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33:蝕むオルゴール(2)
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『入っちゃダメ?』
『ダメ?』
――駄目よ。来ないで。
入りたいと騒ぐ精霊たちを念話《テレパシー》で制しながら、私はラザード様に告げた。
「アンネッタ様を蝕んでいるのは悪魔王本人ではありません。恐らくは悪魔王の配下でしょう」
私は人差し指を伸ばし、呪いの波動が最も強い場所――ドレッサーを指さした。
そこには、精緻な細工が施されたオルゴールが置かれていた。
一見するとただの美しい工芸品にしか見えない。
でも、私の目にはアンネッタ様の身体に憑いているものと同じ、赤黒い茨のような、禍々しい紋様が見えていた。
「あのオルゴールには悪魔が憑いています。あれが呪いの根源です」
断言すると、控えの間で待機している全員が息を飲んだ。
「何ですって……!?」
シルヴィア様は手を口元に当て、ラザード様は険しい顔でオルゴールを睨んだ。
「その悪魔を祓うことは可能なのか?」
「はい」
ラザード様の問いに、私は力強く頷いた。
たとえハッタリだろうと、聖女は人々に安心感を与える希望でなければならない。
フィルディス様やエミリオ様も見ているのだ。
「無理かもしれません」なんて情けないことは、口が裂けても言えない。
「時間をください。アンネッタ様を蝕む呪いの力は強大です。慎重に、確実に解かなければなりません」
ラザード様は深く息をつき、絞り出すような声で言った。
「頼む……」
短いその言葉には、国王としてではなく、一人の父としての切実な祈りと懇願が込められていた。
「お任せください。しばらく私を一人にしてください。たとえ何があろうと部屋に入ってこないでください」
「わかった。出るぞ、皆」
ラザード様たちは退室したけれど、フィルディス様とエミリオ様はその場から動かなかった。
「……頑張って。としか言えないのが歯がゆいね」
エミリオ様は何ともいえない表情で苦笑した。
「おれは部屋の外にいるから。何かあったらすぐに呼んでくれ」
「はい。頼りにしています」
微笑むと、フィルディス様は頷いた。
「ほら、行くぞお前たち。駄々をこねるな。リーリエを困らせるだけだ」
フィルディス様は渋る精霊たちを引き連れて部屋を出た。
扉が閉まる音。
これで私は意識のないアンネッタ様と二人きりになった。
『ダメ?』
――駄目よ。来ないで。
入りたいと騒ぐ精霊たちを念話《テレパシー》で制しながら、私はラザード様に告げた。
「アンネッタ様を蝕んでいるのは悪魔王本人ではありません。恐らくは悪魔王の配下でしょう」
私は人差し指を伸ばし、呪いの波動が最も強い場所――ドレッサーを指さした。
そこには、精緻な細工が施されたオルゴールが置かれていた。
一見するとただの美しい工芸品にしか見えない。
でも、私の目にはアンネッタ様の身体に憑いているものと同じ、赤黒い茨のような、禍々しい紋様が見えていた。
「あのオルゴールには悪魔が憑いています。あれが呪いの根源です」
断言すると、控えの間で待機している全員が息を飲んだ。
「何ですって……!?」
シルヴィア様は手を口元に当て、ラザード様は険しい顔でオルゴールを睨んだ。
「その悪魔を祓うことは可能なのか?」
「はい」
ラザード様の問いに、私は力強く頷いた。
たとえハッタリだろうと、聖女は人々に安心感を与える希望でなければならない。
フィルディス様やエミリオ様も見ているのだ。
「無理かもしれません」なんて情けないことは、口が裂けても言えない。
「時間をください。アンネッタ様を蝕む呪いの力は強大です。慎重に、確実に解かなければなりません」
ラザード様は深く息をつき、絞り出すような声で言った。
「頼む……」
短いその言葉には、国王としてではなく、一人の父としての切実な祈りと懇願が込められていた。
「お任せください。しばらく私を一人にしてください。たとえ何があろうと部屋に入ってこないでください」
「わかった。出るぞ、皆」
ラザード様たちは退室したけれど、フィルディス様とエミリオ様はその場から動かなかった。
「……頑張って。としか言えないのが歯がゆいね」
エミリオ様は何ともいえない表情で苦笑した。
「おれは部屋の外にいるから。何かあったらすぐに呼んでくれ」
「はい。頼りにしています」
微笑むと、フィルディス様は頷いた。
「ほら、行くぞお前たち。駄々をこねるな。リーリエを困らせるだけだ」
フィルディス様は渋る精霊たちを引き連れて部屋を出た。
扉が閉まる音。
これで私は意識のないアンネッタ様と二人きりになった。
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