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13年ぶりの再会と王都名物
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世の中の兄妹が全てアツいとは思いませんが‥‥
「ひさかたぶりでございます。お兄様」
「うむ、遠いところをありがとう、ゆっくりしていってくれ」
「いえ、お祝いの品をお渡ししましたら、馬車停近くに宿を取っておりますのでこれでお暇致します」
「そうか。気を付けて」
「はい」
えっ?13年ぶりの再会でたったこれだけ?
うわぁぁんって抱き着いて再会をって・・・ないの??
うわぁ…冷めてる兄妹すぎない?血…流れてる??
と、言いますか兄のテリーも日帰り出来ない距離を来た妹を屋敷に泊めてあげないの?
なんてこった!とんでもねぇ兄妹だなっ!!
母からの祝いの品を渡すと、お爺様、お婆様にご挨拶をしてドレイン伯爵家を後にします。
マジで?ホントにいいの??13年ぶりなんだよ!!
サッと手をあげると乗合馬車に乗りこむローゼ。
デザモンドも想定の範囲内だったようで、深くお辞儀をして見送っています。
ガラガラと走る馬車ですが、乗合ですので色々な人が乗っていますね。
その中で隣になったオバちゃんと孫(だと思う)2人と王都名物について話をするローゼ。
「とにかくお勧めなのよ!クルックゥサブレ―」
「王都名物なの?」
「王都の隣の町の名物なんだけど、馬車停で売ってるわ」
「それって王都名物とは言わないような…」
「気のせいよ!気のせい!」
うーむと考え込むローゼですが、お勧めはとりあえず買ってみようと考えてます。
馬車停は色々な街や領に出る馬車が集まる場所。
小さな宿屋ですが、1泊するローゼはチェックインをします。
「ねぇ女将さん、どっか面白いところはないかしら」
「そうねぇ。それならこの先に辺境の自然がバーチャルで体験できる施設があるわ」
「えーっと‥‥そういう辺境から来たんだけど…」
「いやぁね。王都では流行ってるのよ?お勧めなの。一度行ってみて!」
いやぁ…王都の人はそれを娯楽と思うんだろうけど…
帰ったら普通にある景色だし…来る前も堪能してるし・・。
王都だぁ!ってところはないのかなぁとガイドブックを手に街に出るローゼ。
時間的には晩御飯もそろそろ良いかなぁと思う時刻です。
夕食を付けると料金が倍になるので朝食のみにしたローゼはガイドブックにある食堂へ向かいます。
そしてそこで【王都ならでは!!】を体験するのです。
19時に食堂に到着すると、ガイドブックにあるからか観光客で満員。
「そうですねぇ。1時間程待って頂ければお席をご用意できますね」
と言われ、用紙に名前を書いてぶらぶらして時間を潰します。その時…
「おいっ!どういうつもりだ」
「ど、どういうもこう言うも!話が違うじゃないか」
「お客さん、困るんですよね。食い逃げなんて」
「く、食い逃げ?ぼったくりの料金なんか払えるか!何処の世界に突き出しだけで10万なんてするんだ」
「この世界でするんですよ。ここは旧世界って言うんです」
おぉぉ!これは凄いわ!見た事がないわ!
あぁ!もうちょっと前で見たいわ!!
そう言って怪訝な表情で立ち去る人をサッサっとすり抜けて
言い合いをする男たちの真横に体育座りをするローゼ。背中にはヒョウ柄のリュック。
遠巻きにチラ見をしていく人は、言い合う男たちをキラキラした目で体育座りをして眺める少女のほうに二度見、三度見をしています。
「判った‥払う!払いますよ!」
「物分かり良いじゃねぇか…毎度アリ」
そう言って離れていく男達。
「えっ?もう終わりなの?もうないの?これで終わりなの??」
あのぅ‥‥兄妹の激塩な再会のほうが【もう終わり?これで終わり?】って言いたい程ですよ?
それにほら・・・怖いお兄さんたちがローゼの方に歩いてきたよ。
「おいおい。姉ちゃん。見世物じゃないんだぜ」
「判っていますわ!」
「判ってる?舐めてんのか!」
「舐める?まさか!ぺろぺろしていませんでしょう?」
「売り飛ばすぞ!ゴルラァ!!」
しかし、男たちの手はローゼに届きません。
屈強な男の手を掴みあげるイケメン君がいますよ!
