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幸せのオムライス

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第二章 ヤマネコ商会、爆誕!:新たな拠点探し

第89話 紙の地図をゲット! アナログな情報収集も大切なんです

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 そう、郷に入っては郷に従え。
 まずは、この世界の常識を、自分の肌で感じるところから始めないとね!
 私とコロは、チェックインしたばかりの宿を飛び出し、再びハルモニアの賑やかな街へと繰り出した。

 向かったのは、メインストリートでひときわ大きな看板を掲げている、立派な書店だ。
 店の中は、インクと古い紙の匂いがして、なんだか落ち着く。
 本棚には、羊皮紙を綴じた分厚い本や、革表紙の豪華な本がずらりと並んでいる。
 うわー、異世界の書店だー!
 ちょっとテンションが上がる。

「いらっしゃい。何かお探しかな、お嬢ちゃん」

 カウンターの奥から、眼鏡をかけた、人の良さそうなおじいさんが声をかけてくれた。

「あの、この街の地図が欲しいんですけど、一番詳しいものはありますか?」

「ほう、地図かい。それなら、これがお勧めじゃよ」

 店主のおじいさんが、棚から取り出してくれたのは、一枚の大きな羊皮紙だった。
 くるくると巻かれたそれを広げると、そこには、手書きの温かみのある線で描かれた、ハルモニアの街の地図が現れた。
『ハルモニア商業地図』。
 一枚、大銅貨1枚(100リント)。日本円で約1,000円。うん、観光地価格としては、まあ妥当かな。

 私は、マーサ院長にもらった餞別の中から、大銅貨を一枚取り出し、店主さんに渡す。
 これが、私のビジネスのための、最初の投資だ。

 地図を受け取り、早速その場で広げてみる。
【インターネット】の地図と見比べると、その違いは一目瞭然だった。
 建物の形や道の幅は、かなりデフォルメされていて、正確さではネットの地図に遠く及ばない。
 でも、その代わりに、この地図には、ネットにはない情報がぎっしりと詰まっていた。

 主要な店の名前はもちろん、「貴金属通り」「職人街」「食堂街」といった、通りの"通称"。
 商業ギルドや冒険者ギルドの場所には、それぞれの紋章が大きく描かれている。
 広場の噴水は「恋人たちの待ち合わせ場所」なんて、ちょっとしたメモ書きまで添えられている。

(なるほど、ネットの地図は物理的に正確だけど、こっちの地図は『人の営み』に即しているわね。これはこれで、非常に価値のある情報だわ!)

「ありがとう、おじさん! すごく分かりやすい地図ね!」

「そうじゃろう、そうじゃろう。それは、わしが若い頃から、自分の足で歩いて作り続けている地図なんじゃよ」

 店主のおじいさんが、皺くちゃの顔で、誇らしげに笑った。
 なるほど。だからこんなに、温かみがあるんだ。
 私は、その地図を大事に抱えると、おじさんにもう一度お礼を言って、店を出た。

 さあ、ここからが本番だ。
 フィールドワークの時間だよ!

 私は、手に入れたばかりの『ハルモニア商業地図』を片手に、実際に街を歩き回ることにした。
 まずは、地図上でひときわ大きく描かれている「中央広場」へ。
 そこは、街の中心に位置する、美しい石畳の広場だった。
 広場の中央には、この世界の女神様だろうか、美しい女性の像が立つ大きな噴水があり、その周りでは、たくさんの人々が思い思いの時間を過ごしている。

 裕福そうな商人たちが商談をしていたり、着飾った貴婦人たちが、楽しそうにおしゃべりをしていたり。
 小さな子供たちが、噴水の周りをきゃっきゃと笑いながら追いかけっこをしている。
 平和だ。なんて平和な光景なんだ。

(……客層、よし。雰囲気、よし。人通り、文句なし。うん、ここが、この街の一等地ね。間違いないわ)

 次に、冒険者ギルドの周辺へ。
 さっきも通ったけど、改めて観察してみる。
 武具屋の店先には、いかつい剣や斧が並び、酒場の扉からは、陽気な笑い声と、時々怒号が聞こえてくる。
 道行く人々も、屈強な冒険者や、彼らを相手にする商人たちがほとんどだ。

(うーん、活気はあるけど、やっぱりちょっと物騒ね。ここでジャムを売っても、『腹の足しになるか!』って一蹴されそう。ターゲット層が、明らかに違うわ)
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