俺! 神獣達のママ(♂)なんです!

青山喜太

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第五十五話 アンカー破壊作戦③

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「攻撃が通ってる……!」

 カミネの呟きにアールは思わず頷き笑みを浮かべる。

「やはり聞くか!! 一か八かだったが!!」

 アールは歓喜の叫びにも似た、声をあげて吹き飛ばされたガーディアンの右腕を見つめる。
 どれほどの苦難があったのかカミネには想像もつかなかったが、それでも彼の喜びようとラクレの爽やかな、何かから解放されたような笑顔を見た瞬間実感した。

 この瞬間を二人は待っていたんだ。
 夢を破壊するその時を。

「これはいいのであるな!!」

 ラクレはそんな叫びと共に王笏と共に手を巨人にかざす。

「拒絶!!」

 その言葉と共に、ラクレの掌からはシャボン玉が湧き出す。

「あれは……?」

「拒絶のシャボンだ」

 カミネの疑問に対してアールは説明する。

「拒絶のアビリティの力を明確に可視化されたものだ」

「つまり……?」

「可視化された分だけ、精度も威力も上がったと言うことだ。本気だラクレ殿は」

 アールが宣言した次の瞬間だった。
 シャボンが、弾けた。

 ──カァァン

 と金属音のような音が響いた次の瞬間、ラクレのシャボンのあったところから、衝撃波が生まれ真っ直ぐと、巨人に向かっていく。

 カミネでさえも何かが飛んでいくと理解できた力の本流が、右腕を吹き飛ばされ困惑した巨人の腹部に突き刺さる。

「……!!」

 声として認識できない、巨人の叫びが空中に溶けていく。
 レンガの家を薙ぎ倒して、地面に背をつけた。

 レンガが落ちた雨粒のように飛び散り、カミネ達に降りかかる。

「くっ!」

 アールはそのレンガを素手で払いのけ金髪の少女とカミネに被害が及ばぬように守る。

「ラクレ殿、やりすぎだ!!」

 ラクレは苦笑いを浮かべながら言った。

「しょうがないであろう! どれくらいやれば殺せるかすらわからんのである!」

「だが大体わかった」とラクレは小さく息を吐きそして人差し指を天に向かって突き刺す。

「これで消えないのならば本気を出さなければならないのである」

 ラクレの人差し指にシャボン玉が生まれる、それはまるで湧き出るように、そこに最初から居たかのように現れ、収縮を繰り返している。

 なにかが来る。
 それは知性の感じられない半透明の巨人でさえ感じたのだろう。

 巨人はのっぺらぼうの頭の中心部分を円錐状に変形させ、その頂点をラクレに向けた。

 円錐の頂点から光が迸る。
 円錐から放たれた光が周囲のレンガを、石畳を焼いていく。

「まずい!! ラクレ殿!!」

「わかっている、のである!!」

 ラクレは遮るようにして左手を光線にかざした。
 シャボン玉が湧き出た。

 刹那、シャボン玉と光線がぶつかり合う。
 シャボンが、ラクレの拒絶の力が光線をその名の通り拒んだ。

 光線は四方八方に飛び散り、そして周りの街に光の雨が飛び散っていった。

「街が……!!」

 カミネは思わず息を呑んだ、あの巨人は何を考えているのだろうか。弾かれた光の雨達は小規模な爆発を起こし都を焼いている。

 あそこまでの威力の技を都の被害すら考えることなくあの巨人は放った。
 それはこの都の支配者がこの都の住人に対する無関心さすら表しているようだった。

「アール殿! 少女とカミネ姫を連れて、10ラクレートルほど離れてくれ!!」

 カミネと同じことをラクレも思ったのだろう。
 覚悟の乗った声色でラクレは叫んだ。

「10ラクレートルってなんだ!!」

「いいから!!」

 アールはとにかく、ラクレの言うことに従い。カミネと少女を抱えてラクレから距離をとっていく。

「いくのである!!」

 それを確認した後、光線の第二射を放とうとする巨人をラクレは見つめた。

 巨人はそしてその時、初めて気がついた。己の足元に、複数のシャボンがあることに。

「……!!」

 巨人は対応する暇もなかった。
 シャボン玉が、弾ける。

「吹き飛べ!!」

 ラクレの言葉と共に巨人はシャボン玉の産んだ衝撃波によって上空に飛ばされた。


「これならば、王都が吹き飛ばされる、心配はないのであるな」

 ラクレは笑い、天に掲げていた人差し指をその収縮を繰り返しているシャボン玉を天に打ち上がった巨人に向ける。

「指向性範囲拒絶爆弾」

 裸の王様はつぶやいた。その一言でシャボン玉は宙を漂う。
 そしてただ、シャボン玉は儚く舞い、巨人の胸にポツンと当たった。

 夜の都は陽に照らされた。
 それは拒絶の、ラクレの生み出した光であった。
 巨人はその光に四肢と体を引き裂かれていった。
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