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第二部
09:猫又さまのある日
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仕事量をセーブしてから、以前より朝がゆっくりになった。近頃寒くなってきたし、なんなら布団とミケも離してくれない、と言った方が正しいかも。
スマホを見ると、気付かなかったアラームが十を超えてた。
「ううん……ミケ、朝……」
「にゃうぅ……まだ……寝る、にゃあ……」
起きなきゃと言いながら布団の上でゴロゴロ。掛け布団も厚手のものにしたから本当にあったかい。そんなわたしたちの上に、小さな真っ白のふわふわが乗って来た。てのひらサイズのルナちゃん。まったく重くなくて、少し笑ってしまう。
(はあ……かわいいし、しあわせ……)
「ダメです。朝のお食事のお時間はとっくに過ぎております」
ルナちゃんはピシっと跳ねのける。甘やかしたい外見だけど、甘やかしてくれない……。
「ルナちゃんんん……」
「仕方ありませんね……」
ミケとわたしの食事訓練がはじまって一か月。正直、苦手な内臓系にはまだ慣れない。なんせ、味わって食べないと意味がないのだから。これならにぼしを食べたいなんて泣き言を言ったのも一度や二度じゃない。
でも、ルナちゃんはそれより過酷だったはず。
毎日塩に霊力を込めている。
「――まあ、いいでしょう。次の段階に移りますか?」
「え!?」
「みゃ!?」
(ほんとに!? あの食事から解放される!?)
「桜さまは量を減らしても大丈夫でしょう。ミケさまは継続ですが、明日から新しいことをしましょう」
「にゃに!?」
「ミケさま、桜さまのためです」
「にゃあ……」
(うっ完全には卒業出来てないってことね……)
「ミケさまのお食事をご用意したら、下に降りてきてもらえますか?」
「はあい」
わたしはいつも通り、ミケにご飯を用意する。日課になったにぼしも添えて、チキン味のドライフードをメインに。すると、ミケは人の姿になってにぼしを取ったので、それを見送ってから下に降りる。
ルナちゃんは洗面台に居て、いつも用意している結界水を前足で叩いていた。
「結界水使うの?」
「はい。飲み込まないで下さいね」
(朝だと寝ぼけて飲んじゃいそう……)
「これは桜さま専用メニューです」
「なるほど……」
「コップに移したものを、三秒ほど口に含みます」
「うん」
「そして、吐き出します。その後は水で口を漱いでください」
「うん……? それだけ?」
「それだけです。桜さまは『命の巡り』によって、『言霊』も強くなります。コントロールが効かない現状、不用意に『引き寄せ』を行わないためのまじないです」
「口に結界張るって感じ?」
「気休め程度、ですが。現状の巡り程度であれば大丈夫です」
「そんなに?」
「ルイの見立ては信用できますので。桜さま、やり方は大丈夫そうですか?」
(そう言えば、あれ以来ルイくん見ないなあ……)
「あ、大丈夫。朝起きた後に一回でいいんだよね」
「はい、それで大丈夫です。では――」
「あ」
ルナちゃんが『続けてください』と言おうとした時。不意に思い出したことがあって、言葉を重ねた。
「どうされました?」
「そろそろ動物病院行く時期かも。点鼻薬が必要になるはず」
「ミケさまのですか?」
「そう。この時期になると風邪症状でちゃうこと増えるんだけど……」
「桜さま……口を漱ぐ前に……」
わたしの言葉に、ルナちゃんが耳を倒した。
「あっ、え? もしかして……」
やってしまった? とルナちゃんを見ると小さなしっぽがビタンビタンと大きく揺れていた。
スマホを見ると、気付かなかったアラームが十を超えてた。
「ううん……ミケ、朝……」
「にゃうぅ……まだ……寝る、にゃあ……」
起きなきゃと言いながら布団の上でゴロゴロ。掛け布団も厚手のものにしたから本当にあったかい。そんなわたしたちの上に、小さな真っ白のふわふわが乗って来た。てのひらサイズのルナちゃん。まったく重くなくて、少し笑ってしまう。
(はあ……かわいいし、しあわせ……)
「ダメです。朝のお食事のお時間はとっくに過ぎております」
ルナちゃんはピシっと跳ねのける。甘やかしたい外見だけど、甘やかしてくれない……。
「ルナちゃんんん……」
「仕方ありませんね……」
ミケとわたしの食事訓練がはじまって一か月。正直、苦手な内臓系にはまだ慣れない。なんせ、味わって食べないと意味がないのだから。これならにぼしを食べたいなんて泣き言を言ったのも一度や二度じゃない。
でも、ルナちゃんはそれより過酷だったはず。
毎日塩に霊力を込めている。
「――まあ、いいでしょう。次の段階に移りますか?」
「え!?」
「みゃ!?」
(ほんとに!? あの食事から解放される!?)
「桜さまは量を減らしても大丈夫でしょう。ミケさまは継続ですが、明日から新しいことをしましょう」
「にゃに!?」
「ミケさま、桜さまのためです」
「にゃあ……」
(うっ完全には卒業出来てないってことね……)
「ミケさまのお食事をご用意したら、下に降りてきてもらえますか?」
「はあい」
わたしはいつも通り、ミケにご飯を用意する。日課になったにぼしも添えて、チキン味のドライフードをメインに。すると、ミケは人の姿になってにぼしを取ったので、それを見送ってから下に降りる。
ルナちゃんは洗面台に居て、いつも用意している結界水を前足で叩いていた。
「結界水使うの?」
「はい。飲み込まないで下さいね」
(朝だと寝ぼけて飲んじゃいそう……)
「これは桜さま専用メニューです」
「なるほど……」
「コップに移したものを、三秒ほど口に含みます」
「うん」
「そして、吐き出します。その後は水で口を漱いでください」
「うん……? それだけ?」
「それだけです。桜さまは『命の巡り』によって、『言霊』も強くなります。コントロールが効かない現状、不用意に『引き寄せ』を行わないためのまじないです」
「口に結界張るって感じ?」
「気休め程度、ですが。現状の巡り程度であれば大丈夫です」
「そんなに?」
「ルイの見立ては信用できますので。桜さま、やり方は大丈夫そうですか?」
(そう言えば、あれ以来ルイくん見ないなあ……)
「あ、大丈夫。朝起きた後に一回でいいんだよね」
「はい、それで大丈夫です。では――」
「あ」
ルナちゃんが『続けてください』と言おうとした時。不意に思い出したことがあって、言葉を重ねた。
「どうされました?」
「そろそろ動物病院行く時期かも。点鼻薬が必要になるはず」
「ミケさまのですか?」
「そう。この時期になると風邪症状でちゃうこと増えるんだけど……」
「桜さま……口を漱ぐ前に……」
わたしの言葉に、ルナちゃんが耳を倒した。
「あっ、え? もしかして……」
やってしまった? とルナちゃんを見ると小さなしっぽがビタンビタンと大きく揺れていた。
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