95 / 716
ちょきんばこ
ちょきんばこ
しおりを挟む
少女は貯金箱を持っている。
今時、珍しい陶器製の貯金箱。
中身を取り出すには割るしかない、そんな貯金箱だ。
少女はその貯金箱に小銭を入れていった。
財布の小銭入れに入りきれないような小銭を入れていく。
いつしか、そこそこの重さになる。
ただこの貯金箱を開けても大した金額にはならないことは少女にも分かっている。
入れている硬貨はだいたい一円や五円なのだから。
それでも貯金箱を振るとジャラジャラと音がする。
少女はその音を聞くのが好きだった。
お金が必要以上に好きな訳ではない。
少しずつ貯めていった事実が好きなだけだ。
だから、この貯金箱を少女が割るようなことはない。そのはずだった。
ある時から、貯金箱を振るとジャラジャラという小銭の音のほかに、カランコロンという乾いた音が聞こえるようになっていた。
乾いて響くような、硬く軽いものが入っているような、そんな音が聞こえるようになった。
少女はその音が気になりはしたものの、貯金箱を割るわけにもいない。
貯金箱の硬貨を入れる穴から覗き込むが見えるわけもない。
不思議に思いつつも少女にできることはなかった。
ある日、確か雨の降る日だ。
少女が自分の部屋にいると、カランコロンという小さな音が聞こえてきた。
音の出所を探すと、どうも貯金箱からだった。
貯金箱の中で何かが動いている、動いているというか、暴れている。
貯金箱自体もたまに少しだけだが動いている。
まず少女は貯金箱の中に虫が入ってしまった、そう考えた。
どうしようか、少女が悩んでいると、貯金箱の硬貨を投入する穴から、白いモヤモヤのようなものが出てきた。
少女がそれに気づき、それを観察すると、その白いモヤモヤも少女に気づき、すっと貯金箱の中へ戻っていった。
少女は今見たことを両親に伝えた。
両親はあまり信じなかったが、貯金箱の中に虫でも湧いていたら、と、少女の許可を得て貯金箱を割ることにした。
虫が巣くっていることを想像して、大きめのタライの中で少女の父親は貯金箱を金づちで割った。
中から出てきたものは、少しの小銭と、白いなにかの欠片だった。
まず明らかに小銭の量が少ない。
小銭を合わせてせいぜい百円あるかないか、それくらいの金額しかない。
それも不思議なのだが、白いなにかの欠片だ。
これが全く意味が分からない。
その欠片の角はすべて丸みがあり、貯金箱の一部ではないことが一目で見えるし、そもそも、それを構成する素材が違う。
それは軽く硬い。そして、からからに乾いている。
骨と言えば骨のような、そんな物だった。
ついでに、虫らしきものは一匹もいない。
少女は貯金の中身が減っていることに泣いた。
父親は仕方なく、少女に新しい貯金箱を買い与え、自分の財布からいくらかその貯金箱へ入れてやった。
父親は少女の貯金箱から出てきた白い物体をしばらく机の中にいれ保管してしたのだが、いつの間にかにそれは消えていた。
あれが結局何だったのか、それは少女にも父親にもわからない。
今時、珍しい陶器製の貯金箱。
中身を取り出すには割るしかない、そんな貯金箱だ。
少女はその貯金箱に小銭を入れていった。
財布の小銭入れに入りきれないような小銭を入れていく。
いつしか、そこそこの重さになる。
ただこの貯金箱を開けても大した金額にはならないことは少女にも分かっている。
入れている硬貨はだいたい一円や五円なのだから。
それでも貯金箱を振るとジャラジャラと音がする。
少女はその音を聞くのが好きだった。
お金が必要以上に好きな訳ではない。
少しずつ貯めていった事実が好きなだけだ。
だから、この貯金箱を少女が割るようなことはない。そのはずだった。
ある時から、貯金箱を振るとジャラジャラという小銭の音のほかに、カランコロンという乾いた音が聞こえるようになっていた。
乾いて響くような、硬く軽いものが入っているような、そんな音が聞こえるようになった。
少女はその音が気になりはしたものの、貯金箱を割るわけにもいない。
貯金箱の硬貨を入れる穴から覗き込むが見えるわけもない。
不思議に思いつつも少女にできることはなかった。
