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初恋は実るのか?
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「あの…本当に申し訳なかった。あれから臣下にも注意をした」
じぃぃぃっと王太子殿下を見るローゼ。トングをゆらゆらさせております。
「殿下…」
「なんだい?」
「肉が焼けましたわ。どうぞ」
「え?…あ、ありがとう」
「どういたしまして‥‥で、ケガの事はもうお忘れになってくださいまし」
モグモグと程よい加減に焼けた肉を頬張る王太子殿下。
会話が途切れた事にレイ君が耐え切れず口を開きます。
「で、殿下はエール領に何か御用だったのですか」
「それはね…えーっと…明日なんだけどチョイス領へ…」
ギロっとローゼが王太子殿下を見ます。殿下は思わずビクっとしていますが殿下だって男の子。
心を決めます。
「明日、チョイス伯爵の元に行き、ローゼ嬢、いやシェマヴィレローゼ嬢、貴女に結婚を申し込もうと。ずっと君の事を想っていた。あの日、僕の腕のボタンと絡まった君の髪。君は事も無げに髪を切った。その日から…忘れられなかった」
「ボタン??髪??‥‥あぁ、あの時の」
「覚えていてくれたんだね。嬉しいよ」
「えぇ。ですがそれだけで?ですか?」
「そう。僕には衝撃的だったんだ。女性が髪をたかがボタンを取るためだけに切るなんて。あの日から僕は君に身も心も捧げると誓った」
殿下はローゼに熱い視線を送りながら話しますが…一刀両断!
「嘘ですね」
ヒュっと息を飲む王太子殿下、鉄板の肉の肉汁がジュウ…
「う、嘘ではない。どんなに令嬢たちに言い寄られようと私は君だけを想い、断り続けている。今も!」
じぃぃぃっとローゼ見ておりますね。そして先ずは小型手榴弾を殿下に投下します。
「だけど、4日前、デラランバガバット未亡人と閨を共にされてますわよね?しかも3回戦」
<<えぇぇぇぇ??>>
何で知ってる?と思う王太子殿下と、未亡人と3回戦??と驚くレイ君。
至って通常営業のローゼはハツを焼き始めます。そしてロケットランチャーを放ちます。
「殿下、わたくしは夫となる人に結婚前の関係をどうやこうやと言うつもりは御座いません。ですが」
「ですが??」
「身も心も潔白だと言いながらも14歳を皮切りに週に3度もかなり年上の方と腰をふるような方と添い遂げたいとは思いませんの。それに……お気に入りは狂い獅子!4日前はそれをおねだりしておりますわよね?変態の領域ですわ!」
「狂い?狂い獅子とは何です殿下??」
「いや…その…つながっているところを見せながら・・って!違うんだ」
「いえ、間違っておりませんわ。殿下」
「確かに!間違ってないけど違うんだ!」
ローゼ、トングでビシっと焼けた肉を掴みます。
「殿下、そこに愛はない講義‥‥はい、ハツです。召し上がれ‥‥ですが快楽はありましたよね」
モグモグとハツを食べている王太子殿下、冷や汗が止まりません。
何処まで知ってるんだ?何故知ってるんだ?と心は疑問でいっぱいです。
ローゼ、トドメのメガトン爆弾を投下します。
「そして殿下。レーズンは嫌いと言いながら」
「待て!待ってくれ!それは言わないでくれ!頼む!」
あぁ、もう王太子殿下とあろう人が涙流して懇願していますよ。
いったいレーズンがどうだと言うのでしょうか
「判りました。干しブドウのようなチク」
「わぁぁぁ!言うな!判った!なんでもいう事を聞く!だから!」