「その口、焼いて塞いであげましょうか」
「こ、これは‥‥ドヴォルザー家の…すんません。失礼をしました」
「いえいえ。判って頂ければ僥倖」
これは王太子殿下の側近候補の1人、レイ君ですね。
魔導士団長のご子息でございます。
「こんなところで危険ですよ。迷子ですか」
「迷子…迷子??それも王都名物ね!あ~でも放送してもらっても迎えが来ないわ」
「プッ…面白いお嬢さんですね。良ければ送りますよ」
「え?あ~っと…ダメダメ。もうすぐ時間だもの」
「時間?何の時間です?」
「その先の食堂にね、夕食に来たんだけど満席で。1時間くらい待ってって言われたのよ」
「そうですか。では私と一緒にどうです?」
「本当?じゃ、このガイドブックにあるフチューコってヌードル屋さんで超大盛をシェアって出来るそうなの!!諦めてたの。一人じゃ30人前なんて食べられないもの!!」
「いや、あの、流石に‥‥2人でも30人前は無理かと」
「やってみなきゃ判らないわ!良かったぁやっと王都名物だわ!」
「いえ、それは王都じゃなくてもっと西にある名物ですよ」
「エ‥‥ドウシテ‥‥コレモカ…」
項垂れるローゼはそのあと、王都名物モンジャーをご馳走になります。
「ありがとう!貴方ってイイ人ね」
「面白いレディですね。良ければお名前を教えて頂けますか」
「名前?シェマヴィレローゼよ。みんなはローゼって呼ぶの。あなたは?」
「わたくしはスタンフォレイリナーと言います。レイと呼ばれています」
「そう、レイさんね。あっと、ここに泊ってるの。送ってくれてありがとう」
「いえいえ。良い夢を」
宿屋に門限だと走るローゼの後ろ姿を見つめるレイ。
入り口で振り返り、手を振って礼をしてニコリと笑うローゼにキュンとなった胸を押さえます。
「ひさかたぶりでございます。お兄様」
「うむ、遠いところをありがとう、ゆっくりしていってくれ」
「いえ、お祝いの品をお渡ししましたら、馬車停近くに宿を取っておりますのでこれでお暇致します」
「そうか。気を付けて」
「はい」
えっ?13年ぶりの再会でたったこれだけ?
うわぁぁんって抱き着いて再会をって・・・ないの??
うわぁ…冷めてる兄妹すぎない?血…流れてる??
と、言いますか兄のテリーも日帰り出来ない距離を来た妹を屋敷に泊めてあげないの?
なんてこった!とんでもねぇ兄妹だなっ!!
母からの祝いの品を渡すと、お爺様、お婆様にご挨拶をしてドレイン伯爵家を後にします。
マジで?ホントにいいの??13年ぶりなんだよ!!
