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第五十話 ラクレラロとカミネ。
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「それでラクレさんはなんでここに?」
話を元に戻そうと、カミネは尋ねる。ラクレは変態だが、己を助けてくれたことには変わりは無い。
もしかしたら手を取り合えるかもしれないと、カミネは考えていた。
「吾輩は友人を助けたいと思ってきたのである」
「友人?」
ラクレはニヤリと笑う。
「リーンと言ってな! まあ、なんというか有体に言えばペガサスである!」
「リーン、ペガサス……?」
そこまで聞いてカミネはピンときた。
エルマーとミラナがいつか言っていた、5人の我が子の一人だ。
「あ、あの!!」
ミラナは声を荒げた。
「わ、私! エルマーとミラナを探しているんです! ラクレさんも手伝ってくれませんか!? 代わりに私もリーンさんを探す手伝いを──」
そこまで言いかけたところでラクレは人差し指をカミネの唇にそっと添えた。
「皆まで言うな……! 大丈夫なのである!
吾輩は君のような国民が困っているところを見捨てるような王ではない……!」
「国、民?」
カミネが首を傾げていると、ラクレは翼を翻して宣言する。
「そう! 我が国民を見捨てる王など王失格であるのである!!」
いつの間にか、カミネはラクレの国の国民になっていたようだ。
いや意味が全くわからない。
何が言いたいのだこの男は。
「あの……その……ラクレさんはどこの国の王様なんですか?」
尤もな疑問をラクレにぶつけた。
「ん? 世界の王に決まっておろう?」
決まっておろう?
─────────────
とにかく自称、世界の王とカミネの探索が始まった。
様変わりした王都アトスでは未だに人々が祭りを楽しんでいるようで店に並びそして夢を見ているように笑い合っている。
「改めて説明しておこうカミネ姫、いいであるか? 君の両親の名前は極力ここでは出さないことである」
「は、はい」
カミネは頷く。
「この国には禁止ワードがいくつかある」
ラクレは歩きながら喋り始める。
「君の両親の名前、これは禁止ワードの中でも比較的、何かのはずみで言ったとしても許されるレベルなのである」
問題は残りの二つである。とラクレは言う。
「一つ、他の国の名前。これはまさしく文書に書くことも禁止されている。罰も重い。あ……のである。これは他の国に助けを求めたり、逃さないためであろうな!」
「全く困ったものである! ワハハ!」などと笑うラクレ。
何も笑えないとカミネは苦笑いをする。
「そして最後、この国の支配者の名前。これが最も重いペナルティを受けるワードである」
ラクレは飄々と話す。
歩きながら、そんな重要でリスクあることを話しているのに、住民たちはあの時のように襲ってこない。
「これは検閲というレベルを超えているのである。この国の支配者の名前を呼ぶこと、書くことだけに及ばず。聞くこと、読むこと、そして思うことで、ペナルティが発生する」
「それって……」
そこまで聞いてカミネは恐怖した。
それはこの国を影で操る人間を知ることは不可能であるということ。
それに加えてこの国の支配者は人の思いでさえも感知して、住民たちを襲わせるということなのだろう。
「そ、そんなどうやってそんなことを……」
「わからん、まあ、すごいやつなのであろうな?」
呑気にいうラクレにカミネは肩を落とす。
いや、その前に一つ疑問がある。
「その……ラクレさんはなんでそのことを知ってるんですか?」
「ああ、一度、支配者の名前を知ったことがあるからであるな」
それを聞いてカミネは目を見張る。
「え、え……? でも生きて……」
「リーンに助けられたのである。そして同時に吾輩の固有能力を使ってな! 咄嗟に支配者の顔と名前を消去したのである!」
「固有能力?」
カミネは首を傾げる。
「知らないのであるか?」とラクレは言う。
「人間の中には、先天的または後天的に特殊な能力を扱えるようになる者がいる、それが固有能力である」
ラクレは笑う「いやぁ、一か八かであった」と。
「民衆や、騎士達に追われるなか咄嗟に頭に吾輩のアビリティを打ち込んだのである。そしたら……じゃあん!! 見事、生還! 無事、潜入! と言ったところである!」
にこやかに、笑うラクレにカミネは冷や汗をたらりと流す。
いや、ほぼ失敗してないだろうかそれは……。
「まあ、リーンは捕まってしまったが。吾輩とカミネ姫がいる以上、すぐ助け出せる!! 君の両親もな!」
「え、いや私はそこまで……」
「大丈夫だ、もう目星はついている!! さあ行こう!!」
いや、まってなどと言う隙もなくカミネはラクレに手を引かれて、言われるがまま、なされるがまま、歩み出していった。
話を元に戻そうと、カミネは尋ねる。ラクレは変態だが、己を助けてくれたことには変わりは無い。
もしかしたら手を取り合えるかもしれないと、カミネは考えていた。
「吾輩は友人を助けたいと思ってきたのである」
「友人?」
ラクレはニヤリと笑う。
「リーンと言ってな! まあ、なんというか有体に言えばペガサスである!」
「リーン、ペガサス……?」
そこまで聞いてカミネはピンときた。
エルマーとミラナがいつか言っていた、5人の我が子の一人だ。
「あ、あの!!」
ミラナは声を荒げた。
「わ、私! エルマーとミラナを探しているんです! ラクレさんも手伝ってくれませんか!? 代わりに私もリーンさんを探す手伝いを──」
そこまで言いかけたところでラクレは人差し指をカミネの唇にそっと添えた。
「皆まで言うな……! 大丈夫なのである!
