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01:姦通罪って、誰がですか!?
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「アンジェリカ・コートレット。王妃候補の身でありながら蛮族と姦通した罪により、貴様を国外追放処分にする」
ファナリース聖王国の聖王宮。
等間隔に大理石の柱が立ち並ぶ謁見の間。
吹き抜けになった天井にはセレイエ教会が崇める女神セレイエの姿が格調高く描かれている。
四大精霊や多種多様な精霊たちの中心で、女神は慈愛に満ちた微笑みを浮かべていた。
天井を彩る美しい宗教画とは対照的に、玉座に座る金髪碧眼の国王ジルベルトの表情の、なんと冷たいことか。
ジルベルト様だけではない。
それぞれに精霊を連れた四人の聖女――私と同じ王妃候補たちも、大臣たちも、ケノック大司教も無言で私を見ている。
人々からの視線が矢のように突き刺さり、私は堪らず悲鳴を上げた。
「お待ちください!! ケノック大司教様に続いて国王陛下まで私が罪人だと仰るのですか!? 一体何のことですか、身に覚えがありません!!」
私は昨夜、三か月にも及ぶ『巡礼の旅』を終えた。
『巡礼の旅』とは聖女がレノリア大陸にある四つの神殿を巡り、祈りを捧げる旅。
各神殿には各属性──火・風・水・土の力を持った精霊たちがいる。
精霊に認められた聖女は契約を結ぶことができ、精霊のランクによっては聖女から大聖女に格上げされる。
私の『巡礼の旅』はセレイエ教の総本山、聖王国聖都にある中央神殿から始まった。
それから聖王国の西にある風の神殿へ向かい、北上して大国ミグロムにある火の神殿、続いて東の果てにある小国ディアードの水の神殿へ。
最後は聖王国に戻って土の神殿へ行き、中央神殿で報告を終え、心身共にへとへとになって聖王宮に戻った。
泥のように眠っていると、今朝早く叩き起こされた。
国王陛下が私をお召しだと聞き、大慌てで身支度を済ませて謁見の間に行ったら、ケノック大司教から破門を言い渡された。
玉座の斜め下にいるケノック大司教の手には私から取り上げたアミュレットがある。
六枚の花弁を持つセフィラの花を象ったあのアミュレットは聖女の証。
死刑を免れる代わりに聖女としての活動実績は全て無効とされ、四つの神殿を回って得た精霊たちとの契約は破棄させられた。
四体の精霊たちは『精霊檻』と呼ばれる特殊な檻に閉じ込められ、連れ去られてしまった。
命懸けの旅を終えた翌日早々、どうしてこんな仕打ちを受けなければならないのか。
いくらなんでもあんまりだった。
「ほう。では旅の途中で蛮族と接触したことはない、言葉を交わしたことなど一度もないと、セレイエに誓えるのだな?」
ジルベルト様が私に向ける視線は刃のよう。
蛮族。ほとんどの人間はレノリア大陸の先住民である亜人を劣等人種と見下し、蛮族と呼ぶ。
私はそれがとても嫌だ。
姿形が少し違うだけで、なぜ差別するのだろう。
蛮族という蔑称を快く思ったことなんて一度もなかったけれど、シャノンと知り合ってからはより一層、胸が苦しい。
亜人に対する理不尽な誹謗中傷を聞くたびに、人間がそんなに偉いのかと叫びたくなる。
「……いえ。私は確かに、巡礼の旅の最中で亜人と交流しました」
信仰する女神の名前を出されては、嘘はつけない。
「なんということだ」
「本当に蛮族と姦通したと言うのか? 聖女が? 王妃候補が!?」
場がざわつく中、私は胸に手を当てて叫んだ。
「交流といっても、誓って不適切な行為はしておりません! 雨に降られて困っていたところを助けてもらったのです! 亜人は私を近くの宿まで案内してくれた、ただそれだけです!」
「本当にそれだけか? 蛮族の男は貴様を抱き抱えてドナーニの宿に運び、そのまま三日も籠っていたと聞いたが」
「!」
私は目を見張った。
まさか、シャノンが私を抱き抱えて運ぶところを見ていた者がいたとは。
