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焼却処分の手帳
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ものすごく仕事に行くのを嫌がるアルベルト様を送り出し、わたくしは使用人の皆さんと歓談をするのです。
何といっても女性の使用人さん達の会話はいつも地獄耳で聞こえてはいたものの、アルベルト様がいると側を離れることがないので話も出来なかったのです。
茶会や夜会のような縛りがあるわけでもなく、ただひたすらに楽しい話をするのは心が洗われるようです。心なしか2時間程でお肌の調子も良くなった気がするほどで御座います。
伯爵家にいた頃はわたくしも掃除の手伝いをよくしたのです。
なので箒やモップを持って掃除がしたくて堪らなかったのです。
お仕着せを着て昼は使用人さん達とワイワイ掃除をしてお茶をします。
夜は早めの食事と湯あみでアルベルト様の帰りを待つのです。
遠征中は書庫にある本を夜更かしし放題で読むつもりでございます。
しかし。掃除を始めると怪しげなものを見つけてしまいました。
怪しげなものを見つけたのはアルベルト様の馬をつないでいる厩舎でございます。
「なにかしら?これ…」
厩舎の周りを掃除しておりました。大きなゴミはもう回収しております。
何か落ちていて拾ってみるとポケット手帳のようです。
業務に使うものなら焼き印が押してあると思うのですが私物のようです。
馬番の方に聞くと判らないと首を振ります。
人の出入りからすればアルベルト様だとは思うのですが、間違っていては大変です。
読まれたら困る大事なものであれば魔法で封印をされているはずですが、開けますのでそこまで大事なものではないのでしょう。
しかし‥‥内容はわたくしにとっては極秘中の極秘事項でございました。
個人的には軍の機密よりも漏れてはいけないもので御座います。
『可愛いエトランゼが友人とカフェで待ち合わせをしているという情報があった。
もうすぐ卒業。制服姿もいいが特にあのハイソックスが嗅ぎたくて堪らない。
汗で蒸れていれば極上品だ。
友人たちときゃきゃと話す啼き声はまるで小鳥のようだった。
思わず目を閉じると制服の胸元をはだけた姿で小さな口は蜜で溢れて僕を誘う。
何度も僕の指と舌で達してしまう可愛いエトランゼ。
ヒゥっと突起を吸い上げると声を出して僕を試すのがとても好きなようだ。
エトランゼ、僕の女神。 ※8回』
『エトランゼが風邪をひいたようだ。なんという事だ!おそらく人生で最悪の日。
僕の腕の中で声が枯れるほど啼いていたあの日々が遠い昔のようだ。
なんとか鼻をかんだ後のハンカチが手に入らないだろうか。
出来れば僕が直接鼻から吸い取ってあげたいが、熱にうなされ頬を染めたエトランゼを見たら僕はきっと自分を押えられなくなってしまうだろう。
あぁ、エトランゼの吐瀉を受け止める洗面器になりたい。※7回』
『エトランゼのかかりつけ医であるゲルス歯科でエトランゼのカルテを手に入れた。
可愛い歯並びだ。虫歯もなく健康的でとても嬉しく感じる。
診察に使ったという紙エプロンも手に入るなんてこんな幸運があって良いのだろうか。
思わず口から零れたと思う水滴のあとを舐めたら破れてしまい飲み込んでしまった。
体内に入ったと思ったら我慢が出来なかった。昼間から着替える事になるとは。
エトランゼ。何処まで僕を汚せば気がすむというんだ。 ※11回』
『ハイゲル騎士団長に感謝をしなくてはいけない!!
今日はエトランゼを追尾できないと諦めていたが、エトランゼがいた。
どうしたのだろうと思っていると、女子トイレに向かっている。
見たい!見たい!我慢が出来なかった。中には入れないので外に出た。
見る事は出来なかったが音を聞く事が出来た。耳から聖水の音が離れない。
どうして音を持って帰る事が出来ないだろうかとこの国の技術力を呪った ※17回』
これはこの世に存在してはいけない手帳です。焼却処分にせねば!