ある日、確か雨の降る日だ。
少女が自分の部屋にいると、カランコロンという小さな音が聞こえてきた。
音の出所を探すと、どうも貯金箱からだった。
貯金箱の中で何かが動いている、動いているというか、暴れている。
貯金箱自体もたまに少しだけだが動いている。
まず少女は貯金箱の中に虫が入ってしまった、そう考えた。
どうしようか、少女が悩んでいると、貯金箱の硬貨を投入する穴から、白いモヤモヤのようなものが出てきた。
少女がそれに気づき、それを観察すると、その白いモヤモヤも少女に気づき、すっと貯金箱の中へ戻っていった。
少女は今見たことを両親に伝えた。
両親はあまり信じなかったが、貯金箱の中に虫でも湧いていたら、と、少女の許可を得て貯金箱を割ることにした。
虫が巣くっていることを想像して、大きめのタライの中で少女の父親は貯金箱を金づちで割った。
中から出てきたものは、少しの小銭と、白いなにかの欠片だった。
まず明らかに小銭の量が少ない。
小銭を合わせてせいぜい百円あるかないか、それくらいの金額しかない。
それも不思議なのだが、白いなにかの欠片だ。
これが全く意味が分からない。
その欠片の角はすべて丸みがあり、貯金箱の一部ではないことが一目で見えるし、そもそも、それを構成する素材が違う。
それは軽く硬い。そして、からからに乾いている。
骨と言えば骨のような、そんな物だった。
ついでに、虫らしきものは一匹もいない。
少女は貯金の中身が減っていることに泣いた。
父親は仕方なく、少女に新しい貯金箱を買い与え、自分の財布からいくらかその貯金箱へ入れてやった。
父親は少女の貯金箱から出てきた白い物体をしばらく机の中にいれ保管してしたのだが、いつの間にかにそれは消えていた。
あれが結局何だったのか、それは少女にも父親にもわからない。
1
あなたにおすすめの小説
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
(ほぼ)1分で読める怖い話
涼宮さん
ホラー
ほぼ1分で読める怖い話!
【ホラー・ミステリーでTOP10入りありがとうございます!】
1分で読めないのもあるけどね
主人公はそれぞれ別という設定です
フィクションの話やノンフィクションの話も…。
サクサク読めて楽しい!(矛盾してる)
⚠︎この物語で出てくる場所は実在する場所とは全く関係御座いません
⚠︎他の人の作品と酷似している場合はお知らせください
百物語 厄災
嵐山ノキ
ホラー
怪談の百物語です。一話一話は長くありませんのでお好きなときにお読みください。渾身の仕掛けも盛り込んでおり、最後まで読むと驚くべき何かが提示されます。
小説家になろう、エブリスタにも投稿しています。
短い怖い話 (怖い話、ホラー、短編集)
本野汐梨 Honno Siori
ホラー
あなたの身近にも訪れるかもしれない恐怖を集めました。
全て一話完結ですのでどこから読んでもらっても構いません。
短くて詳しい概要がよくわからないと思われるかもしれません。しかし、その分、なぜ本文の様な恐怖の事象が起こったのか、あなた自身で考えてみてください。
たくさんの短いお話の中から、是非お気に入りの恐怖を見つけてください。
意味がわかると怖い話
邪神 白猫
ホラー
【意味がわかると怖い話】解説付き
基本的には読めば誰でも分かるお話になっていますが、たまに激ムズが混ざっています。
※完結としますが、追加次第随時更新※
YouTubeにて、朗読始めました(*'ω'*)
お休み前や何かの作業のお供に、耳から読書はいかがですか?📕
https://youtube.com/@yuachanRio
【⁉】意味がわかると怖い話【解説あり】
絢郷水沙
ホラー
普通に読めばそうでもないけど、よく考えてみたらゾクッとする、そんな怖い話です。基本1ページ完結。
下にスクロールするとヒントと解説があります。何が怖いのか、ぜひ推理しながら読み進めてみてください。
※全話オリジナル作品です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる