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必殺技がさく裂する昼食
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本日は、朝アルベルト様をお見送りしてからわたくしは厨房におります。
世間様でいうサプライズをするため、サンドウィッチを通いの料理人さんと作っているのです。
伯爵家にいた頃は自分用にも家族用にも作っておりましたし、学院に通っていた頃はお弁当として朝早くから友人を驚かすべく具を工夫して作ったものです。
単にパンで具を挟むだけでは芸がないのだと切磋琢磨していたあの頃が懐かしゅう御座います。
「奥様、申し訳ございません。一部入荷しなかった具材があるんです」
「大丈夫です。あるもので問題ないですよ」
拘りは大事ですがこれでなければいけないと思う必要はないのです。
タマゴだって、スライスしたものと潰してマヨネーズをあえたものとありますし。
気にする必要は全く御座いません。胃の中に入れば消化されるだけですもの。
パンにも焼き目をいれてホットサンド風にすればサクサク感も味わえます。
上司である騎士団長様には午後のお茶の時間に軽くつまめる茶菓子を忘れないようにせねば。
賄賂では御座いません。基本定時で戻られるアルベルト様ですから何かと気を配って頂いておられるでしょうし、幼い頃からアルベルト様のお世話をしてくださっていたとか。
まだ半年にもならないわたくしも少々疲れる事も御座います。15年以上アルベルト様に人の道を指導くださっているのですからほんの気持ち程度の菓子でございます。
出来上がったサンドウィッチをバスケットに入れて通いの使用人さんと馬車で官舎に向かいます。
騎士団のお昼は11時45分からと伺っておりますので、すこし早めの40分前に到着すれば外食の必要もないでしょう。
「奥様、なんか‥‥思っていたより清潔感がございますね」
ふと見れば整理整頓はされておりますし、すれ違う方は丁寧にお辞儀をしながら挨拶をしてくださいます。騎士は粗暴だという方も居られますが決してそのような方ばかりでは御座いません。
「ご婦人。どちらに行かれるのだ」
敷地内にはすんなりと入れたのですが、建物の入り口で呼び止められてしまいます。
通行証が必要なのだと思い出しました。以前にアルベルト様から緊急時には官舎に逃げるようにと言われ預かったブレスレットを見せようと袖を少し捲り上げます。
「「あっ」」
思わず騎士の方と声が重なります。
そうです。サンドウィッチを作る際に汚れてしまうと外したまま厨房に置き忘れてしまいました。
これでは入れません。昼食を預ける事も本人確認が出来ない以上断られてしまうでしょう。
しかし‥‥
「これは失礼を致しました。マチコリウス副長のお部屋までご案内致します」
「いえ、あの…認識用の腕輪を忘れてしまっておりますが…」
「大丈夫です。間違いなく副長の奥様と確認を致しました」
――認識用の腕輪がないのに?動体視力で判るというの?――
「そんな手首ギリギリまで粘着と執着の証を付けるのは世界広しと言えど副長だけです」
えっ?と手首を見てみますと、確かに毎夜チュッチュとされてしまうためまさに【所せまし】とばかりに紅い華が袖で隠れるギリギリまで付いております。
――動体視力ではなく、口唇紋で見分けられるのね。科捜研みたいだわ――
進んでいくと、聞きなれた声が聞こえて参ります。
心なしか案内をしてくださっている隊員の方のお顔が引きつっておられます。
『どうしてだ!何故こんなに匂うんだ?しかも強くなってくる!』
軍用犬のような嗅覚があると以前に仰っていましたので、証拠物などを匂いから辿っておられるのでしょうか。もうすぐお昼ですのに仕事熱心なアルベルト様です。
「こちらで御座います。防音機能もついた部屋ですので是非ともごゆっくり」
――何故、是非とも‥ですの?防音機能?秘匿性の高いお話をするから?――
扉を開けて頂いた瞬間でございました。
「ファァァァッ!!何故にこんな所へ女神降臨?!」
――いえ、女神ではありませんし、上から降りてきてもおりません――
「僕は夢を見ているのかっ!いや、妄想タイムが延長されたのかっ?!」
――お仕事中です。妄想はお控えくださいませ――
机をヒョイと乗り越えてまさに猪突猛進。
わたくしに向かって突撃をしてくるアルベルト様の目は潤いが足りないのか充血しております。
しかし、このスピードで体当たりをされれば通いの侍女さんごと廊下に飛ばされます。
「夢でもいい!勤務中にこんな褒美があるとは!」
ダメです。間に合うでしょうか!
