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53:夏祭り(3)
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噴水広場では有翼人向けのイベントが行われていた。
シャノンの話では、飛行中の美しさ、高さや広がり、優雅さなどを競うイベントらしい。
集まった観客たちは青空を舞う有翼人たちを熱心に見上げている。
ちなみに、観客投票でグランプリが決まるそうだ。
私とシャノンは噴水の縁に座り、買ったばかりのアイスを頬張った。
「わっ、何これ。しゅわしゅわ弾ける! 凄いっ、新感覚の食べ物だわ!」
一口食べるなり、私は興奮のあまり叫んでいた。
「面白い食感だろう」
「ええ。独特の食感にも驚いたけど、味にも驚いたわ。酸味の中に甘さもあって……なんだろう。食べたことのない爽やかな味」
私は左隣に座るシャノンを見た。
「そっちはどう? どんな味?」
私のアイスは薄紅色、シャノンのアイスは水色をしている。
他にも黄色、緑色などがあったけれど、色によって味に違いはあるのだろうか。興味はつきない。
「言葉で説明するのは難しいな。食べてみるか? ここならまだ口を付けてないよ」
シャノンは食べかけのアイスを差し出してきた。
「え……」
心臓がどきりと鳴る。
「無理にとは言わないけど」
「え、いえ、無理ではないけれど……私が口をつけていいの?」
「悪いなら言わないよ」
シャノンは笑っている。
「……いただきます」
私は口を開けて、水色のアイスを齧った。
しゃりっとした冷たい感触が、舌の上で弾ける。
「うーん? そんなに大差はないけれど……強いていうなら、ちょっと酸味が強め……かしら? いや、やっぱり一緒のような気も……」
違いがわからず首を傾げていると、シャノンが笑った。
「美味しい?」
「ええ。それは間違いないわ」
「じゃあ、それでいいんだよ。料理評論家じゃないんだから、難しいことを考える必要はないさ」
そう言って、シャノンはアイスを食べ進めた。
そのうち、私が齧った部分にも辿り着く。
――どんな顔をしてそこを食べるのだろう。
密かに見守っていると、シャノンは意識したのか一瞬だけ動きを止めた。
それから、口をつけて、食べる。
「…………」
て、抵抗とかないのかしら?
なんだか、見ているこっちのほうがドキドキしてしまう。
「……あの。私たちって、いま、デート中……という認識でいいのよね?」
彼が食べ終わったタイミングで私は聞いた。
「おれはそう思ってたけど、違った? ……そう思われるのは嫌なのか?」
シャノンの耳が少しだけ垂れた。
たまに、彼の耳は表情よりも雄弁に心境を語る。
「い、いいえ……そんなことはないわ」
「良かった」
ドギマギしながら首を振ると、安心したようにシャノンは笑った。
その笑みを見て、また心臓が鳴る。
《あーあー、なーんか見てらんないわねー。完全に二人だけの世界って感じ》
右手を見ると、顔の近くでディーネが肩を竦めていた。
《あたしたち、お邪魔みたいだしさ。どっか適当に遊んでくるわ。別にいいでしょ? もしアンジェリカに何かあったら――》
「大丈夫だ。必ず守る」
強い決意が籠った金色の瞳を見て、ディーネは頷いた。
《その意気や良し。というわけで、行くわよノーム、アクア、イグニス。文句言わない。空気読まなきゃ可哀想でしょ。主人の幸せを願うのも契約精霊としての務めよ。ほら、あんたたちもアンジェリカに引っ付いてないで一緒においで》
ディーネは大勢の精霊たちを連れて飛び去った。
私の傍に残っているのは数体の無形精霊だけだ。
シャノンや一般人の目には映らないような、力の弱い小精霊たち。
彼らはただそこにいるだけの存在。
言葉を発することもできないので、デートの妨げになるようなこともない。
「ディーネは良い奴だな」
遠ざかっていく精霊たちを見つめて、シャノンが呟いた。
「ええ。本当に」
――ありがとう、ディ―ネ。
気を利かせてくれた彼女に私は心の中でお礼を述べた。
