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第一章 森の生活と孤児院改革:アップデートと旅立ちの決意
第77話 好きにしな。院長の不器用な優しさと、背中を押す言葉
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「違います! 全然違います! ここの生活は、すごく……その、色々ありましたけど、楽しかったです! みんなと一緒で、毎日が……」
言葉が、うまく出てこない。
そうだ、私は、楽しかったのだ。
貧しくて、不便で、最初は「ここはあくまで仮住まい。準備ができたらすぐに出ていこう」って、心のどこかで割り切っていたはずなのに。
いつの間にか、このボロくて、でも温かい場所が、私にとってかけがえのない「帰る場所」になっていた。
(うっ、まずい、自分で言ってて泣きそうになってきた……!)
「商売を始めるには、ちゃんとした拠点が必要なんです。商品を保管する場所も、作業する場所も、ここじゃ狭すぎる。それに、いつまでもお世話になっているわけにはいきません。私、ちゃんと自立したいんです」
私の言葉を、マーサ院長のラスボスオーラは、黙って受け止めていた。
その表情は、相変わらず険しいままで、何を考えているのか、全く読めない。
「……好きにしな」
しばらくして、彼女が絞り出したのは、たったそれだけの言葉だった。
「どうせ、あんたみたいな変わり者は、こんな小さな鳥かごに収まってる器じゃないんだろうさ。外の世界で、好き勝手やって、痛い目でも見てくるといい」
その言葉は、突き放しているようで、でも、どこか、背中を押してくれているようにも聞こえた。
(……ありがとう、マーサさん)
心の中で、そっと感謝する。
やっぱり、この人は、素直じゃないだけの優しい人だ。
「ただし!」
マーサさんは、人差し指をビシッと私に突きつける。
「もし、外でひどい目に遭って、泣きついてきても、私は知らないからね! あんたの寝床も、もうないかもしれないよ!」
はいはい、ツンデレツンデレ。
私が泣きついてきたら、なんだかんだ言って、一番に温かいスープを作ってくれるくせに!
もう、そのパターン、完全に読めてますからね!
「はい! 覚悟の上です!」
私が元気よく返事をすると、マーサ院長は、ふん、とそっぽを向いて厨房の方へと歩いて行ってしまった。
その背中は、やっぱり、少しだけ寂しそうに見えた。
マーサ院長とのラスボス戦(?)が終わり、私がほっと一息ついた、その時。
隣でガタッと椅子が鳴る音がして、私のローブの裾が、くい、くい、と引かれた。
視線を落とすと、そこには、椅子から立ち上がり、大きな瞳に、今にも溢れ出しそうなほどの涙を溜めた、エミリーの顔があった。
「……行っちゃうの……? コトリお姉ちゃん…」
その、か細い声は、私の胸にぐさりと突き刺さる。
(うんうん、そうだよね、寂しいよね。私も寂しいよ……)
私が感傷的な気分で、なんと声をかけようか迷っていると、エミリーは、しゃくりあげながら、必死に言葉を続けた。
「行かないで……。ここにいて……。コトリお姉ちゃんがいないと、また、美味しくないスープと、硬いパンに、戻っちゃう……」
(そっちかよ!)
私の脳内で、盛大なツッコミがこだまする。
感動的なお別れのシーンはどこへ行った!?
子供は現金だな! まあ、私も現金だし、子供たちの食べ物のことは気にしてたけど! 特にエミリーにとっては死活問題だしね……。
そう、エミリーが言うように、私がここを去るということは、この孤児院の食生活が、また元の貧しい状態に戻ってしまう可能性が高いんだ。
もちろん、マーサ院長は、私が残していった調味料やレシピを、しばらくは使ってくれるだろうけど。
でも、それがなくなったら?
稼いだお金も、いつかは底をつく。
私の自己満足の改革は、私が去った途端に消えてしまう、砂上の楼閣だったのかもしれない。
レオとルークもアンナも、不安そうな顔で私とエミリーを交互に見ている。
(違う、そうじゃない! むしろ、君たちのエンゲル係数を爆上げするために、私は旅立つんだよ!)