【ゴッド●ディメンション!】
思わずしゃがみ込み、真上に手をあげ、アルベルト様の顎にパンチを叩きこんでしまいました。
必殺技だと教えて頂きましたがただのアッパーで御座います。
「ウグッ…し、しかし‥‥確かに…感触があった」
「あ、アル様?申し訳ございません。身の危険を感じつい手が!」
顎を押え、蹲るアルベルト様のお背中を撫でますが、何故か海老反りになったかと思うと咆哮をされわたくしの手をギュッと握られます。
「握れる‥‥本物なのか…まだ妄想の中なのか」
「アル様っ!大丈夫ですか?あぁどうしましょう…」
「ヌゥッ!この香しい匂いは間違いない。エトランゼなのかっ!」
――わたくしは視覚で判別されるのではなく嗅覚で判別されるの?――
「何故このような汗臭く、酒池肉林を目的とするような場に?」
――えっ?騎士団ってそう言う場所なの?ーー
「アル様にお昼をと思いまして‥‥ご迷惑でしたわね」
「迷惑など飛んでもないッ!昼間からエトランゼが食えるとは思わなかった」
――わたくしではなく、昼食を食べてくださいませ――
「あぁ…本当だ(ちゅぱちゅぱ)…甘い…まずはデザートからなのだな」
――それ、食べ物ではなくわたくしの指で御座います――
「メインディッシュはエトランゼの女体盛りか…ワカメはあるのか?!」
――ワカメ…どこにオカッパ頭の少女に需要があったのです?――
「アル様っ!妄想からお目覚めくださいませ。お昼を持ってまいりましたの」
「うん、ありがとう。こっちも吸いたいな…」
さりげなく片手でわたくしのドレスの裾を捲りあげておりますがピタリと手が止まります。
やっとわかってくださいましたか?
「これは何だ‥‥」
「えっ?」
バっとドレスの中に事も有ろうか頭を突っ込んで「フォォォォ!」っと声をあげておられます。
ドレスから顔を出し、わたくしの肩を掴んだかと思えば
「いつからだ…何時からなんだ!」
「な、何がで御座いますか」
「ニーハイもどきのストッキングをガーターベルトなどっ!…試しているのか!」
どうやらドレスの中が、アルベルト様の何かに刺さったようでございます。
わたくしに問うあいだも、手が忙しなく太ももを撫でております。
「ダメだ‥‥興奮して‥‥イキそうだ‥」
――こんなところで誤射を?!着替えは持ってきておりませんよ――
その後、騒ぎを聞きつけ訪れた団長様にゴチンと鉄拳を落とされようやくまともになったアルベルト様。こんなに毎回お昼に妄想を拗らせているとなると他の方に申し訳ないです。
「さぁ、アル様、どうぞ」
「エトランゼと食べる昼飯。なんて豪華なんだ」
「サンドウィッチですよ?具材もあるものを利用したので豪華ではありません」
「口に入れると、隣からエトランゼの香りが鼻腔を擽る。最高の味だ」
――それ、食べての感想ではありませんよね――
ガブリと豪快に食されますので口のまわりにケチャップが付いております。
指で拭うようにすくって差し上げると、心なしかアルベルト様小刻みに痙攣されておられます。
齧ったパンから具材がポトリ。
「あぁっ!どうしましょう!」
ズボンのジッパー部分にポークビッツが落ちてしまいました。
このままではケチャップが!慌てるわたくしの目には何かを期待しているアルベルト様の瞳が映りました。
「ハァハァ…エトランゼ…もっと大きなビッグフラ…」
【ウィニング・ザ●レインボー!】
その先は口にさせてはなりません。2度目の必殺技をさく裂させてしまったではありませんか。
おとなしくお食べ下さいませ!