吾輩は君のような国民が困っているところを見捨てるような王ではない……!」
「国、民?」
カミネが首を傾げていると、ラクレは翼を翻して宣言する。
「そう! 我が国民を見捨てる王など王失格であるのである!!」
いつの間にか、カミネはラクレの国の国民になっていたようだ。
いや意味が全くわからない。
何が言いたいのだこの男は。
「あの……その……ラクレさんはどこの国の王様なんですか?」
尤もな疑問をラクレにぶつけた。
「ん? 世界の王に決まっておろう?」
決まっておろう?
─────────────
とにかく自称、世界の王とカミネの探索が始まった。
様変わりした王都アトスでは未だに人々が祭りを楽しんでいるようで店に並びそして夢を見ているように笑い合っている。
「改めて説明しておこうカミネ姫、いいであるか? 君の両親の名前は極力ここでは出さないことである」
「は、はい」
カミネは頷く。
「この国には禁止ワードがいくつかある」
ラクレは歩きながら喋り始める。
「君の両親の名前、これは禁止ワードの中でも比較的、何かのはずみで言ったとしても許されるレベルなのである」
問題は残りの二つである。とラクレは言う。
「一つ、他の国の名前。これはまさしく文書に書くことも禁止されている。罰も重い。あ……のである。これは他の国に助けを求めたり、逃さないためであろうな!」
「全く困ったものである! ワハハ!」などと笑うラクレ。
何も笑えないとカミネは苦笑いをする。
「そして最後、この国の支配者の名前。これが最も重いペナルティを受けるワードである」
ラクレは飄々と話す。
歩きながら、そんな重要でリスクあることを話しているのに、住民たちはあの時のように襲ってこない。
「これは検閲というレベルを超えているのである。この国の支配者の名前を呼ぶこと、書くことだけに及ばず。聞くこと、読むこと、そして思うことで、ペナルティが発生する」
「それって……」
そこまで聞いてカミネは恐怖した。
それはこの国を影で操る人間を知ることは不可能であるということ。
それに加えてこの国の支配者は人の思いでさえも感知して、住民たちを襲わせるということなのだろう。
「そ、そんなどうやってそんなことを……」
「わからん、まあ、すごいやつなのであろうな?」
呑気にいうラクレにカミネは肩を落とす。
いや、その前に一つ疑問がある。
「その……ラクレさんはなんでそのことを知ってるんですか?」
「ああ、一度、支配者の名前を知ったことがあるからであるな」
それを聞いてカミネは目を見張る。
「え、え……? でも生きて……」
「リーンに助けられたのである。そして同時に吾輩の固有能力を使ってな! 咄嗟に支配者の顔と名前を消去したのである!」
「固有能力?」
カミネは首を傾げる。
「知らないのであるか?」とラクレは言う。
「人間の中には、先天的または後天的に特殊な能力を扱えるようになる者がいる、それが固有能力である」
ラクレは笑う「いやぁ、一か八かであった」と。
「民衆や、騎士達に追われるなか咄嗟に頭に吾輩のアビリティを打ち込んだのである。そしたら……じゃあん!! 見事、生還! 無事、潜入! と言ったところである!」
にこやかに、笑うラクレにカミネは冷や汗をたらりと流す。
いや、ほぼ失敗してないだろうかそれは……。
「まあ、リーンは捕まってしまったが。吾輩とカミネ姫がいる以上、すぐ助け出せる!! 君の両親もな!」
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