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第一部
02:猫又さま、家事をしたがる
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猫又になったミケは、これまで以上に『家族』としての自覚を持ったようだ。
ちなみに、両親もすんなりと猫又になったミケを受け入れた。今朝の二人の反応は、さすがわたしの両親というべきものだった。
『ミケが猫又!?』
『ああああ!! しっぽが二本あるうううう!! 可愛すぎる!!』
『もふもふになってる。可愛すぎる……!!』
『二十五歳だから色々覚悟してたけどその心配なくなったってこと!?』
『最高だ。仕事頑張れる』
……以上、今朝の両親。ちなみに叫びがちなのはお母さん。
「桜ちゃん、毎日キーボードをカタカタ叩いているばかりで健康に悪いし、わたしも退屈にゃ。これからは、家事の一端を担うにゃ」
「ええ……?」
「ミケが家事? 危なくない?」
お母さんが心配そうにミケを見た。お母さんはこれからパートに向かうところ。必然、わたしとミケだけが家に残る状況になる。そして、家事はお母さんと私の分業作業。
「大丈夫にゃあ! わたしのしっぽは自在に動くにゃ!」
くるんくるんともふもふのしっぽが回る。可愛すぎる。ずっと見ときたい。
「そう? じゃあお願いしてみようかな。じゃあ桜、あとはよろしくね」
「はぁい。行ってらっしゃい」
「ママ、いってらっしゃいにゃ!」
あ、お母さん行きたくなさそう。デレっとしちゃって。
「うちはドラム式だし、乾燥までしちゃうから洗剤と柔軟剤入れてスイッチ押すぐらいだよ」
「にゃん」
「じゃあ、色物と分けて――入れて――。洗剤はこの線まで」
「入れるにゃあ!!」
「あ! 多い多い!!」
ミケは投入口に直接洗剤を入れる。当然溢れて投入口がベトベトになった。
ついでに、液をひっかぶったミケも。
「……にゃあん……」
「もう、先にお風呂ね」
「嫌にゃ!!」
「ベトベトじゃん」
結局、ミケを綺麗にしてから洗濯機を回すことにした。
(時間に縛られないフリーランスの仕事でよかったあ……!)
次の挑戦は、炊飯だった。
ミケは、わたしが米を研いでいる間、炊飯器の蓋の上に鎮座していた。
「これは、飯を炊く神器にゃ? わたしがこの上にいることで、炊飯の霊力を高めるにゃ」
「はいはい。ごはん炊くからそこ退いてね。炊飯中は乗っちゃだめだよ」
「にゃあ!」
炊飯スイッチを押すと、ミケは炊飯器をクンクンにおって、寄り添うに丸くなった。上に乗るのはダメってちゃんと覚えててえらい。ミケ天才。
そのまま、ミケは心地よい温かさに包まれ、香ばしい米の匂いを嗅ぎながら、スヤスヤと寝てしまった。炊きあがったご飯は、ミケの毛が何本か混入した『猫又スペシャル』になっていた。ほんとに霊力高まってたりして。
「炊けたにゃ?」
「うん。もう卵かけご飯にしちゃおうかな。新米だし」
混入した毛はそっと取って、冷蔵庫から卵を取り出す。昨日の煮物が残ってたから、それと食べればいいや。
「結局、桜ちゃんが炊いたにゃ……」
「ミケはお米洗えないからね。仕方ないよ」
「桜ちゃんの助けになりたかったのに……」
落ち込むミケを見て、わたしは心がじんわりと温かくなった。
「ありがとう、ミケ。その気持ちだけで十分だよ。でもね、ミケの仕事は、わたしを癒すことと、ただそこにいてくれること。それが一番の栄養なんだから」
わたしはミケの二本のしっぽを優しく抱きしめた。
「家族って、完璧じゃなくていいんだよ。ミケが空回りしても、わたしは笑えるし、元気が出る。ミケの失敗は、わたしの癒しなんだから」
「失敗が癒し……。奥が深い概念にゃ」