わたくしはコロリと床に転がったポークビッツをハンカチで拾います。
アルベルト様。言いかけたビッグフランクは本日は入荷がありませんでしたの。
ごめんなさいね?
世間様でいうサプライズをするため、サンドウィッチを通いの料理人さんと作っているのです。
伯爵家にいた頃は自分用にも家族用にも作っておりましたし、学院に通っていた頃はお弁当として朝早くから友人を驚かすべく具を工夫して作ったものです。
単にパンで具を挟むだけでは芸がないのだと切磋琢磨していたあの頃が懐かしゅう御座います。
「奥様、申し訳ございません。一部入荷しなかった具材があるんです」
「大丈夫です。あるもので問題ないですよ」
拘りは大事ですがこれでなければいけないと思う必要はないのです。
タマゴだって、スライスしたものと潰してマヨネーズをあえたものとありますし。
気にする必要は全く御座いません。胃の中に入れば消化されるだけですもの。
パンにも焼き目をいれてホットサンド風にすればサクサク感も味わえます。
上司である騎士団長様には午後のお茶の時間に軽くつまめる茶菓子を忘れないようにせねば。
賄賂では御座いません。基本定時で戻られるアルベルト様ですから何かと気を配って頂いておられるでしょうし、幼い頃からアルベルト様のお世話をしてくださっていたとか。
まだ半年にもならないわたくしも少々疲れる事も御座います。15年以上アルベルト様に人の道を指導くださっているのですからほんの気持ち程度の菓子でございます。
出来上がったサンドウィッチをバスケットに入れて通いの使用人さんと馬車で官舎に向かいます。
騎士団のお昼は11時45分からと伺っておりますので、すこし早めの40分前に到着すれば外食の必要もないでしょう。
「奥様、なんか‥‥思っていたより清潔感がございますね」
ふと見れば整理整頓はされておりますし、すれ違う方は丁寧にお辞儀をしながら挨拶をしてくださいます。騎士は粗暴だという方も居られますが決してそのような方ばかりでは御座いません。
「ご婦人。どちらに行かれるのだ」
敷地内にはすんなりと入れたのですが、建物の入り口で呼び止められてしまいます。
通行証が必要なのだと思い出しました。以前にアルベルト様から緊急時には官舎に逃げるようにと言われ預かったブレスレットを見せようと袖を少し捲り上げます。
「「あっ」」
思わず騎士の方と声が重なります。
そうです。サンドウィッチを作る際に汚れてしまうと外したまま厨房に置き忘れてしまいました。
これでは入れません。昼食を預ける事も本人確認が出来ない以上断られてしまうでしょう。
しかし‥‥
「これは失礼を致しました。マチコリウス副長のお部屋までご案内致します」
「いえ、あの…認識用の腕輪を忘れてしまっておりますが…」
「大丈夫です。間違いなく副長の奥様と確認を致しました」
――認識用の腕輪がないのに?動体視力で判るというの?――
「そんな手首ギリギリまで粘着と執着の証を付けるのは世界広しと言えど副長だけです」
えっ?と手首を見てみますと、確かに毎夜チュッチュとされてしまうためまさに【所せまし】とばかりに紅い華が袖で隠れるギリギリまで付いております。
――動体視力ではなく、口唇紋で見分けられるのね。科捜研みたいだわ――
進んでいくと、聞きなれた声が聞こえて参ります。
心なしか案内をしてくださっている隊員の方のお顔が引きつっておられます。
『どうしてだ!何故こんなに匂うんだ?しかも強くなってくる!』
軍用犬のような嗅覚があると以前に仰っていましたので、証拠物などを匂いから辿っておられるのでしょうか。もうすぐお昼ですのに仕事熱心なアルベルト様です。
「こちらで御座います。防音機能もついた部屋ですので是非ともごゆっくり」
――何故、是非とも‥ですの?防音機能?秘匿性の高いお話をするから?――
扉を開けて頂いた瞬間でございました。
「ファァァァッ!!何故にこんな所へ女神降臨?!」
――いえ、女神ではありませんし、上から降りてきてもおりません――
「僕は夢を見ているのかっ!いや、妄想タイムが延長されたのかっ?!」
――お仕事中です。妄想はお控えくださいませ――
机をヒョイと乗り越えてまさに猪突猛進。
わたくしに向かって突撃をしてくるアルベルト様の目は潤いが足りないのか充血しております。
しかし、このスピードで体当たりをされれば通いの侍女さんごと廊下に飛ばされます。
「夢でもいい!勤務中にこんな褒美があるとは!」
ダメです。間に合うでしょうか!
