
第46話 冒険者ギルド潜入! 受付のお姉さんが綺麗で優しかったです
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ギィィ……。
重々しい音を立てて、大きな木の扉が開く。
その瞬間、むわっとした熱気と、大勢の人の活気が、音と匂いになって私に飛び込んできた。
(うわっ、すごい熱気……! ちょっと汗臭くて、お酒の匂いもする。まさにファンタジーの酒場!)
中は、外から見た以上に広かった。
フロアには、頑丈そうな木のテーブルと椅子がいくつも並べられ、そこでは、いかにも「冒険者です」という感じの、ゴツい装備を身につけた人たちが、昼間から大声で笑い合ったり、酒を酌み交わしたり、あるいは真剣な顔で地図を広げていたりする。
前世の清潔なオフィスとは全然違う、荒々しいけれど、なんだか不思議な力強さに満ちた空間だ。
壁際には、巨大な掲示板が設置されていて、そこには羊皮紙らしき紙がびっしりと貼られていた。あれが、いわゆる依頼(クエスト)ってやつかな?
その光景だけでも十分に異世界感満載だったが、私の目は、さらに信じられない光景を捉えていた。
カウンター近くのテーブルで、豪快にエールを呷っている一団。
その中心にいるのは、私の身長よりも背が低く、しかし横幅は倍以上ありそうな、ずんぐりむっくりとした体躯の男性。その顔は、見事に手入れされた髭で覆われている。
(……ドワーフ!? 本物のドワーフだ! ゲームや映画で見たまんま!)
私の脳内は、一瞬で興奮のるつぼと化す。
そして、その隣のテーブル。
一人、静かにナイフの手入れをしているのは、猫の耳と尻尾を持つ、しなやかな体つきの女性。
(獣人!? しかも猫耳! もふもふだ! もふもふだけど、人間!?)
私の【もふもふテイマー】の心が、未知なる「もふもふ」の登場に激しくざわめいている。
孤児院や市場では、人間しか見かけなかった。だから、この世界は人間だけの世界なのかと、少しだけ思っていた。
でも、違った。
ここは、本当に、多種多様な種族が息づく、ファンタジーの世界なんだ!
(すごい……! すごいぞ、冒険者ギルド! ここは、色々な人種が集まる国際交流の場 (インターナショナル・スポット)だったんだ!)
完全にアウェイな雰囲気と、それを上回る興奮で、私の心臓はバクバクと音を立てている。
私のような小さな子供(と可愛いもふもふ)が入ってくる場所では、明らかにない。
案の定、私たちの登場にギルド内のざわめきが、一瞬ぴたりと止んだ。
「ん? なんだ、あの身なりのいいチビは?」
「迷子か? それとも、誰かの使いっ走りか?」
「隣の白い犬っころも、可愛いじゃねえか」
あちこちから、好奇と、あとちょっとだけ「可愛い」という視線が突き刺さる。
ひえっ! 怖い!
前世だったら、速攻で「すみません、間違えました!」って言って回れ右するところだ。
でも、今の私には目的がある。
全ては、私の快適なスローライフと、子供たちの笑顔のため!
(大丈夫。落ち着け、私。相手はただのちょっとガタイが良くて、ちょっと強面なだけの一般市民だ。たぶん。それに、私には28年分の社会人経験がある。こんな雰囲気に飲まれちゃダメだ!)
ぎゅっと拳を握りしめ、背筋を伸ばす。
目指すは、フロアの一番奥にある長いカウンター。
そこが受付のはずだ。
一歩、また一歩と、カウンターに向かって歩を進める。
私の後を、コロがぴったりとついてくる。その小さな姿が、なんだかとても頼もしく感じた。
カウンターの中には、三人の職員がいた。
両端の二人は、いかにも「ギルド職員です」という感じの、無骨な男性。書類を片付けたり、冒険者と何やら難しい顔で話したりしている。
そして、中央。
その人を見た瞬間、私の心の緊張が、ほんの少しだけ、ふっと和らぐ。
(おお、受付のお姉さん、可愛い! テンプレ通りだ!)
栗色の髪をポニーテールにした、優し気な印象の女性。歳は、20代前半くらいかな?
でもきっとメンタル強いぞ、この人! 見た目は癒し系だけど、ここで冒険者達の相手をしてるんだからね。
勝手な人物分析をしながら、そのお姉さんの前に、ちょこんと立つ。
カウンターは、10歳の私の身長では、少し高すぎる。
一生懸命背伸びをして、カウンターの上に両手を置く。
「あの、すみません!」
私の声に、彼女は気づいてくれた。
書類から顔を上げ、私を見て、ぱちくりと大きな瞳を瞬かせる。
「あら、可愛いお客さん。どうしたのかしら? 迷子?」
その声は、彼女の見た目どおり優しくて、心地よかった。
うん、この人なら大丈夫そう。
保護してくれた衛兵さん達の対応も優しかったけど、最初からストレートに優しく声をかけてもらえたのは、この異世界にきて初めてかな? 嬉しくてちょっとうるってくる。
私は、事前にシミュレーションしていた通り、できるだけ真剣な、そして少しだけ背伸びした表情を作る。
重々しい音を立てて、大きな木の扉が開く。
その瞬間、むわっとした熱気と、大勢の人の活気が、音と匂いになって私に飛び込んできた。
(うわっ、すごい熱気……! ちょっと汗臭くて、お酒の匂いもする。まさにファンタジーの酒場!)
