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恥と罪の上塗り
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昼間なのに薄暗い部屋で寝台がきしむ音と息遣いが聞こえていますよ。
「んッ‥‥」
少しブルルと腰から頭頂部にかけて小さく震える男が1人。
そっと鍛えられた胸に手を伸ばしてくる細い手がありますね。
1つになっていた体が離れるとそれぞれが自分の体を軽く拭き始めます。
「はぁっ」
寝台に腰掛けた男性は大きなため息を吐いております。
「どうしたの?良くなかった?」
「いや、そうでもない」
「フフっ。そうよね。出すものは出したし‥はい、もう1つ出すものあるでしょう」
白い手が差し伸べられると寝台に腰掛けていた男性は立ち上がり財布を手に取ります。
何枚かの紙幣を抜くと寝台にいる女性に手渡しまた寝台に腰掛けます。
「うふっ。確かに」
女性は手早く着替えると、男性の頬にキスを落としていますよ。
ベットリと品のない真っ赤なリップマークが頬に残ります。
「また呼んで頂戴」
そういうとさっさと部屋から出ていきますよ。
バタンと扉が閉まる音がすると、男性はそのままベッドに後ろ向きで倒れます。
「くそっ…」
頭をガッと掻きむしり、顔を手のひらで覆ってしばらくすると起き上がり戸棚から酒の入った瓶を取り出すとそのままラッパー!!hey!you!!チェケラッ!!ではありません。ラッパ飲みです。
彼は王太子殿下の側近の1人。マーベル侯爵家の子息でもあるライド。
度重なる失敗に、ローゼを含め既に5人の女性と婚約を解消や破棄をされた男。
まだ20歳だというのに、5回も婚約がなくなったというのは現在ポンタ王国で最年少の記録保持者。
21歳の誕生日が来る前に、あと3回婚約を飛ばせば国内最高記録保持者となります。
それは勲章なのか??それは君にとって名誉なのか??それでいいのか!?ライドっ!!
夕方少し酒が残っていますが明日は午後から側近として王宮に行かねばなりません。
ライドが非番の今日はギルとレイが登城しています。
まとまった休みは何度申請しても1~2日程度しかもらえず、あの女性を探しに行くことも出来ないようです。
藁をもすがる思いでエール伯爵を尋ねましたが、ライドにとっては徒労に終わっただけです。
繁華街の飲み屋に行こうと歩いています。
馬で移動すると飲酒騎乗で現行犯逮捕されると大変ですからね。そのあたりはマトモです。
ボッチで歩いていると、ふとキンセンカの香りがします。
何処かで嗅いだことのある香りに、何処だったかと思い歩いています。
ふと、匂いの元になっているキンセンカの木を見つけ足を止めました。
何の因果か、それはドレイン伯爵家の庭木!!
「ドレイン伯爵‥‥か‥‥」
そのままなら今頃、好きではなかった婚約者のローゼを娶り、適当に子を作り、侯爵家の時期当主としてそして、王太子殿下の本当の右腕としていたかもしれないと【たら!れば!かも!でも!】と悔やみます。
「今更の話だ…」
自嘲気味に笑うと歩き始めると、聞いた事のある声が聞こえます。
「では、皆……ごきげ‥‥またどこ‥‥」
「…うさまも…で…ください」
ドレイン伯爵家の使用人たちと軽くハグをしている女性が目に入ります。
うわっ!見つかったよ!逃げるんだローゼ!今日はレイ君仕事でいないんだよ!!大変だ!!
思わず走り出すライド!!
まだ見習いに入ったばかりの幼い少女を屈んで抱きしめる女性に向かって猪突猛進!!
ドン!きゃぁ!!ドスン!
ライドは小さな見習いメイドを突き飛ばすと意中の女性の両肩を掴みます。
ハッハっと走ってきて荒れた呼吸を整えています。
突然現れた男に使用人たちは驚きつつも自分の出来る行動を開始します。
屋敷の護衛に来ている兵士を呼びに走る者や、突き飛ばされたメイドを抱き起し離れた場所に移動する者、そして執事服の裏ポケットから警棒を取り出すデザモンド。
ジャキン!