「あら?困った殿下ですわね」
「だけど!だけど本当なんだ!馬車停で君と出会って…本当なんだ」
「そうですか‥‥お気持ちは大変ありがたいですわ」
「ならば!」
「ですがお断り致します。もうお分かりになったと思いますがわたくし、加護がございます」
思わず王太子殿下とレイ君顔を見合わせます。
「加護って…」
「えぇ。誰と営んだか…それがいつ、どこで、何回で…そこに愛があったか。この頃はもっと見えてしまいますの。ですからわたくし結婚はしない事に決めておりますわ。結婚後に不貞が判ってしまうと夫を殺めてしまうやも知れませんもの」
「判った!今日を限りにシェマヴィレローゼ嬢がわたしを選んでくれるまで閨の講義は絶つ。約束する!だから!」
「殿下!それはあんまりです!私は言ったはずです。ローゼ嬢を婚約者にと!」
「え?レイ君?そんな話聞いておりませんわよ?それと殿下、あなたは国を統べるお方です。世継ぎも当然切望されるのです。もしわたくしを妃にし、子が成せなければ愛しているとわたくしに言いながら、閨を共にする女性が増えていく。そこにわたくしの気持ちの拠り所はあるでしょうか?言葉でどんなに甘く愛を囁かれても、愛はないと言いながら別の女性を抱く夫をわたくしに許せと仰るのですか?」
「グッ‥‥それは…だが!君との間に子をもうければ済む事だ」
「だから申し上げているでしょう?閨の講義、それは王族ですから仕方ないでしょう。ですが‥‥わたくしの母より年配の女性に何度もぼっ‥いえ、お勃ちになったモノを見せられるのは苦痛で御座いますわ。これでもわたくし18歳ですのよ?世が世なら 枯れ専殿下の御乱心 と呼ばれますわよ?」
その後の王太子殿下。涙と鼻水を流しながらホルモンを食べさせられておりました。
「あの‥‥」
「殿下、ローゼと呼んでくださって結構ですわ」
「ありがとうローゼ嬢。その‥‥君を想うのは構わないだろうか」
「嫌です‥‥と言いたいところですが、心に思うのは誰にでも許される事ですわ」
「良かった。ありがとう」
「でも、講義中にわたくしを想うのはおやめくださいまし」
にっこりと笑うローゼに王太子殿下は初恋は実らないのだと感じます。
レイ君は、清い体で良かった…と思うのでした。
じぃぃぃっと王太子殿下を見るローゼ。トングをゆらゆらさせております。
「殿下…」
「なんだい?」
「肉が焼けましたわ。どうぞ」
「え?…あ、ありがとう」
「どういたしまして‥‥で、ケガの事はもうお忘れになってくださいまし」
モグモグと程よい加減に焼けた肉を頬張る王太子殿下。
会話が途切れた事にレイ君が耐え切れず口を開きます。
「で、殿下はエール領に何か御用だったのですか」
「それはね…えーっと…明日なんだけどチョイス領へ…」
ギロっとローゼが王太子殿下を見ます。殿下は思わずビクっとしていますが殿下だって男の子。
心を決めます。
「明日、チョイス伯爵の元に行き、ローゼ嬢、いやシェマヴィレローゼ嬢、貴女に結婚を申し込もうと。ずっと君の事を想っていた。あの日、僕の腕のボタンと絡まった君の髪。君は事も無げに髪を切った。その日から…忘れられなかった」
「ボタン??髪??‥‥あぁ、あの時の」
「覚えていてくれたんだね。嬉しいよ」
「えぇ。ですがそれだけで?ですか?」
「そう。僕には衝撃的だったんだ。女性が髪をたかがボタンを取るためだけに切るなんて。あの日から僕は君に身も心も捧げると誓った」
殿下はローゼに熱い視線を送りながら話しますが…一刀両断!