途中紙が貼りついて開けないページが御座いましたが、こんなものは棄てるに限ります。気になるのは【※●回】と書かれている数字では御座いますが、なんとなく推測が可能です。
使用人さん達が18時になって帰るのを待って、暖炉に放り込んで火箸で炭に埋めました。アルベルト様はやはり変態で御座いますが、制服と言う事はかなり以前からなのでしょうか。
そう言えば公爵家で10年以上前からのコレクションと仰っておりました。
これは長きに渡り、愛されているというのでしょうか。
それともストーカーと言うものなのでしょうか。言いようのない執着を感じます。
ですが、不思議と怖くないと申しますか、仕方ないなと思うのはわたくし病気なのかしら。
考えていると、アルベルト様がお帰りになられました。
「ただいま。うわぁ可愛い!抱きしめたいよ!エトランゼっ!」
「アル様、お帰りなさいませ」
「一人で寂しかっただろう?急いで帰ってきた」
「大丈夫ですわ。それよりお聞きしたい事がありますの」
「何だい?エトランゼの事なら何でも知ってるよ?」
――いえ、普通は自分の事を聞かれると考えますよね?――
「あの、わたくしがよく通院してた歯科医なのですがご存じですの?」
「知っているよ。エトランゼのカルテとかもらったしね」
――隠さない?!それ、普通にマズくありませんの?――
「紙エプロン貰ってねぇ。食べちゃった事あるよ。あとうがいの紙コップも」
――書かれていない真実を聞かされるとは!ヤギでも紙は食べませんよ?――
本能が訴えるのです。これ以上聞いてはいけないと。
わたくしは、何故かわたくし以上にわたくしの事を知っている人間が目の前にいるのは不思議です。
そして、アルベルト様は何でもお答えくださるのです。
「アル様は、ずっと以前からわたくしをご存じだったのですか?」
「どうかなぁ。僕がエトランゼを好きになったのはエトランゼが4歳の時だからなぁ」
――そんな前から!その時アルベルト様6歳ですよね?――
「なんでも知ってるよ。初潮の日とか知りたい?」
――自分の事なので、知ってます――
「今日、団長にも叱られたんだ。気持ち悪いって思われるぞって」
――よく今までそれに気が付きませんでしたね?――
「でもね。好きな人の事って何でも知りたいって思うんだ。アハッ」
あ、ですが、今までの奇行の全てがなんだか判った気がします。
アルベルト様、わたくしの事が大好きなんですわね。
とてつもない程の行き過ぎ感は否めませんが。
何といっても女性の使用人さん達の会話はいつも地獄耳で聞こえてはいたものの、アルベルト様がいると側を離れることがないので話も出来なかったのです。
茶会や夜会のような縛りがあるわけでもなく、ただひたすらに楽しい話をするのは心が洗われるようです。心なしか2時間程でお肌の調子も良くなった気がするほどで御座います。
伯爵家にいた頃はわたくしも掃除の手伝いをよくしたのです。
なので箒やモップを持って掃除がしたくて堪らなかったのです。
お仕着せを着て昼は使用人さん達とワイワイ掃除をしてお茶をします。
夜は早めの食事と湯あみでアルベルト様の帰りを待つのです。
遠征中は書庫にある本を夜更かしし放題で読むつもりでございます。
しかし。掃除を始めると怪しげなものを見つけてしまいました。
怪しげなものを見つけたのはアルベルト様の馬をつないでいる厩舎でございます。
「なにかしら?これ…」
厩舎の周りを掃除しておりました。大きなゴミはもう回収しております。
何か落ちていて拾ってみるとポケット手帳のようです。
業務に使うものなら焼き印が押してあると思うのですが私物のようです。
馬番の方に聞くと判らないと首を振ります。
人の出入りからすればアルベルト様だとは思うのですが、間違っていては大変です。
読まれたら困る大事なものであれば魔法で封印をされているはずですが、開けますのでそこまで大事なものではないのでしょう。
しかし‥‥内容はわたくしにとっては極秘中の極秘事項でございました。
個人的には軍の機密よりも漏れてはいけないもので御座います。
『可愛いエトランゼが友人とカフェで待ち合わせをしているという情報があった。
もうすぐ卒業。制服姿もいいが特にあのハイソックスが嗅ぎたくて堪らない。
汗で蒸れていれば極上品だ。
友人たちときゃきゃと話す啼き声はまるで小鳥のようだった。