シャノンの話では、飛行中の美しさ、高さや広がり、優雅さなどを競うイベントらしい。
集まった観客たちは青空を舞う有翼人たちを熱心に見上げている。
ちなみに、観客投票でグランプリが決まるそうだ。
私とシャノンは噴水の縁に座り、買ったばかりのアイスを頬張った。
「わっ、何これ。しゅわしゅわ弾ける! 凄いっ、新感覚の食べ物だわ!」
一口食べるなり、私は興奮のあまり叫んでいた。
「面白い食感だろう」
「ええ。独特の食感にも驚いたけど、味にも驚いたわ。酸味の中に甘さもあって……なんだろう。食べたことのない爽やかな味」
私は左隣に座るシャノンを見た。
「そっちはどう? どんな味?」
私のアイスは薄紅色、シャノンのアイスは水色をしている。
他にも黄色、緑色などがあったけれど、色によって味に違いはあるのだろうか。興味はつきない。
「言葉で説明するのは難しいな。食べてみるか? ここならまだ口を付けてないよ」
シャノンは食べかけのアイスを差し出してきた。
「え……」
心臓がどきりと鳴る。
「無理にとは言わないけど」
「え、いえ、無理ではないけれど……私が口をつけていいの?」
「悪いなら言わないよ」
シャノンは笑っている。
「……いただきます」
私は口を開けて、水色のアイスを齧った。
しゃりっとした冷たい感触が、舌の上で弾ける。
「うーん? そんなに大差はないけれど……強いていうなら、ちょっと酸味が強め……かしら? いや、やっぱり一緒のような気も……」
違いがわからず首を傾げていると、シャノンが笑った。
「美味しい?」
「ええ。それは間違いないわ」
「じゃあ、それでいいんだよ。料理評論家じゃないんだから、難しいことを考える必要はないさ」
そう言って、シャノンはアイスを食べ進めた。
そのうち、私が齧った部分にも辿り着く。
――どんな顔をしてそこを食べるのだろう。
密かに見守っていると、シャノンは意識したのか一瞬だけ動きを止めた。
それから、口をつけて、食べる。
「…………」
て、抵抗とかないのかしら?
なんだか、見ているこっちのほうがドキドキしてしまう。
「……あの。私たちって、いま、デート中……という認識でいいのよね?」
彼が食べ終わったタイミングで私は聞いた。
「おれはそう思ってたけど、違った? ……そう思われるのは嫌なのか?」
シャノンの耳が少しだけ垂れた。
たまに、彼の耳は表情よりも雄弁に心境を語る。
「い、いいえ……そんなことはないわ」
「良かった」
ドギマギしながら首を振ると、安心したようにシャノンは笑った。
その笑みを見て、また心臓が鳴る。
《あーあー、なーんか見てらんないわねー。完全に二人だけの世界って感じ》
右手を見ると、顔の近くでディーネが肩を竦めていた。
《あたしたち、お邪魔みたいだしさ。どっか適当に遊んでくるわ。別にいいでしょ? もしアンジェリカに何かあったら――》
「大丈夫だ。必ず守る」
強い決意が籠った金色の瞳を見て、ディーネは頷いた。
《その意気や良し。というわけで、行くわよノーム、アクア、イグニス。文句言わない。空気読まなきゃ可哀想でしょ。主人の幸せを願うのも契約精霊としての務めよ。ほら、あんたたちもアンジェリカに引っ付いてないで一緒においで》
ディーネは大勢の精霊たちを連れて飛び去った。
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言葉を発することもできないので、デートの妨げになるようなこともない。
「ディーネは良い奴だな」
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「ええ。本当に」
――ありがとう、ディ―ネ。
気を利かせてくれた彼女に私は心の中でお礼を述べた。
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◇◇◇◇
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