それなりに怖い話。

只野誠

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たけやぶ

たけやぶ

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 少年の家の近くに竹藪がある。
 小さな空き地に、細い竹がこれでもかと生えている。
 そんな竹藪がある。

 小さい竹藪ながらに色々は逸話がある竹藪だ。
 昔、大金の入ったトランクが見つかったことがあるとか、トランクに入っていたのは大金ではなく死体だったとか。
 竹藪の中には祠があり、その祠を見ると呪われるだとか、そんなあることないがある竹藪だ。

 少年は数人の友人らとその竹藪を探検する計画を立てる。
 とはいえ、それほど広くはない。幅五メートルほどの竹藪だ。

 ただ、雰囲気がある。
 その竹藪は石で作られた柵で囲まれている。

 昔は鳥居があったとか、そんな話を、本当か嘘か、少年も判断が付かないが聞いたことがある。
 だから、見たら呪われると言う祠が、この竹藪の中にあってもおかしくはないのだ。

 けれど、今は鳥居などなく、その跡らしきものも一切ない。
 入口の所にチェーンがかかっているくらいだ。

 そのチェーンを飛び越えて少年達は竹藪の中に入る。
 凄い密度の竹だったが、少年の友人の一人が竹藪に飛び込むと、他の友人らも足を踏み入れていく。
 少年もだ。

 いろんな叫び声が少年の周囲から聞こえて来る。
 ただ、それらは緊急性があるものや、恐怖からくるものでなく、どちらかと言うとふざけて声を上げているといったものだったが。
 だが、そんな中、一人の友人が大きな声で叫ぶ、祠だ、本当に祠があった! と。
 少年も声のした方へと藪をかき分けて進む。
 竹の密度が高いせいか、地に足が付かない時もある。
 竹と竹の間に足を置いて、その上を歩いて行くような感じだ。
 子供の体重だから、竹も支えられる。

 そうやって進んでいくと、不意に石でできた祠が現れる。

 もう完全に朽ちている、そう言う感じの祠だ。
 友人の一人が、その祠を見て呪われるんじゃないか? そう言った。
 それを聞いた少年は震え上がる。

 そして、誰からでもなく少年らは逃げだす。

 全員が竹藪から逃げ出し、その日はそのまま解散となった。
 問題はその夜だ。
 夢に竹藪で見た朽ちた祠が出て来るのだ。

 そして、その祠の中に白く小さい人が入っていて、少年に向かい手を伸ばして来るだ。
 少年は逃げ出そうとするが、体が動かなくて逃げ出せない。
 
 伸ばされた手が少年に触れるか触れないかのところで目が覚める。

 翌日そのことを友人に話すと、祠を見た全員ではないが、同じ夢を見た、そう言った者が数人出て来た。
 夢を見た少年らは自分達は呪われてしまったのかもしれない、そう思った。

 それで何が起きたわけではない。
 その後も少年はすくすくと育ち、大人になり今は働いてもいる。

 ただ、たまに見るのだ。
 あの祠の夢を。
 祠の中から手が伸びて来る夢を。
 いつも触れなれないことろで目を覚ますが、あの手に触れられてしまったらどうなるのか、元少年にはわからない。
 もうあの頃の友人らとも疎遠になってしまっている。
 確かめようもない。
 
 ただ、夢に見るのだ。あの竹藪の中にあった祠の夢を。今も。






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