【ゴッド●ディメンション!】
思わずしゃがみ込み、真上に手をあげ、アルベルト様の顎にパンチを叩きこんでしまいました。
必殺技だと教えて頂きましたがただのアッパーで御座います。
「ウグッ…し、しかし‥‥確かに…感触があった」
「あ、アル様?申し訳ございません。身の危険を感じつい手が!」
顎を押え、蹲るアルベルト様のお背中を撫でますが、何故か海老反りになったかと思うと咆哮をされわたくしの手をギュッと握られます。
「握れる‥‥本物なのか…まだ妄想の中なのか」
「アル様っ!大丈夫ですか?あぁどうしましょう…」
「ヌゥッ!この香しい匂いは間違いない。エトランゼなのかっ!」
――わたくしは視覚で判別されるのではなく嗅覚で判別されるの?――
「何故このような汗臭く、酒池肉林を目的とするような場に?」
――えっ?騎士団ってそう言う場所なの?ーー
「アル様にお昼をと思いまして‥‥ご迷惑でしたわね」
「迷惑など飛んでもないッ!昼間からエトランゼが食えるとは思わなかった」
――わたくしではなく、昼食を食べてくださいませ――
「あぁ…本当だ(ちゅぱちゅぱ)…甘い…まずはデザートからなのだな」
――それ、食べ物ではなくわたくしの指で御座います――
「メインディッシュはエトランゼの女体盛りか…ワカメはあるのか?!」
――ワカメ…どこにオカッパ頭の少女に需要があったのです?――
「アル様っ!妄想からお目覚めくださいませ。お昼を持ってまいりましたの」
「うん、ありがとう。こっちも吸いたいな…」
さりげなく片手でわたくしのドレスの裾を捲りあげておりますがピタリと手が止まります。
やっとわかってくださいましたか?
「これは何だ‥‥」
「えっ?」
バっとドレスの中に事も有ろうか頭を突っ込んで「フォォォォ!」っと声をあげておられます。
ドレスから顔を出し、わたくしの肩を掴んだかと思えば
「いつからだ…何時からなんだ!」
「な、何がで御座いますか」
「ニーハイもどきのストッキングをガーターベルトなどっ!…試しているのか!」
どうやらドレスの中が、アルベルト様の何かに刺さったようでございます。
わたくしに問うあいだも、手が忙しなく太ももを撫でております。
「ダメだ‥‥興奮して‥‥イキそうだ‥」
――こんなところで誤射を?!着替えは持ってきておりませんよ――
その後、騒ぎを聞きつけ訪れた団長様にゴチンと鉄拳を落とされようやくまともになったアルベルト様。こんなに毎回お昼に妄想を拗らせているとなると他の方に申し訳ないです。
「さぁ、アル様、どうぞ」
「エトランゼと食べる昼飯。なんて豪華なんだ」
「サンドウィッチですよ?具材もあるものを利用したので豪華ではありません」
「口に入れると、隣からエトランゼの香りが鼻腔を擽る。最高の味だ」
――それ、食べての感想ではありませんよね――
ガブリと豪快に食されますので口のまわりにケチャップが付いております。
指で拭うようにすくって差し上げると、心なしかアルベルト様小刻みに痙攣されておられます。
齧ったパンから具材がポトリ。
「あぁっ!どうしましょう!」
ズボンのジッパー部分にポークビッツが落ちてしまいました。
このままではケチャップが!慌てるわたくしの目には何かを期待しているアルベルト様の瞳が映りました。
「ハァハァ…エトランゼ…もっと大きなビッグフラ…」
【ウィニング・ザ●レインボー!】
その先は口にさせてはなりません。2度目の必殺技をさく裂させてしまったではありませんか。
おとなしくお食べ下さいませ!
わたくしはコロリと床に転がったポークビッツをハンカチで拾います。
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