予想外だ。これでは言い逃れもできない。
ファナリース聖王国の聖王宮。
等間隔に大理石の柱が立ち並ぶ謁見の間。
吹き抜けになった天井にはセレイエ教会が崇める女神セレイエの姿が格調高く描かれている。
四大精霊や多種多様な精霊たちの中心で、女神は慈愛に満ちた微笑みを浮かべていた。
天井を彩る美しい宗教画とは対照的に、玉座に座る金髪碧眼の国王ジルベルトの表情の、なんと冷たいことか。
ジルベルト様だけではない。
それぞれに精霊を連れた四人の聖女――私と同じ王妃候補たちも、大臣たちも、ケノック大司教も無言で私を見ている。
人々からの視線が矢のように突き刺さり、私は堪らず悲鳴を上げた。
「お待ちください!! ケノック大司教様に続いて国王陛下まで私が罪人だと仰るのですか!? 一体何のことですか、身に覚えがありません!!」
私は昨夜、三か月にも及ぶ『巡礼の旅』を終えた。
『巡礼の旅』とは聖女がレノリア大陸にある四つの神殿を巡り、祈りを捧げる旅。
各神殿には各属性──火・風・水・土の力を持った精霊たちがいる。
精霊に認められた聖女は契約を結ぶことができ、精霊のランクによっては聖女から大聖女に格上げされる。
私の『巡礼の旅』はセレイエ教の総本山、聖王国聖都にある中央神殿から始まった。
それから聖王国の西にある風の神殿へ向かい、北上して大国ミグロムにある火の神殿、続いて東の果てにある小国ディアードの水の神殿へ。
最後は聖王国に戻って土の神殿へ行き、中央神殿で報告を終え、心身共にへとへとになって聖王宮に戻った。
泥のように眠っていると、今朝早く叩き起こされた。
国王陛下が私をお召しだと聞き、大慌てで身支度を済ませて謁見の間に行ったら、ケノック大司教から破門を言い渡された。
玉座の斜め下にいるケノック大司教の手には私から取り上げたアミュレットがある。
六枚の花弁を持つセフィラの花を象ったあのアミュレットは聖女の証。
死刑を免れる代わりに聖女としての活動実績は全て無効とされ、四つの神殿を回って得た精霊たちとの契約は破棄させられた。
四体の精霊たちは『精霊檻』と呼ばれる特殊な檻に閉じ込められ、連れ去られてしまった。
命懸けの旅を終えた翌日早々、どうしてこんな仕打ちを受けなければならないのか。
いくらなんでもあんまりだった。
「ほう。では旅の途中で蛮族と接触したことはない、言葉を交わしたことなど一度もないと、セレイエに誓えるのだな?」
ジルベルト様が私に向ける視線は刃のよう。
蛮族。ほとんどの人間はレノリア大陸の先住民である亜人を劣等人種と見下し、蛮族と呼ぶ。
私はそれがとても嫌だ。
姿形が少し違うだけで、なぜ差別するのだろう。
蛮族という蔑称を快く思ったことなんて一度もなかったけれど、シャノンと知り合ってからはより一層、胸が苦しい。
亜人に対する理不尽な誹謗中傷を聞くたびに、人間がそんなに偉いのかと叫びたくなる。
「……いえ。私は確かに、巡礼の旅の最中で亜人と交流しました」
信仰する女神の名前を出されては、嘘はつけない。
「なんということだ」
「本当に蛮族と姦通したと言うのか? 聖女が? 王妃候補が!?」
場がざわつく中、私は胸に手を当てて叫んだ。
「交流といっても、誓って不適切な行為はしておりません! 雨に降られて困っていたところを助けてもらったのです! 亜人は私を近くの宿まで案内してくれた、ただそれだけです!」
「本当にそれだけか? 蛮族の男は貴様を抱き抱えてドナーニの宿に運び、そのまま三日も籠っていたと聞いたが」
「!」
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まさか、シャノンが私を抱き抱えて運ぶところを見ていた者がいたとは。
予想外だ。これでは言い逃れもできない。
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◇◇◇◇
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