この度、変態騎士の妻になりました

cyaru

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人命救助なお買い物

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アルベルト様がお仕事ですので、わたくしは通いの侍女さんと共にお買い物でございます。

お買い物と言うのはとても楽しいものです。
その場で買えなくてもバーゲンを狙う方法も御座いますし、似た感じに安く買える品に手を入れるという方法も御座います。ですが、アルベルト様はお金に糸目を全く付けないので、ワンピースを試着していると色違いを全種類購入していたり、うま●棒を手にしただけで大人買いを致します。

婚約した当時は夏も終わりの時期でございましたが、ガリ●リくんのグリーンスムージーとナポリタン味を箱買いされてしまい、伯爵家では使用人も涙を堪えて食しました。
えぇ。冷凍庫は購入できるのですが、伯爵家の付近にはまだ文明開化の音はしておらず電気が通っておりませんでした。解ける前に食べきるという選択肢しかなかったのです。

そして当時購入いただいたあの伝説の飲み物。
申し訳ございません。伯爵家では1缶を全員が分け合って飲みましたがそれももう限界。お嫁入の際に持っていけと言われましたが、おいてきてしまったのです。
責任を取って頂くべく、折を見てアルベルト様にお飲み頂こうと思って待ち合わせをした兄から残りを受け取ります。2リットルのペットボトル1本ですが溜息しか出ません。

さて、お買い物で御座います。

侍女さんは調味料などの買い置き分を頼んでおります。
胡椒や山椒、イリゴマなどは香辛料を専門に扱うお店に調合などを頼んで持ってきてもらうのです。

アルベルト様は赤い色がわりとお好きですので、見た目の華やかさを演出するために食しませんが唐辛子をお皿に盛りつける事があります。

先日、結婚休暇中にキャロライナ・リーパーが入荷したと知らされたのですが注文した時にはもう完売。
世の中には辛みを好まれる方が多いようです。

本日は店に行くと事前に伝えてありましたので、入手出来ました。
ついでに試供品との事でドラゴンズ・ブレス・チリという唐辛子も頂きました。

なんでも

【食べた途端に気道が焼かれて閉じ、死に至る可能性がある】とお店の方から注意をされてしまい、【食用には向かない危険な代物だからあくまでも飾り】だと念押しをされてしまいました。

なるほど、手渡された袋も決して馬車の中の開けないようにと言われるだけあって、袋を少しあけただけで目が痛ぅ御座います。刺激と申しますが…涙も出る以前に全てが麻痺する。そんな感じです。

次はそろそろクリスマスですので、アルベルト様に手袋とハンカチを贈ろうと色々な布を扱っているお店に参りました。各国から冒険者の方が苦労をして集められた布も時価というドラゴンの顎の皮を鞣した布もあります。

燃えないのだそうです。一瞬こんなブックカバーで手帳を覆われたら大変だと思いましたが販売価格は国家予算の数倍と聞いて安心いたしました。これならアルベルト様でもローンを組まなくては買えません。

わたくしが店主の方とお話をしている間に侍女さんは茶葉専門店で試飲用のお茶をもらったと水筒を抱えて戻って参りました。

馬車が来るまで公園で一休み‥…ですがゆっくりはさせて頂けないようです。

お茶を飲もうかと侍女さんが籠からコップを出し、注ごうとすると目の前に立たれた方がおられました。


「エトランゼ‥‥よくも俺の大事な頭頂部の毛髪を削いでくれたな!」

――誤解が御座います。剃ったのはアルベルト様。わたくしでは御座いません――

毛髪はいずれ生えてくるものだと思いますが、ハッ!失念しておりました。
ディッシュ伯爵家の男性陣は加齢と共に【波平ヘアー】になるのでした。
まだ20歳ですし大丈夫かとは思いますが、サマンサ様とご一緒だった時、全盛期の【批難GOGO】いえ、【BUCK-TI●K】のような真上に寒天で固めるヘアアレンジでかなり頭皮に無理をさせておられましたね。

「俺はな!追い出されたせいで毎日毎日!金も食い物もない生活なんだよ!」

――それは自業自得。わたくしに責任転嫁をされても困ります――

「なんだ、食い物持ってるじゃねぇか…よこせっ!」

あっ!香辛料のお店で試供品で頂いたキャロライナ・リーパーなのかドラゴンズ・ブレス・チリの入った紙袋を奪われてしまいました!
袋を開けると目が痛くなりますよとご忠告差し上げようと思ったのですが、ギルバート様はそのまま手を突っ込んで口の中に!

気道が焼かれて死んでしまいますよ!

「ンギョァッ!フゴグァッ!!」

間違い御座いません。口から得も知れぬ液体を吐き出し、喉を押えて悶絶させております。

「ウィズ・・・グィズ…」

なんと仰っているのかよく判りません。ですが侍女さんの持っているお茶を指さされております。

「奥様、どうしましょう」
「多分、お水が欲しいのですわ。その水筒のお茶を差し上げましょう」
「ですがこのお茶は!…アァァッ!」

侍女さんと話をしているとギルバート様は水筒をひったくり、中身を飲み干します。

「ブッファァァァ!」

まるでKISSのジーン・シモンズ様の如くお茶を綺麗に噴き出します。
オイルであればすぐに着火して火吹きが見られたと思いますが、美しく放物線を描き虹が見えます。
このような芸当を見つけられていたとは。襤褸を着てても心は錦なのですね。

「あのお茶はなんですの?」
「苦丁茶でございますよ」

なるほど。辛みと苦みは別物と言う事なのですね。
身を持って教えてくださるとはギルバート様もご成長されましたね。

ですが、喉の痛みがまだ治まらないようです。
もう差し上げるものは何もないのですが…あっ!ありました!
アルベルト様に購入者として責任を取って飲んで頂こうと思っていた飲料が!

250ミリのスリム缶でも泣きながら飲まずにはいられなかったのに何故が2リットルペットボトルを買われてしまい途方に暮れていたのです。

「ギルバート様、さぁ!これしか御座いませんがどうぞ一気にお飲みになって!」

差し出された2リットルペットボトルをガっと掴まれると一気にお飲みになられます。
しかし…あと数口で終わるころ、動かくなってしまわれました。

――炭酸飲料ではないので駅名を言う前にげっぷ等出るはずございませんよ?――

向こうの方から警備を担当されておられる騎士の方が走ってこられるのが見えます。

「奥様、この飲み物は…いったい何で御座います?」

【メッコール ですわ】


大麦などが原料ですし、何より気道が焼けつく前に対応できたかも知れません。
人助けって大変なのですねと思ったお買い物でございました。
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