デサモンドは警棒を軽く振って最大長にします。
ですが、注意をしないと迂闊に殴り掛かればローゼに当たってしまうので隙を見ています。
「お嬢様を離しなさい!」
デサモンドの声が響き渡りました。
「んッ‥‥」
少しブルルと腰から頭頂部にかけて小さく震える男が1人。
そっと鍛えられた胸に手を伸ばしてくる細い手がありますね。
1つになっていた体が離れるとそれぞれが自分の体を軽く拭き始めます。
「はぁっ」
寝台に腰掛けた男性は大きなため息を吐いております。
「どうしたの?良くなかった?」
「いや、そうでもない」
「フフっ。そうよね。出すものは出したし‥はい、もう1つ出すものあるでしょう」
白い手が差し伸べられると寝台に腰掛けていた男性は立ち上がり財布を手に取ります。
何枚かの紙幣を抜くと寝台にいる女性に手渡しまた寝台に腰掛けます。
「うふっ。確かに」
女性は手早く着替えると、男性の頬にキスを落としていますよ。
ベットリと品のない真っ赤なリップマークが頬に残ります。
「また呼んで頂戴」
そういうとさっさと部屋から出ていきますよ。
バタンと扉が閉まる音がすると、男性はそのままベッドに後ろ向きで倒れます。
「くそっ…」
頭をガッと掻きむしり、顔を手のひらで覆ってしばらくすると起き上がり戸棚から酒の入った瓶を取り出すとそのままラッパー!!hey!you!!チェケラッ!!ではありません。ラッパ飲みです。
彼は王太子殿下の側近の1人。マーベル侯爵家の子息でもあるライド。
度重なる失敗に、ローゼを含め既に5人の女性と婚約を解消や破棄をされた男。
まだ20歳だというのに、5回も婚約がなくなったというのは現在ポンタ王国で最年少の記録保持者。
21歳の誕生日が来る前に、あと3回婚約を飛ばせば国内最高記録保持者となります。
それは勲章なのか??それは君にとって名誉なのか??それでいいのか!?ライドっ!!
夕方少し酒が残っていますが明日は午後から側近として王宮に行かねばなりません。
ライドが非番の今日はギルとレイが登城しています。
まとまった休みは何度申請しても1~2日程度しかもらえず、あの女性を探しに行くことも出来ないようです。
藁をもすがる思いでエール伯爵を尋ねましたが、ライドにとっては徒労に終わっただけです。
繁華街の飲み屋に行こうと歩いています。
馬で移動すると飲酒騎乗で現行犯逮捕されると大変ですからね。そのあたりはマトモです。
ボッチで歩いていると、ふとキンセンカの香りがします。
何処かで嗅いだことのある香りに、何処だったかと思い歩いています。
ふと、匂いの元になっているキンセンカの木を見つけ足を止めました。
何の因果か、それはドレイン伯爵家の庭木!!
「ドレイン伯爵‥‥か‥‥」
そのままなら今頃、好きではなかった婚約者のローゼを娶り、適当に子を作り、侯爵家の時期当主としてそして、王太子殿下の本当の右腕としていたかもしれないと【たら!れば!かも!でも!】と悔やみます。
「今更の話だ…」
自嘲気味に笑うと歩き始めると、聞いた事のある声が聞こえます。
「では、皆……ごきげ‥‥またどこ‥‥」
「…うさまも…で…ください」
ドレイン伯爵家の使用人たちと軽くハグをしている女性が目に入ります。
うわっ!見つかったよ!逃げるんだローゼ!今日はレイ君仕事でいないんだよ!!大変だ!!
思わず走り出すライド!!
まだ見習いに入ったばかりの幼い少女を屈んで抱きしめる女性に向かって猪突猛進!!
ドン!きゃぁ!!ドスン!
ライドは小さな見習いメイドを突き飛ばすと意中の女性の両肩を掴みます。
ハッハっと走ってきて荒れた呼吸を整えています。
突然現れた男に使用人たちは驚きつつも自分の出来る行動を開始します。
屋敷の護衛に来ている兵士を呼びに走る者や、突き飛ばされたメイドを抱き起し離れた場所に移動する者、そして執事服の裏ポケットから警棒を取り出すデザモンド。
ジャキン!
デサモンドは警棒を軽く振って最大長にします。
ですが、注意をしないと迂闊に殴り掛かればローゼに当たってしまうので隙を見ています。
「お嬢様を離しなさい!」
デサモンドの声が響き渡りました。
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