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第六十八話 夢とカミネ
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「ただいま」
僕は今日も帰ってくる、質のいい疲労を感じつつ玄関の扉を閉めてリビングから母の声が返ってくるのを待つ。
「おかえり! 今日はスパゲッティだぜ!」
「ありがとう好物だ」
いつも通りの日常、いつも通りの夕食。
これほどの幸せがあるだろうか、何も変わらない日常ほど美しく尊いものは──。
「スカーレット? どうした?」
「いや、母さんごめん少し疲れてね……そうだ早くご飯も食べようよ、父さんは?」
「ミラナはまだ書斎だ、読んできてくれるか? 母さんコンソメスープを温め直してくるから」
「わかった」
そう返事をして僕は父さんのいる二階の書斎へと足を運ぶ、玄関を抜けてリンビングの右手にある階段を登って。
階段を登っていき、そして書斎の一室の前に僕は着き、そしてドアを叩く。
「リーンが逃れたわね?」
父さんの言葉がドアの向こうから帰ってくる。
「父さん、なんのこと?」
「私が気が付かないと思った……? それにエルも無意識に気がついていると思うわよ、アイツは優しいからね」
唇の端から血の味がする。
「だから、何? 父さんはこの生活が嫌いなの?」
「嫌いじゃないわ、でも少し物足りないわね」
「……」
「私はね、スカーレット」
「なんだよ、父さん」
「永遠なんて欲しくないの、いつも通りなんて欲しくない」
「なんで……!!」
「あなたも親になればわかる」
「知ったような口を!!」
僕はドアを開けた。
「父さん! 父さんはわかってないんだ! どれほどこの世界が! 夢の世界が恵まれているか!!」
「そう? 私には牢獄に見える」
父さんはじっと僕を見つめる。
「変化のない世界、何も育ちも産まれもしないただの夢、私はあまり美しいとは思わない」
「……僕は──!」
「カミネ、貴女もそう思わない?」
─────────────
「……! ミラナ……?」
目を開けると見知った天井、そして今度こそはっきりと覚えている。
夢を見ていた、ミラナとエルマーの夢を。
「起きた? カミネ」
するとカミネのベットの隣で同じく横になっていたリーンが呟く。
「あ、リーンさん……」
リーンを解放した記念の宴、その後カミネ達はベットで眠りについた。
すぐにでも王都アトスを取り戻すために英気を養うためだ。
無論この夢の世界では身体的な疲労など溜まりはしない、腹の虫が鳴くこともないが、精神的な疲労は溜まる。
それを解消するため、いつも通りカミネ達は今回はリーンを加えて寝ていた。
何も変わらない、何も怖くも何もないただの眠りの筈だった。
だがどうしてだろう、なぜミラナとエルマーの夢を見たのだろうか。
明らかに誰かの視点だった。カミネではなく、誰かの。
恐怖を感じつつカミネは呼吸を整える。
「大丈夫か? カミネ」
「リーンさん……」
リーンはカミネの背中をさする。
「父さんの名前を呼んでいたな……?」
「……! は、はい」
「奴から……ラクレから話は聞いている、実証なのだろう……? 父さんと母さんの」
「あ……! そ、そうです」
咄嗟についた嘘だったがどうやらリーンもそれを信じたようだった。
ズキンと少しばかりカミネの胸に良心の痛みが走る。
「もう、それほどまでに外の世界では時間が経っているのだな……夢の世界での時間は現実と違って遅いとはいえまさかそこまで立っているとは……」
感慨深そうに目を閉じるリーン。
「それで、カミネ、どうして急に父さんの名を?」
「その……夢を見たんです……」
「夢?」
─────────────
「そうか……父さんと母さんの夢を……そしてスカーレット……」
リーンは少し考え込む。
そして、リーンはカミネを見つめた。
「カミネ」
「は、はい」
「これは仮説なのだが……」
リーンは少し言い淀んだあと、意を決したかのように言う。
「君は……我が兄弟であり、この夢の支配者であるスカーレットの夢と繋がっている可能性がある」