サッと手をあげると乗合馬車に乗りこむローゼ。
デザモンドも想定の範囲内だったようで、深くお辞儀をして見送っています。
ガラガラと走る馬車ですが、乗合ですので色々な人が乗っていますね。
その中で隣になったオバちゃんと孫(だと思う)2人と王都名物について話をするローゼ。
「とにかくお勧めなのよ!クルックゥサブレ―」
「王都名物なの?」
「王都の隣の町の名物なんだけど、馬車停で売ってるわ」
「それって王都名物とは言わないような…」
「気のせいよ!気のせい!」
うーむと考え込むローゼですが、お勧めはとりあえず買ってみようと考えてます。
馬車停は色々な街や領に出る馬車が集まる場所。
小さな宿屋ですが、1泊するローゼはチェックインをします。
「ねぇ女将さん、どっか面白いところはないかしら」
「そうねぇ。それならこの先に辺境の自然がバーチャルで体験できる施設があるわ」
「えーっと‥‥そういう辺境から来たんだけど…」
「いやぁね。王都では流行ってるのよ?お勧めなの。一度行ってみて!」
いやぁ…王都の人はそれを娯楽と思うんだろうけど…
帰ったら普通にある景色だし…来る前も堪能してるし・・。
王都だぁ!ってところはないのかなぁとガイドブックを手に街に出るローゼ。
時間的には晩御飯もそろそろ良いかなぁと思う時刻です。
夕食を付けると料金が倍になるので朝食のみにしたローゼはガイドブックにある食堂へ向かいます。
そしてそこで【王都ならでは!!】を体験するのです。
19時に食堂に到着すると、ガイドブックにあるからか観光客で満員。
「そうですねぇ。1時間程待って頂ければお席をご用意できますね」
と言われ、用紙に名前を書いてぶらぶらして時間を潰します。その時…
「おいっ!どういうつもりだ」
「ど、どういうもこう言うも!話が違うじゃないか」
「お客さん、困るんですよね。食い逃げなんて」
「く、食い逃げ?ぼったくりの料金なんか払えるか!何処の世界に突き出しだけで10万なんてするんだ」
「この世界でするんですよ。ここは旧世界って言うんです」
おぉぉ!これは凄いわ!見た事がないわ!
あぁ!もうちょっと前で見たいわ!!
そう言って怪訝な表情で立ち去る人をサッサっとすり抜けて
言い合いをする男たちの真横に体育座りをするローゼ。背中にはヒョウ柄のリュック。
遠巻きにチラ見をしていく人は、言い合う男たちをキラキラした目で体育座りをして眺める少女のほうに二度見、三度見をしています。
「判った‥払う!払いますよ!」
「物分かり良いじゃねぇか…毎度アリ」
そう言って離れていく男達。
「えっ?もう終わりなの?もうないの?これで終わりなの??」
あのぅ‥‥兄妹の激塩な再会のほうが【もう終わり?これで終わり?】って言いたい程ですよ?
それにほら・・・怖いお兄さんたちがローゼの方に歩いてきたよ。
「おいおい。姉ちゃん。見世物じゃないんだぜ」
「判っていますわ!」
「判ってる?舐めてんのか!」
「舐める?まさか!ぺろぺろしていませんでしょう?」
「売り飛ばすぞ!ゴルラァ!!」
しかし、男たちの手はローゼに届きません。
屈強な男の手を掴みあげるイケメン君がいますよ!
「その口、焼いて塞いであげましょうか」
「こ、これは‥‥ドヴォルザー家の…すんません。失礼をしました」
「いえいえ。判って頂ければ僥倖」
これは王太子殿下の側近候補の1人、レイ君ですね。
魔導士団長のご子息でございます。
「こんなところで危険ですよ。迷子ですか」
「迷子…迷子??それも王都名物ね!あ~でも放送してもらっても迎えが来ないわ」
「プッ…面白いお嬢さんですね。良ければ送りますよ」
「え?あ~っと…ダメダメ。もうすぐ時間だもの」
「時間?何の時間です?」
「その先の食堂にね、夕食に来たんだけど満席で。1時間くらい待ってって言われたのよ」
「そうですか。では私と一緒にどうです?」
「本当?じゃ、このガイドブックにあるフチューコってヌードル屋さんで超大盛をシェアって出来るそうなの!!諦めてたの。一人じゃ30人前なんて食べられないもの!!」
「いや、あの、流石に‥‥2人でも30人前は無理かと」
「やってみなきゃ判らないわ!良かったぁやっと王都名物だわ!」
「いえ、それは王都じゃなくてもっと西にある名物ですよ」
「エ‥‥ドウシテ‥‥コレモカ…」
項垂れるローゼはそのあと、王都名物モンジャーをご馳走になります。
「ありがとう!貴方ってイイ人ね」
「面白いレディですね。良ければお名前を教えて頂けますか」
「名前?シェマヴィレローゼよ。みんなはローゼって呼ぶの。あなたは?」
「わたくしはスタンフォレイリナーと言います。レイと呼ばれています」
「そう、レイさんね。あっと、ここに泊ってるの。送ってくれてありがとう」
「いえいえ。良い夢を」
宿屋に門限だと走るローゼの後ろ姿を見つめるレイ。
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