言葉が、うまく出てこない。
そうだ、私は、楽しかったのだ。
貧しくて、不便で、最初は「ここはあくまで仮住まい。準備ができたらすぐに出ていこう」って、心のどこかで割り切っていたはずなのに。
いつの間にか、このボロくて、でも温かい場所が、私にとってかけがえのない「帰る場所」になっていた。
(うっ、まずい、自分で言ってて泣きそうになってきた……!)
「商売を始めるには、ちゃんとした拠点が必要なんです。商品を保管する場所も、作業する場所も、ここじゃ狭すぎる。それに、いつまでもお世話になっているわけにはいきません。私、ちゃんと自立したいんです」
私の言葉を、マーサ院長のラスボスオーラは、黙って受け止めていた。
その表情は、相変わらず険しいままで、何を考えているのか、全く読めない。
「……好きにしな」
しばらくして、彼女が絞り出したのは、たったそれだけの言葉だった。
「どうせ、あんたみたいな変わり者は、こんな小さな鳥かごに収まってる器じゃないんだろうさ。外の世界で、好き勝手やって、痛い目でも見てくるといい」
その言葉は、突き放しているようで、でも、どこか、背中を押してくれているようにも聞こえた。
(……ありがとう、マーサさん)
心の中で、そっと感謝する。
やっぱり、この人は、素直じゃないだけの優しい人だ。
「ただし!」
マーサさんは、人差し指をビシッと私に突きつける。
「もし、外でひどい目に遭って、泣きついてきても、私は知らないからね! あんたの寝床も、もうないかもしれないよ!」
はいはい、ツンデレツンデレ。
私が泣きついてきたら、なんだかんだ言って、一番に温かいスープを作ってくれるくせに!
もう、そのパターン、完全に読めてますからね!
「はい! 覚悟の上です!」
私が元気よく返事をすると、マーサ院長は、ふん、とそっぽを向いて厨房の方へと歩いて行ってしまった。
その背中は、やっぱり、少しだけ寂しそうに見えた。
マーサ院長とのラスボス戦(?)が終わり、私がほっと一息ついた、その時。
隣でガタッと椅子が鳴る音がして、私のローブの裾が、くい、くい、と引かれた。
視線を落とすと、そこには、椅子から立ち上がり、大きな瞳に、今にも溢れ出しそうなほどの涙を溜めた、エミリーの顔があった。
「……行っちゃうの……? コトリお姉ちゃん…」
その、か細い声は、私の胸にぐさりと突き刺さる。
(うんうん、そうだよね、寂しいよね。私も寂しいよ……)
私が感傷的な気分で、なんと声をかけようか迷っていると、エミリーは、しゃくりあげながら、必死に言葉を続けた。
「行かないで……。ここにいて……。コトリお姉ちゃんがいないと、また、美味しくないスープと、硬いパンに、戻っちゃう……」
(そっちかよ!)
私の脳内で、盛大なツッコミがこだまする。
感動的なお別れのシーンはどこへ行った!?
子供は現金だな! まあ、私も現金だし、子供たちの食べ物のことは気にしてたけど! 特にエミリーにとっては死活問題だしね……。
そう、エミリーが言うように、私がここを去るということは、この孤児院の食生活が、また元の貧しい状態に戻ってしまう可能性が高いんだ。
もちろん、マーサ院長は、私が残していった調味料やレシピを、しばらくは使ってくれるだろうけど。
でも、それがなくなったら?
稼いだお金も、いつかは底をつく。
私の自己満足の改革は、私が去った途端に消えてしまう、砂上の楼閣だったのかもしれない。
レオとルークもアンナも、不安そうな顔で私とエミリーを交互に見ている。
(違う、そうじゃない! むしろ、君たちのエンゲル係数を爆上げするために、私は旅立つんだよ!)
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