僕は今日も帰ってくる、質のいい疲労を感じつつ玄関の扉を閉めてリビングから母の声が返ってくるのを待つ。
「おかえり! 今日はスパゲッティだぜ!」
「ありがとう好物だ」
いつも通りの日常、いつも通りの夕食。
これほどの幸せがあるだろうか、何も変わらない日常ほど美しく尊いものは──。
「スカーレット? どうした?」
「いや、母さんごめん少し疲れてね……そうだ早くご飯も食べようよ、父さんは?」
「ミラナはまだ書斎だ、読んできてくれるか? 母さんコンソメスープを温め直してくるから」
「わかった」
そう返事をして僕は父さんのいる二階の書斎へと足を運ぶ、玄関を抜けてリンビングの右手にある階段を登って。
階段を登っていき、そして書斎の一室の前に僕は着き、そしてドアを叩く。
「リーンが逃れたわね?」
父さんの言葉がドアの向こうから帰ってくる。
「父さん、なんのこと?」
「私が気が付かないと思った……? それにエルも無意識に気がついていると思うわよ、アイツは優しいからね」
唇の端から血の味がする。
「だから、何? 父さんはこの生活が嫌いなの?」
「嫌いじゃないわ、でも少し物足りないわね」
「……」
「私はね、スカーレット」
「なんだよ、父さん」
「永遠なんて欲しくないの、いつも通りなんて欲しくない」
「なんで……!!」
「あなたも親になればわかる」
「知ったような口を!!」
僕はドアを開けた。
「父さん! 父さんはわかってないんだ! どれほどこの世界が! 夢の世界が恵まれているか!!」
「そう? 私には牢獄に見える」
父さんはじっと僕を見つめる。
「変化のない世界、何も育ちも産まれもしないただの夢、私はあまり美しいとは思わない」
「……僕は──!」
「カミネ、貴女もそう思わない?」
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「……! ミラナ……?」
目を開けると見知った天井、そして今度こそはっきりと覚えている。
夢を見ていた、ミラナとエルマーの夢を。
「起きた? カミネ」
するとカミネのベットの隣で同じく横になっていたリーンが呟く。
「あ、リーンさん……」
リーンを解放した記念の宴、その後カミネ達はベットで眠りについた。
すぐにでも王都アトスを取り戻すために英気を養うためだ。
無論この夢の世界では身体的な疲労など溜まりはしない、腹の虫が鳴くこともないが、精神的な疲労は溜まる。
それを解消するため、いつも通りカミネ達は今回はリーンを加えて寝ていた。
何も変わらない、何も怖くも何もないただの眠りの筈だった。
だがどうしてだろう、なぜミラナとエルマーの夢を見たのだろうか。
明らかに誰かの視点だった。カミネではなく、誰かの。
恐怖を感じつつカミネは呼吸を整える。
「大丈夫か? カミネ」
「リーンさん……」
リーンはカミネの背中をさする。
「父さんの名前を呼んでいたな……?」
「……! は、はい」
「奴から……ラクレから話は聞いている、実証なのだろう……? 父さんと母さんの」
「あ……! そ、そうです」
咄嗟についた嘘だったがどうやらリーンもそれを信じたようだった。
ズキンと少しばかりカミネの胸に良心の痛みが走る。
「もう、それほどまでに外の世界では時間が経っているのだな……夢の世界での時間は現実と違って遅いとはいえまさかそこまで立っているとは……」
感慨深そうに目を閉じるリーン。
「それで、カミネ、どうして急に父さんの名を?」
「その……夢を見たんです……」
「夢?」
─────────────
「そうか……父さんと母さんの夢を……そしてスカーレット……」
リーンは少し考え込む。
そして、リーンはカミネを見つめた。
「カミネ」
「は、はい」
「これは仮説なのだが……」
リーンは少し言い淀んだあと、意を決したかのように言う。
「君は……我が兄弟であり、この夢の支配者であるスカーレットの夢と繋がっている可能性がある」
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