それなりに怖い話。

只野誠

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らじお

らじお

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 少女はラジオを聞くのが好きだった。
 と、言っても受験勉強のお供として、だが。
 夜中にラジオを聞きながら勉強する。
 音声だけのラジオは少女の勉強への妨げにならず、かといって気が散るまでも行かず、また夜中でも寂しく思うこともない。
 そんな存在だった。
 そう言う理由からか、特定のラジオを聞くのではなく、様々な局のラジオを聞いていた。

 その日も深夜と言って良い時間、少女が勉強していると、ふとラジオが流れているはずのヘッドフォンから、奇妙な声、いや、曲ともお経とも言うような物が流れて来た。
 その曲を聞いた少女の感想は、神社で聞いたことのある祝詞に似ている、だった。
 お経よりも祝詞、そう少女には思えた。
 ただ、祝詞というにはどこか不気味でおどろおどろしい。
 しゃがれた男の声で、伴奏もなくずっと祝詞のようなことを言っているのだ。

 少女が不振に思うと、笛の音と太鼓をたたく音も追加される。
 ただ笛の音も太鼓の音も、祝詞のような歌とはどこか不協和音で気持ちが悪い。

 流石に少女も気味が悪いし、このまま聞いていると気分が悪くなりそうだったので、ラジオの局自体を変える。
 ダイヤルをいじり別の局に周波数を合わせる。

 そのはずが、どの局でも同じ祝詞のような歌と不協和音の伴奏が鳴っている。
 周波数が合わないと、ザザザッと言う音になるのに、周波数が合うと祝詞のような物が聞こえてくるのだ。
 少女は不思議に思い、AMラジオからFMラジオに切り替える。

 流石にこれで、と思いきやそれでも変わらない。
 ラジオが壊れてしまったのか、そう思って、少女はラジオ自体の電源を切る。
 父から貰った古いラジオだから、仕方がないことかもしれない。
 少女は自分のスマホを取り出して、ラジオアプリを起動する。

 今度は普通のラジオ放送が流れていた。

 少女もラジオが壊れてしまったのだと、そう確信し勉強に励む。
 しばらくして、スマホの電池が少なくなっていることに少女は気づく。
 ラジオを聞くのをやめて、スマホを充電する。

 頭からヘッドフォンを外し棚に置く。
 寂しいけれど、あともう少しの間、ラジオなしで勉強しておこう、少女がそう思った時だ。

 壊れたと思っていたラジオから流れてきていた、あの祝詞のような歌が聞こえて来る。
 少女はラジオが本格的に壊れた、そう思いラジオを見るが、ラジオの電源は切れたままだ。
 それにラジオからその歌が聞こえて来るわけではない。

 その歌は少女の家の外から聞こえて来ていたのだ。
 少女は怖くなり、部屋をくらくして布団の中に潜り込んだ。

 歌がだんだんと大きくなっていく。
 少女の家の真ん前で歌っているかのようだ。

 そこでいったん歌が止む。
 そして、太鼓をたたく音がドンドンと聞こえ、笛の音も聞こえて来る。
 少女は布団の中で震えていた。
 しばらくの間、歌は聞こえてこずに、笛の音と太鼓の音だけが聞こえていた。

 少女が恐怖で限界を迎えそうなとき、あの歌がまた歌いだされる。
 そして、徐々にではあるが遠ざかっていく。

 その日はそのまま寝てしまう。
 次の日、少女が母親に歌や太鼓の音が聞こえなかったかと聞くが、そんな物は聞こえてなこなかったと、そう話した。

 もし少女が部屋の電気をつけたまま、ベッドの中で震えていたら?
 歌の主は少女のことを見つけていたのかもしれない。

 ただそれだけの話だ。





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