「嘘ですね」
ヒュっと息を飲む王太子殿下、鉄板の肉の肉汁がジュウ…
「う、嘘ではない。どんなに令嬢たちに言い寄られようと私は君だけを想い、断り続けている。今も!」
じぃぃぃっとローゼ見ておりますね。そして先ずは小型手榴弾を殿下に投下します。
「だけど、4日前、デラランバガバット未亡人と閨を共にされてますわよね?しかも3回戦」
<<えぇぇぇぇ??>>
何で知ってる?と思う王太子殿下と、未亡人と3回戦??と驚くレイ君。
至って通常営業のローゼはハツを焼き始めます。そしてロケットランチャーを放ちます。
「殿下、わたくしは夫となる人に結婚前の関係をどうやこうやと言うつもりは御座いません。ですが」
「ですが??」
「身も心も潔白だと言いながらも14歳を皮切りに週に3度もかなり年上の方と腰をふるような方と添い遂げたいとは思いませんの。それに……お気に入りは狂い獅子!4日前はそれをおねだりしておりますわよね?変態の領域ですわ!」
「狂い?狂い獅子とは何です殿下??」
「いや…その…つながっているところを見せながら・・って!違うんだ」
「いえ、間違っておりませんわ。殿下」
「確かに!間違ってないけど違うんだ!」
ローゼ、トングでビシっと焼けた肉を掴みます。
「殿下、そこに愛はない講義‥‥はい、ハツです。召し上がれ‥‥ですが快楽はありましたよね」
モグモグとハツを食べている王太子殿下、冷や汗が止まりません。
何処まで知ってるんだ?何故知ってるんだ?と心は疑問でいっぱいです。
ローゼ、トドメのメガトン爆弾を投下します。
「そして殿下。レーズンは嫌いと言いながら」
「待て!待ってくれ!それは言わないでくれ!頼む!」
あぁ、もう王太子殿下とあろう人が涙流して懇願していますよ。
いったいレーズンがどうだと言うのでしょうか
「判りました。干しブドウのようなチク」
「わぁぁぁ!言うな!判った!なんでもいう事を聞く!だから!」
「あら?困った殿下ですわね」
「だけど!だけど本当なんだ!馬車停で君と出会って…本当なんだ」
「そうですか‥‥お気持ちは大変ありがたいですわ」
「ならば!」
「ですがお断り致します。もうお分かりになったと思いますがわたくし、加護がございます」
思わず王太子殿下とレイ君顔を見合わせます。
「加護って…」
「えぇ。誰と営んだか…それがいつ、どこで、何回で…そこに愛があったか。この頃はもっと見えてしまいますの。ですからわたくし結婚はしない事に決めておりますわ。結婚後に不貞が判ってしまうと夫を殺めてしまうやも知れませんもの」
「判った!今日を限りにシェマヴィレローゼ嬢がわたしを選んでくれるまで閨の講義は絶つ。約束する!だから!」
「殿下!それはあんまりです!私は言ったはずです。ローゼ嬢を婚約者にと!」
「え?レイ君?そんな話聞いておりませんわよ?それと殿下、あなたは国を統べるお方です。世継ぎも当然切望されるのです。もしわたくしを妃にし、子が成せなければ愛しているとわたくしに言いながら、閨を共にする女性が増えていく。そこにわたくしの気持ちの拠り所はあるでしょうか?言葉でどんなに甘く愛を囁かれても、愛はないと言いながら別の女性を抱く夫をわたくしに許せと仰るのですか?」
「グッ‥‥それは…だが!君との間に子をもうければ済む事だ」
「だから申し上げているでしょう?閨の講義、それは王族ですから仕方ないでしょう。ですが‥‥わたくしの母より年配の女性に何度もぼっ‥いえ、お勃ちになったモノを見せられるのは苦痛で御座いますわ。これでもわたくし18歳ですのよ?世が世なら 枯れ専殿下の御乱心 と呼ばれますわよ?」
その後の王太子殿下。涙と鼻水を流しながらホルモンを食べさせられておりました。
「あの‥‥」
「殿下、ローゼと呼んでくださって結構ですわ」
「ありがとうローゼ嬢。その‥‥君を想うのは構わないだろうか」
「嫌です‥‥と言いたいところですが、心に思うのは誰にでも許される事ですわ」
「良かった。ありがとう」
「でも、講義中にわたくしを想うのはおやめくださいまし」
にっこりと笑うローゼに王太子殿下は初恋は実らないのだと感じます。
レイ君は、清い体で良かった…と思うのでした。
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