ミケは納得したのか、大きくあくびをして、窓際で丸くなった。この、ちょっと迷惑で、でも一生懸命なミケの存在こそが、わたしにとって何よりも大切な日常だった。
ちなみに、両親もすんなりと猫又になったミケを受け入れた。今朝の二人の反応は、さすがわたしの両親というべきものだった。
『ミケが猫又!?』
『ああああ!! しっぽが二本あるうううう!! 可愛すぎる!!』
『もふもふになってる。可愛すぎる……!!』
『二十五歳だから色々覚悟してたけどその心配なくなったってこと!?』
『最高だ。仕事頑張れる』
……以上、今朝の両親。ちなみに叫びがちなのはお母さん。
「桜ちゃん、毎日キーボードをカタカタ叩いているばかりで健康に悪いし、わたしも退屈にゃ。これからは、家事の一端を担うにゃ」
「ええ……?」
「ミケが家事? 危なくない?」
お母さんが心配そうにミケを見た。お母さんはこれからパートに向かうところ。必然、わたしとミケだけが家に残る状況になる。そして、家事はお母さんと私の分業作業。
「大丈夫にゃあ! わたしのしっぽは自在に動くにゃ!」
くるんくるんともふもふのしっぽが回る。可愛すぎる。ずっと見ときたい。
「そう? じゃあお願いしてみようかな。じゃあ桜、あとはよろしくね」
「はぁい。行ってらっしゃい」
「ママ、いってらっしゃいにゃ!」
あ、お母さん行きたくなさそう。デレっとしちゃって。
「うちはドラム式だし、乾燥までしちゃうから洗剤と柔軟剤入れてスイッチ押すぐらいだよ」
「にゃん」
「じゃあ、色物と分けて――入れて――。洗剤はこの線まで」
「入れるにゃあ!!」
「あ! 多い多い!!」
ミケは投入口に直接洗剤を入れる。当然溢れて投入口がベトベトになった。
ついでに、液をひっかぶったミケも。
「……にゃあん……」
「もう、先にお風呂ね」
「嫌にゃ!!」
「ベトベトじゃん」
結局、ミケを綺麗にしてから洗濯機を回すことにした。
(時間に縛られないフリーランスの仕事でよかったあ……!)
次の挑戦は、炊飯だった。
ミケは、わたしが米を研いでいる間、炊飯器の蓋の上に鎮座していた。
「これは、飯を炊く神器にゃ? わたしがこの上にいることで、炊飯の霊力を高めるにゃ」
「はいはい。ごはん炊くからそこ退いてね。炊飯中は乗っちゃだめだよ」
「にゃあ!」
炊飯スイッチを押すと、ミケは炊飯器をクンクンにおって、寄り添うに丸くなった。上に乗るのはダメってちゃんと覚えててえらい。ミケ天才。
そのまま、ミケは心地よい温かさに包まれ、香ばしい米の匂いを嗅ぎながら、スヤスヤと寝てしまった。炊きあがったご飯は、ミケの毛が何本か混入した『猫又スペシャル』になっていた。ほんとに霊力高まってたりして。
「炊けたにゃ?」
「うん。もう卵かけご飯にしちゃおうかな。新米だし」
混入した毛はそっと取って、冷蔵庫から卵を取り出す。昨日の煮物が残ってたから、それと食べればいいや。
「結局、桜ちゃんが炊いたにゃ……」
「ミケはお米洗えないからね。仕方ないよ」
「桜ちゃんの助けになりたかったのに……」
落ち込むミケを見て、わたしは心がじんわりと温かくなった。
「ありがとう、ミケ。その気持ちだけで十分だよ。でもね、ミケの仕事は、わたしを癒すことと、ただそこにいてくれること。それが一番の栄養なんだから」
わたしはミケの二本のしっぽを優しく抱きしめた。
「家族って、完璧じゃなくていいんだよ。ミケが空回りしても、わたしは笑えるし、元気が出る。ミケの失敗は、わたしの癒しなんだから」
「失敗が癒し……。奥が深い概念にゃ」
ミケは納得したのか、大きくあくびをして、窓際で丸くなった。この、ちょっと迷惑で、でも一生懸命なミケの存在こそが、わたしにとって何よりも大切な日常だった。
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