思わず目を閉じると制服の胸元をはだけた姿で小さな口は蜜で溢れて僕を誘う。
何度も僕の指と舌で達してしまう可愛いエトランゼ。
ヒゥっと突起を吸い上げると声を出して僕を試すのがとても好きなようだ。
エトランゼ、僕の女神。 ※8回』
『エトランゼが風邪をひいたようだ。なんという事だ!おそらく人生で最悪の日。
僕の腕の中で声が枯れるほど啼いていたあの日々が遠い昔のようだ。
なんとか鼻をかんだ後のハンカチが手に入らないだろうか。
出来れば僕が直接鼻から吸い取ってあげたいが、熱にうなされ頬を染めたエトランゼを見たら僕はきっと自分を押えられなくなってしまうだろう。
あぁ、エトランゼの吐瀉を受け止める洗面器になりたい。※7回』
『エトランゼのかかりつけ医であるゲルス歯科でエトランゼのカルテを手に入れた。
可愛い歯並びだ。虫歯もなく健康的でとても嬉しく感じる。
診察に使ったという紙エプロンも手に入るなんてこんな幸運があって良いのだろうか。
思わず口から零れたと思う水滴のあとを舐めたら破れてしまい飲み込んでしまった。
体内に入ったと思ったら我慢が出来なかった。昼間から着替える事になるとは。
エトランゼ。何処まで僕を汚せば気がすむというんだ。 ※11回』
『ハイゲル騎士団長に感謝をしなくてはいけない!!
今日はエトランゼを追尾できないと諦めていたが、エトランゼがいた。
どうしたのだろうと思っていると、女子トイレに向かっている。
見たい!見たい!我慢が出来なかった。中には入れないので外に出た。
見る事は出来なかったが音を聞く事が出来た。耳から聖水の音が離れない。
どうして音を持って帰る事が出来ないだろうかとこの国の技術力を呪った ※17回』
これはこの世に存在してはいけない手帳です。焼却処分にせねば!
途中紙が貼りついて開けないページが御座いましたが、こんなものは棄てるに限ります。気になるのは【※●回】と書かれている数字では御座いますが、なんとなく推測が可能です。
使用人さん達が18時になって帰るのを待って、暖炉に放り込んで火箸で炭に埋めました。アルベルト様はやはり変態で御座いますが、制服と言う事はかなり以前からなのでしょうか。
そう言えば公爵家で10年以上前からのコレクションと仰っておりました。
これは長きに渡り、愛されているというのでしょうか。
それともストーカーと言うものなのでしょうか。言いようのない執着を感じます。
ですが、不思議と怖くないと申しますか、仕方ないなと思うのはわたくし病気なのかしら。
考えていると、アルベルト様がお帰りになられました。
「ただいま。うわぁ可愛い!抱きしめたいよ!エトランゼっ!」
「アル様、お帰りなさいませ」
「一人で寂しかっただろう?急いで帰ってきた」
「大丈夫ですわ。それよりお聞きしたい事がありますの」
「何だい?エトランゼの事なら何でも知ってるよ?」
――いえ、普通は自分の事を聞かれると考えますよね?――
「あの、わたくしがよく通院してた歯科医なのですがご存じですの?」
「知っているよ。エトランゼのカルテとかもらったしね」
――隠さない?!それ、普通にマズくありませんの?――
「紙エプロン貰ってねぇ。食べちゃった事あるよ。あとうがいの紙コップも」
――書かれていない真実を聞かされるとは!ヤギでも紙は食べませんよ?――
本能が訴えるのです。これ以上聞いてはいけないと。
わたくしは、何故かわたくし以上にわたくしの事を知っている人間が目の前にいるのは不思議です。
そして、アルベルト様は何でもお答えくださるのです。
「アル様は、ずっと以前からわたくしをご存じだったのですか?」
「どうかなぁ。僕がエトランゼを好きになったのはエトランゼが4歳の時だからなぁ」
――そんな前から!その時アルベルト様6歳ですよね?――
「なんでも知ってるよ。初潮の日とか知りたい?」
――自分の事なので、知ってます――
「今日、団長にも叱られたんだ。気持ち悪いって思われるぞって」
――よく今までそれに気が付きませんでしたね?――
「でもね。好きな人の事って何でも知りたいって思うんだ。アハッ」
あ、ですが、今までの奇行の全てがなんだか判った気がします。
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