冬は寒いから

青埜澄

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エピローグ

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 春がもうすぐそこまで来ていた。
でも、風はまだ少し冷たい。駅までの道を歩いていたら、向こうから浜本が小走りで近づいてくる。
「おい、司、聞いてくれよ!昨日デートの約束してた子がさ……」
「うん?」
「お前さ、なんか変わった?」
「いや、なんも変えてないけど」
「へぇ?怪しいなぁ。俺を差し置いて彼女作ったんじゃあるまいな?」
「ないない。ないよ、まだ――」
「――まだ、ね?」
 浜本はじっと俺の顔を見つめて目を細めた。ごまかすように「ところでそのデートの話って何?」と話題を変えると、「聞いてくれよマジで」と、彼はすっぽかされた話を面白おかしく語り始めた。
やっぱり浜本は楽しくて、いい奴だと思う。
「お前、もうちょっと人を見る目を養えよ」
 俺が笑うと、浜本はちょっとだけ真剣な目で言った。
「でもさ、やっぱお前、なんか変わったよ」
 変わったかもしれない。
だけどそれを、まだ言葉にする勇気はない。

 それでも――

「……確かに、今年の冬はあんまり嫌いじゃないかもしれない」
 そう言うと、「やっぱ何か隠してるだろ~」としつこく絡んできた。駅前のいつもの道を、笑いながら歩いていく。

まだ――まだ言えない。

 この先、いつか浜本に話す日が来るのかどうかはわからない。でもそのときは、きっと胸を張って言える気がした。

 「大好きな人がいる」って。
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