中は、外から見た以上に広かった。
フロアには、頑丈そうな木のテーブルと椅子がいくつも並べられ、そこでは、いかにも「冒険者です」という感じの、ゴツい装備を身につけた人たちが、昼間から大声で笑い合ったり、酒を酌み交わしたり、あるいは真剣な顔で地図を広げていたりする。
前世の清潔なオフィスとは全然違う、荒々しいけれど、なんだか不思議な力強さに満ちた空間だ。
壁際には、巨大な掲示板が設置されていて、そこには羊皮紙らしき紙がびっしりと貼られていた。あれが、いわゆる依頼(クエスト)ってやつかな?
その光景だけでも十分に異世界感満載だったが、私の目は、さらに信じられない光景を捉えていた。
カウンター近くのテーブルで、豪快にエールを呷っている一団。
その中心にいるのは、私の身長よりも背が低く、しかし横幅は倍以上ありそうな、ずんぐりむっくりとした体躯の男性。その顔は、見事に手入れされた髭で覆われている。
(……ドワーフ!? 本物のドワーフだ! ゲームや映画で見たまんま!)
私の脳内は、一瞬で興奮のるつぼと化す。
そして、その隣のテーブル。
一人、静かにナイフの手入れをしているのは、猫の耳と尻尾を持つ、しなやかな体つきの女性。
(獣人!? しかも猫耳! もふもふだ! もふもふだけど、人間!?)
私の【もふもふテイマー】の心が、未知なる「もふもふ」の登場に激しくざわめいている。
孤児院や市場では、人間しか見かけなかった。だから、この世界は人間だけの世界なのかと、少しだけ思っていた。
でも、違った。
ここは、本当に、多種多様な種族が息づく、ファンタジーの世界なんだ!
(すごい……! すごいぞ、冒険者ギルド! ここは、色々な人種が集まる国際交流の場 (インターナショナル・スポット)だったんだ!)
完全にアウェイな雰囲気と、それを上回る興奮で、私の心臓はバクバクと音を立てている。
私のような小さな子供(と可愛いもふもふ)が入ってくる場所では、明らかにない。
案の定、私たちの登場にギルド内のざわめきが、一瞬ぴたりと止んだ。
「ん? なんだ、あの身なりのいいチビは?」
「迷子か? それとも、誰かの使いっ走りか?」
「隣の白い犬っころも、可愛いじゃねえか」
あちこちから、好奇と、あとちょっとだけ「可愛い」という視線が突き刺さる。
ひえっ! 怖い!
前世だったら、速攻で「すみません、間違えました!」って言って回れ右するところだ。
でも、今の私には目的がある。
全ては、私の快適なスローライフと、子供たちの笑顔のため!
(大丈夫。落ち着け、私。相手はただのちょっとガタイが良くて、ちょっと強面なだけの一般市民だ。たぶん。それに、私には28年分の社会人経験がある。こんな雰囲気に飲まれちゃダメだ!)
ぎゅっと拳を握りしめ、背筋を伸ばす。
目指すは、フロアの一番奥にある長いカウンター。
そこが受付のはずだ。
一歩、また一歩と、カウンターに向かって歩を進める。
私の後を、コロがぴったりとついてくる。その小さな姿が、なんだかとても頼もしく感じた。
カウンターの中には、三人の職員がいた。
両端の二人は、いかにも「ギルド職員です」という感じの、無骨な男性。書類を片付けたり、冒険者と何やら難しい顔で話したりしている。
そして、中央。
その人を見た瞬間、私の心の緊張が、ほんの少しだけ、ふっと和らぐ。
(おお、受付のお姉さん、可愛い! テンプレ通りだ!)
栗色の髪をポニーテールにした、優し気な印象の女性。歳は、20代前半くらいかな?
でもきっとメンタル強いぞ、この人! 見た目は癒し系だけど、ここで冒険者達の相手をしてるんだからね。
勝手な人物分析をしながら、そのお姉さんの前に、ちょこんと立つ。
カウンターは、10歳の私の身長では、少し高すぎる。
一生懸命背伸びをして、カウンターの上に両手を置く。
「あの、すみません!」
私の声に、彼女は気づいてくれた。
書類から顔を上げ、私を見て、ぱちくりと大きな瞳を瞬かせる。
「あら、可愛いお客さん。どうしたのかしら? 迷子?」
その声は、彼女の見た目どおり優しくて、心地よかった。
うん、この人なら大丈夫そう。
保護してくれた衛兵さん達の対応も優しかったけど、最初からストレートに優しく声をかけてもらえたのは、この異世界にきて初めてかな? 嬉しくてちょっとうるってくる。
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